DJ技術論

2019年7月17日 (水)

シュレッダー修理

10年以上使っている家庭用のシュレッダーが動かなくなってしまった。

数ヶ月前に、古いクレジットカードを細断したら途中でロックしてウンともスンともいわなくなってしまい、温度ヒューズがもどるまで一晩待ったが復活せず、しかたがないので分解してブレードに挟まったカードの切れ端などを取りのぞいて、何度かスイッチのON/OFFをしたら復活したことがあった。(とはいえ、復活した原因は不明のままだった)

ただ、今回はふつうの紙を細断していて止まってしまったので、温度ヒューズとか、詰まりの問題ではなさそうだ。

再び分解して、SWがONの時にモーターに電源が供給されているか確認したが、問題はなさそうだ。温度ヒューズも切れていない。また、電源が供給された状態でモーターは発熱していない。この状況から考えられることといったらモーター巻線の断線くらいしかない。もしモーター断線なら復活の可能性はほとんどないだろう。修理も無理だ。

しばし考慮の末、ふと、ドライバーの柄でモーターをコンコンと叩いてみた。

すると、なんと回り出した!

このシュレッダーに使われているモーターはユニバーサルモータというタイプで、ACモーターでありながらブラシを使っていて、給電方向によって回転の向きを変えられる。今回動かなくなった原因は、モーターの整流子とブラシの間の接触不良だったのだ。ブラシか整流子のいずれかが減ったか、ゴミが挟まったか、そのような原因で接触不良が起こり、そこでデッドロックしてしまっていたのだ。こういう場合、通常は少し回転を送ってやれば解消するが、シュレッダーは負荷が重く、軸を回そうとしてもビクともしない。叩くより他に方法がない。

再びデッドロックしないように、ブラシと整流子のところに接点復活剤を塗布して、再度回してみたら、ブラシの火花が接点復活剤に引火して、一瞬炎上した。この記事を読んでいる人は注意してください。

そういえば、出典は不明だが、NASAが出している宇宙飛行士用のマニュアルの中に、「通信機が故障した場合の対処方法」→「叩く」というのがあると聞いたことがある。これはとにかく、緊急時にはすぐにできることをすぐにやれ!ということらしいが、これまでの人生で「叩く」ことが唯一の解決法というケースは今回のシュレッダーがはじめてだ。

最後にクイズ。同じNASAのマニュアルに記載されている、「宇宙船に小さな穴が空いているのを発見した場合の対処方法」は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こたえ:「ガムをつめろ」

 

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2019年4月29日 (月)

中華リューター購入

リューターとは、工作用の回転切削ツールである。歯医者さんが歯を削るのに使う回転ヤスリみたいなもの。

基板や回路パターンのカット、シャーシ加工のバリ取りなどに重宝するので、実験机には置いているが、持ち出し用または予備としてもう一台ほしいと思っていた。

ただ、安物を買うとたいてい軸のブレが大きくて使い物にならない。(最初に買ったプロxxンはひどかった)

時々格安パーツを買うAliExpressをながめていると、なんと1700円程度のめちゃくちゃ安いリューターがあった。

これくらいの値段なら使い物にならなくてもあきらめはつくので、試しに購入してみた。

Leutor

ちなみに、リューターの相場は、プロ用で10万円以上出すと完全に間違いはない。性能面で考えると、文句がないレベルで最低2万円前後、アマチュア用でまあまあ使えるレベルのものなら1万円前後、それ以下の価格帯のものだとあまり期待できない。高級品ほど、正逆回転ができたり、回転数が0から調整できたり、トルクが強い、連続で長時間使えるなど、機能が多く使いやすくなるのだが、いちばん差が出ると考えられるのが、上でも書いた軸のブレだ。

さて、今回1700円で購入したリューター。常識では考えられないほどのローコストだ。コレットチャックもビットも数種類入っていて、USBで充電するタイプだ。

ダイヤモンドディスクをつけた状態の静止と回転の写真は次のとおり。

 Static Dynamic

左が静止、右が回転。

なんと、ほとんどぶれていない!!!!!!!!!!

と、びっくりマークが10個つくほどの衝撃であった。トルクもまあまあで、基板の加工やシャーシのバリ取り程度なら十分だ。

100点満点で300点あげたいほどの製品だが、ひとつ問題があった。

なんといちばん使用頻度の高いΦ2.35(カタログではΦ2.4)のコレットだけ、なぜだかスリ割りが入っていない不良品だった。

(上の写真は以前使っていたプロクソンのコレットをつけて撮影した。)

Φ2.35コレットがもれなく不良品なのか、たまたまだったのかはわからないが、この一点だけ残念だったので、差し引いてそれでも100点かな。

製造元は2012年に設立されたNEWACALOXという、中国は深センの工具メーカーだ。

中国おそるべし。

 

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2018年11月14日 (水)

2018/11/13 プレイリスト@CLUB GT

イベンターのテツさんにお声がけいただき久々のDJです。


今回は自社開発のスーパーサンプリングD/Aコンバータ(SSDAC)を公の場に世界で初めて投入しました。
SSDACはデジタルデータをスプライン関数で64倍スーパーサンプリングする技術で、波形再現性と過渡特性に優れており、従来デジタル音楽再生に宿命的について回るプリエコー、ポストエコーの問題を解決して高音質を実現したD/Aコンバータです。興味のある方はトランジスタ技術10月号をご覧ください。


さて恒例のプレイリストです。

2018/11/13 PLAY List



いかがでしたでしょうか。
また次回みなさんとお会いできる日を楽しみにしています。


いつも遊びに来てくれてありがとう。


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2018年1月 2日 (火)

アキュトロン スペースビューの修理

Imgp2406s

踊りに行くときは普段使いのG-SHOCKを外して、シンプルな外装の時計をしていくことが多い。これは踊っていて相手の女性の髪に引っかかったりすると申し訳ないからだ。特に気に入ってつかっていたのが写真のアキュトロン・スペースビューで、いまはもう絶滅してしまった音叉式の腕時計だ。この時計は要修理状態で父から譲り受け、たしか1995年頃に修理可能なショップを見つけて修理してもらい、これまで大事に使ってきた。ロット番号をみるとM4となっているので、1964年製だ。サイドにリューズがないのでスッキリしている。
2017年の11月頃、いつものようにこのアキュトロンをつけて出かけようとすると、止まってしまっている。電池が切れたのかと思い交換してみたが、どうも発振音が弱々しく、しばらくすると止まってしまう。回路はいたってシンプルなので、故障するとしたら接触不良か、トランジスタの劣化かコンデンサの容量抜けくらいしか考えられない。だが修理に出すと高くつきそうだし、暮れに向けて忙しかったこともあって放置してあった。

図1にアキュトロンの回路を示す。(こちらのサイトからいただきました。)

214_original_circuit

今回トランジスタが故障したとすれば、考えられるのはコレクタに最大定格を超える逆起電力がかかったか、ベース電圧がマイナスに振れてブレークダウンを起こしたか、まあそんなところではないか。そこでLTSpiceを使ってシミュレーションしてみた。

Acc_sim
図2.シミュレーション回路

図1の回路にしたがって回路を入力し、L1とL2は結合、ただしL1~L3は定数が不明なのでシミュレーション上で発振が起ればとりあえずOKとした。シミュレーション結果を図3~図5に示す。

Acc0
図3.シミュレーション結果(全体)

Acc1
図4.発振開始直前を拡大 

Acc2
図5.発振開始

ピンクがコレクタ電圧、緑がベース電圧。
図3をみると、発振開始前にコレクタ電圧が大きく+に、ベース電圧が大きくマイナスに振り込んでいる。どちらもトランジスタを破壊するには十分なレベルだ。通常こういうことでトランジスタが破壊しないように保護用のダイオードを入れることが多いが、図1の回路を見る限りそのような対策はとられていない。
図4はコレクタ電圧とベース電圧のピークの拡大図、図5は定常発振開始の様子。発振が開始してしまえば問題はなさそうなので、危険なのは電池交換時か。
もともとついていたトランジスタを外し、手元にあったチップ品の2SC1815(Aliで100個170円送料込み)に交換してみると、力強い発振音と共にアキュトロンは息を吹き返した。

Accutron
図6.トランジスタ交換前(左)、交換後(右)

保護用のダイオードを追加することも考えたが、スペースがせまく作業が難しいことと、オリジナル回路を尊重するということで今回は見送った。
もともとついていたトランジスタがどのように劣化したのかは当然測定してみたかったのだが、うかつなことに取り外すときに足をもいでしまって計測不能になってしまった。

Imgp2401s
図6.もとのトランジスタ。本体2mmほど。


【アキュトロン音叉時計について】
腕時計の主流が機械式(ゼンマイ)からクオーツに変わるすきまの十数年間だけ存在した形式で、音叉の固有振動を使ってゼンマイよりも高精度を実現した時計。もともと1.35Vの水銀電池を使用する設計だったため、一時期は電池が入手不能となり実使用が不可能となったため絶滅したかに思われたが、補聴器用の空気亜鉛電池(1.35~1.4V)が使えることから中古市場などにも復活している。スケルトンで音叉やコイルが見え、秒針も連続的に動くスイープ運針なので、いまではとても個性的だし、中古の取引価格も2万円から10万円くらいなのでお手頃である。
2010年に世界限定1000個が復刻された。定価39万9千円。高すぎ(汗)

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2016年8月 4日 (木)

無帰還電流駆動ヘッドホンアンプの製作

今年の夏はまだそれほどの暑さではないですね。そうはいってもカンカンに発熱するA級アンプは夏には不向きで、ぼくもお気に入りの無帰還電流駆動アンプを使うのをあきらめて、デジタルアンプで音楽を聴いていました。デジタルアンプもまあ、わるくないのですが、なんとなく音楽に身が入りません。そこで無帰還電流駆動ヘッドホンアンプを作ってみました。今回はその製作記事です。
(なお8/3のプレイリストはこの記事の前の記事です。)

今回製作したヘッドホンアンプは、以前このブログで発表した無帰還電流駆動アンプとまったく同じ原理で、ヘッドホン用に動作規模を縮小したものです。図1に回路を示します。

20160803hpa00
    図1.ヘッドホンアンプ回路図


入力回路はゼロバイアスの2SK117です。今回は電源電圧が±4.8Vと低いためGRランク品を使用してドレインの直列抵抗を省きましたのでスッキリしました。2段目のダイオード接続のQ7,Q8は、以前のパワーアンプではアイドリング電流の熱暴走を抑えるために終段のデバイスと熱結合していましたが、今回は熱結合は不要です。よって基板上に配置します。今回熱結合をする箇所はカレントミラーのQ3とQ4、Q5とQ6の2カ所です。これもヒートシンクなどは必要ないので、それぞれのトランジスタ同士をグリスを塗ってネジ止めまたは接着し、基板上に配置します。
ペア取りはJ1とJ2、J3とJ4、Q1とQ2、Q4とQ6です。FETはIdssを、TRはHFEをそろえてください。
この回路では終段のアイドリング電流を60mA狙いで設計しています。もし大きくずれるようでしたらR7,R8を増減して調整します。(アイドリングはVR1によってオフセットを0に調整した状態で確認します。)
出力のR10は出力オープン時に出力が暴れるのを軽減する目的でつけています。ただオープン時に出力が暴れてもとくに問題はないので省いてもかまいません。

次に電源および保護回路を図2に示します。

20160803hpa00_2

  図2.電源と保護回路


今回のアンプは1.2Vニッカド電池を±各4本使用して±4.8V電源としました。ニッカドはあるイベントでいただいてきた800AR(写真1)というものを使用しています。この電池は単三電池よりやや大きめでホルダーがないため、半田付けで組込とし、ACアダプタによって充電できるように充電回路をつけました。

Photo
 写真1.ニッカド電池800AR


【充電回路】
この電池は800mAhなので、0.1Cで16時間とすると80mAで16時間の充電が基本です。定電流回路を使えばこの仕様通りの充電ができますし、たとえば800mAで1.6時間の急速充電などということもできます。しかしながら定電流充電では満充電を超えて充電した場合に発熱や、過充電による電池の劣化ということが起こりやすいので、タイマーやΔV検出などといった工夫が必要で、回路が複雑になります。
最も簡単なのは抵抗で擬似的に定電流回路を組むやり方で、たとえばこの直列で9.6Vの電池を24Vの電源で充電したい場合は、24-9.6=14.4Vを80mAで消費する抵抗14.4/80=180Ωを直列に入れればほぼ一定の80mAで充電することができます。ただ、この方法でも過充電の可能性が払拭できないことと、充電時間を短縮するために電流を上げるとさらに過充電リスクが高まります。
そこで今回は満充電電圧ぎりぎりの12Vのアダプターを使って、制限抵抗をつけて、充電開始時は300mA超の電流を流し、すぐに充電電流が低下していき6-7時間で満充電、その後は40mA以下でトリクル充電状態になるようにしました。トランジスタQ6は充電電流をモニタし、満充電時にはLED1を消灯します。満充電で消灯するようにした理由は後で説明します。
エネループなど、ほかの充電電池を使用する場合は充電回路の定数を変更する必要があります。自力で定数決めをする自信のない方は、電池を交換式にして充電は専用の充電器でおこなってください。交換式にしておけば、普通の乾電池でも使用できます。

【保護回路】
今回のミューティング&保護回路も前回の電流アンプと同じく出力短絡型です。つまり、ミュート時にリレーがOFFになり出力をGNDに短絡します。
パワーアンプの多くの典型的な直流保護回路はトランジスタのVbeを利用しておよそ0.6~0.7Vの直流電圧が検出されると動作するように設計されています。8Ωで0.65Vとするとおよそ50mWです。通常のスピーカーで50mWというとかなり余裕がありますが、ヘッドホンでは微妙な値です。そこで、インターネットでヘッドホンの最大入力を調べたところ、16Ωで最大10mWというものが見つかりました。おそらくもっとも繊細なものでこの程度でしょう。直流ということもあるし、余裕を見て8Ω5mWでプロテクトがかかるようにするとすれば、E^2/8=0.005なので、E=0.2V、つまり0.2Vでプロテクトがかかればいいわけです。ただトランジスタのVbeは下げられませんから、従来の方法に対してなにか工夫が必要です。オペアンプやコンパレータを使えば簡単にできそうですが、回路規模が大きくなるのでめんどうです。
そこで今回ぼくが考え出したのはショットキーダイオードを使って基準電圧に下駄を履かせる方法です。D1~D4によってVbeに下駄を履かせて、直流検出電圧を実測で約±0.15Vにすることができました。やったね\(^o^)/
それから今回のアンプでは電源電圧が±4.8Vと低いため、ミューティング用のリレーを動作させる電圧を高く取りたいことと、±の電池を等しく消費したいということから、リレー回路の電源を±から取れるように工夫しました。
もう一つ工夫した点があります。今回も前回と同じく出力短絡タイプの保護&ミューティング回路ですが、電源OFF時に出力がミュート(短絡)される前にアンプの電源が低下してアンバランスになると大きなポップノイズがでます。それを解消するため、アンプ回路の電源ラインに1000μFのOSコンをつけて、リレーが完全にOFFになってアンプ出力が短絡されるまで時間を稼ぎます。リレーは瞬時に遮断できるように1000μFからダイオードD7、D8で隔離して電源を供給しています(±Vp)。

【シャーシ組み込み】
今回は電池組み込みなのでケースは大きめにしないといけません。なにかいいケースはないかとあちこち探して歩いたのですが、どうも気に入るものがありませんでした。夜になると我が研究室にも蚊が出るのでキンチョーの渦巻きを取り出して火をつけようとしたそのとき、はっ!と思いました。


Photo_2
 写真2.キンチョーの夏


Photo_3
写真3.充電時


写真2は使用時、写真3は充電時です。
充電は夜寝る前に開始すると朝には完了し、赤色LEDは消灯します。これは夜火をつけた香取線香が朝には消えているということを模した作りになっています。


Photo_4
写真4.組み込みの様子

写真4に組み込みの様子を示します。
基板はL字金具でふたに固定しています。電池は重量バランスが偏らないように±を2カ所にわけて配置しています。電池は底を段ボール紙で絶縁し、底と側面を両面テープでシャーシに固定して、配線端子はホットボンドでモールドしました。
シャーシのアースは電池の±中点から基板固定のL字金具に接続します。


Photo_5
写真5.基板の様子

写真5に基板を示します。
この1枚にアンプ両チャンネルと保護回路、充電回路がすべて実装されています。
基板の左右端から信号が入り、基板中央に出力がくるようにしています。こうすることで左右共通の保護回路と電源用のコンデンサ出力を中央に効率よく配置できます。


Photo_6
写真6.パネル

写真6はパネル面です。中央に電源トグルスイッチ、上方に充電用ACアダプタジャックと充電LEDが配置されています。左に入力ピンジャック、右にヘッドホンジャック、中央下側に入力ボリュームを配置しました。


【調整方法】
組み上がったらまず入力にショートプラグ、出力に30Ω前後のダミー負荷を接続し、VR1をセンターにします。R4に電圧計をつなぎ、電源を入れてアイドリング電流をチェックします。アイドリングは60mAを狙っていますので、R4両端の電圧が200mV前後になっていればOKです。次に出力のダミー抵抗両端の電圧をモニタし、出力が0mVになるようにVR1を調整します。1時間ほど追って調整すればOKです。
アイドリングは50~70mAになっていれば問題はないと思いますが、かけ離れている場合は回路が間違っていないか確認し、調整の必要がある場合はR7,R8を30~47Ω程度の間で替えてみてください。


【特性】
図3に33Ω負荷の歪率雑音特性、図4に100Ω負荷の歪率雑音特性を示します。左右がそれぞれLRチャンネルです。

Lr33_2
図3.歪率雑音特性@33Ω


Lr100_2
図4.歪率雑音特性@100Ω


左右でおおむねそろっていて、ボトムで0.03%程度となっています。無帰還アンプとしてはまあまあのレベルではないでしょうか。


図5に100kHz矩形波の出力波形を示します。左が33Ω負荷、右が100Ω負荷です。

33_100100khz
図5.100kHz矩形波出力(33Ω、100Ω)


今回は補正なしでピークもなくきれいな特性になりました。
-0,-3dBの周波数特性は800kHz(33Ω)、500kHz(100Ω)でした。


出力オフセットの実測値を表1に示します。


表1.出力オフセット(30Ω負荷、L/R)
Photo_7

オフセットは通電直後で-11mV、そこから徐々に調整値に収束していき1.5mVで安定状態となりました。ドライヤーによる強制加熱では最大28mV、電池切れ時のダウン直前に24mVを観察しました。このことから2倍のマージンを見て最大でも50mVには収まるのではないかと考えています。


仕様のまとめを表2に示します。

表2.無帰還電流ヘッドホンアンプ仕様
Spec

出力インピーダンスは、33Ω負荷時と1kΩ負荷時の信号振幅の連立によって算出しました。


【本機の音】
ヘッドホン3機種によって試聴しました。
①HDJ-1500(Pioneer、32Ω)
②MDR-A60(SONY、16Ω)
③ER-4S(Etymotic、100Ω)

①HDJ-1500(Pioneer、32Ω)
全帯域にわたってメリハリのきいたクリアな音で鳴りました。
インピーダンス特性を図6に示します。

20160703_hdj1500_z
図6.HDJ-1500インピーダンス特性

90Hz、750Hz、4kHzにピークがあり、高域では徐々にインピーダンスが上昇しています。
90Hzのピークがやや大きいですが、全体としては電流駆動に対してバランスがいいと思います。


②MDR-A60(SONY、16Ω)
このヘッドホンはバーチカル型といって耳に直角に入るめずらしいタイプです。非常に軽量で、HDJ-1500のような圧迫感がないにもかかわらず、外観からは想像できないような重低音が感じられます。全体としても解像度の高いとてもいい音で鳴りました。
インピーダンス特性を図7に示します。

20160725_mdr_a60_z
図7.MDR-60Aインピーダンス特性

212Hz一カ所に大きなピークがあるため、低音が強調される傾向が強いようです。



③ER-4S(Etymotic、100Ω)
これはカナル型として高評価のイヤホンです。
このアンプでは、高域が強調されてガチャガチャした印象の音になってしまいました。電流アンプとの相性はあまりよくないようです。
インピーダンス特性を図8に示します。

20160725etyimo_er4_z
図8.ER-4Sインピーダンス特性

2.59kHzのピークと5kHz以上の高域の上昇が大きく、聴いた印象と一致しています。


【その他】
・電池の終了電圧は+側が2.8V、-側が1.84Vでした。このことから電池は±3本ずつの計6本でも可能です。



そういうわけで、発熱が少なく環境にも優しいこのアンプで音楽を楽しんでいます。しばらくアンプのことは忘れて音楽を楽しみたいと思います(^-^)

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2016年4月24日 (日)

音圧特性の比較

きのう新しく無帰還電圧駆動アンプを作ったので、Auratoneでの音圧特性を測定しました。
無帰還電流アンプと旧金田式DCアンプとの比較を図1に示します。

20160424
図1.音圧特性

旧金田式アンプはごくオーソドックスな帰還型DC電圧駆動アンプです。1978年に出版された「最新オーディオDCアンプ」を参考に1990年頃製作したアンプです。いままでメインのアンプの予備として使ってきましたが、当時アナログテスター1個しかない状態で部品もあり合わせで作ったにしては、動作も安定していて特性も良いです。
無帰還電圧アンプは前回の記事で紹介した、無帰還電流アンプから派生した電圧アンプです。
無帰還電流アンプは製作記事を書いていますが、これも完成して間もないアンプです。

測定条件は次の通りです。
使用機材:マイクUMIK-1,スピーカーAuratone 5C

測定用PC:EPCX101CH + WindowsXP sp3
使用ソフト:REW
測定位置:スピーカ軸上10㎝

金田式アンプはこの中では最も一般的な特性のアンプだと思います。負帰還アンプなので出力インピーダンスはおそらく0.1Ω以下です。一般的にカマボコ特性といわれる典型的な特性が出ています。両肩がナデ肩気味ですね。

一番下の電流駆動アンプは、スピーカーのインピーダンスにかかわらず入力信号に比例した電流を流すアンプですから、スピーカーのインピーダンス特性に似た音圧特性が出ます。両肩が怒り肩ですね。高域はそれほどでもありませんが200Hz付近にf0の大きなピークが出ています。出力インピーダンスは1kΩ(@1kHz)~185Ω(@10kHz)程度です。

中段は無帰還電圧駆動アンプです。これはおおむね上の金田式アンプに似ていますが、よーく見るとほんの若干ですが両肩が上がっていて、よりフラットになっているように見えます。このアンプの出力インピーダンスはおよそ0.3Ωなので、金田式アンプより若干電流駆動気味なのだと思います。

以上のように比較してみると、そのスピーカーに応じた最適なアンプの出力インピーダンスがあるのかもしれません。金田氏が一時期、電流と電圧をmixして帰還するというアンプを発表していましたが、今になってこのような意味なのかもしれないと思います。

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2016年4月23日 (土)

無帰還電圧アンプ

無帰還電流アンプがほぼ最終的な形になったので安心して音楽を聴いています。
だた、この回路形式は無帰還電圧アンプにも応用できるはずなので検討してみたところ良好な結果が得られましたので、今回はその報告です。

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図1.無帰還電圧アンプ回路図

カレントミラー回路を使って電流を増幅したあとバイアス回路のVR2でオフセット調整とI/V変換をおこなっています。VR2のオフセット調整がセンターから大きくかたよる場合はゲインが小さくなってしまうので、上下デバイスのペア取りをまじめにやることと、どうしても左右で大きなゲイン差が出る場合はR7の値を調整してゲインをそろえます。
入力回路は今回はダイヤモンド入力にしてみました。この回路形式はかっこいいですしわりとよく見かけますが、Q1Q2のベース電流の差分が入力負荷に流れるとオフセットになって出力に出ます。入力負荷が不変ならオフセット調整をしておけば問題ないのですが、実際にはたとえば入力のオープン/ショートや、あるいは入力ボリュームの位置によってオフセットが変動します。そこでVR1によってQ1Q2のベース電流が一致するように調整した上で、VR2で出力オフセット調整を行います。

L
図2.THD+N Lチャンネル

R
図3.THD+N Rチャンネル


図2、図3に雑音+ひずみ特性を示します。左右でおおむねそろっています。
位相補償は一切していませんが、ピークは全くなく、-3dBの周波数特性は380kHzです。
ゲインは約23dB、出力インピーダンスは100Hz,1kHz,10kHzで約0.3Ωです。

今回は24V/2.5Aの廉価なスイッチング電源CFM60S240(若松で1個980円!)を±で2個使って構成しましたが、アイドリングが各チャンネル1Aでトータル2Aですからギリギリです。オシロで観察しながらアイドリングを増やしていくとヒゲ状の高周波ノイズが増えるのがわかります。
もっと余裕のあるスイッチング電源を選ぶか、トランスを使ったリニア電源にすればもう少し改善されるのではないかと思います。
今回もフェライトコアを使ってノイズ対策をしています。フェライトコアの挿入のしかたは電流アンプと同じですが、今回は電源出口はFGのラインだけフェライトコアを通さないことにしました。またアンプ手前のフェライトコアはECDN906088(前回発振して不採用にしたもの)にしました。

早速音楽を聴きながらこの記事を書いていますが、おもしろいことにいままで聴いていた電流アンプと比べあまり違和感が出ません。低域や高域のハイハットなどは電流よりも若干締まった印象になりますが、なにか同じ傾向の音に仕上がっているように感じられます。兄弟のようなものでしょうか。
もちろんとてもいい音です。もうしばらく聴き込んでみたいと思います。

Photo
写真1.電圧アンプ(旧電流アンプのシャーシに組み込みました)

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2016年4月17日 (日)

電流・電圧駆動の音圧特性比較

miniDSPのマイクが届いたので、電流アンプと電圧アンプのスピーカー音圧特性を測ってみました。
電圧アンプは25年前に作った初期金田式アンプもどき、電流アンプは最近紹介している無帰還アンプです。スピーカーはAuratone 5c(昨日三土会で鳴らしたもの)、測定位置はスピーカ軸上10㎝です。

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図1.音圧特性比較(上:電圧駆動 下:電流駆動)

上の電圧駆動では素直なオーラトーンの特徴ですが、下の電流駆動した特性をどう見るかですね。高域は不自然さはなく、改善されているという見方ができると思います。問題は200Hz付近の持ち上がりをどう見るかです。これは人によって、ジャンルによって、目的によってちがうかもしれませんね。

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2016年4月12日 (火)

保護回路の改良

前回までに発表したアンプの保護回路を改良しました。
これまで回路を簡略化して部品点数を減らすために左右チャンネル共通としていましたが、左右同時に逆方向のオフセットが出た場合に検出されないというご指摘があり、修正案までいただきました。たしかに同時逆方向はキャンセルされてしまいます。見落としていました。

20160412
図1.修正した保護回路

これまで左右の入力を抵抗で合成してOR動作をさせていたのですが、今回は左右独立の検出とし、そのあとのスピーカーショート回路と電源シャットダウン回路に対して検出部をダイオードで区切って共有させています。非常に効率の良い回路となりました。変更箇所はLR入力の分離、47uF BP、D1~D3の追加およびそれに伴う配線です。


表1.プロテクト動作電圧
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表1にプロテクト動作電圧の実測値を示します。8Ωのダミーロードを接続した状態で出力電圧を実測しました。
思いのほか低くしかもプラスマイナスの差が小さいのは、マイナス検出側のエミッタ負荷が入力の24kΩではなくて47uFのケミコンだからです。等価的にほとんど0Ωです。


表2.超低域信号による動作
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表2に超低域信号出力時のプロテクト動作条件を示します。表がデカすぎる(^-^;
5Hzで20Vpp出るような音は再生しないと思いますので、問題のないレベルだと思います。

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2016年4月10日 (日)

ノイズ対策について

前回は全体にわたる製作記事をお送りしましたが、今回はフェライトコアによるスイッチング電源ノイズ対策の追加報告です。

まずは最終的に選定したフェライトコアと入れ方についてです。

Photo_3
図1.保護回路

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図1-2.フェライトコア挿入の様子

回路そのものは前回と同じですが、フェライトコアを選定しました。
まずスイッチング電源出口のFerrite Core1はE04SR200932に2T(1回巻き)とします。
アンプ基板電源入力部のFerrite Core2、Ferrite Core3はLF-35Bに1T(通すだけ)です。
前回のスピーカー出力のノイズを図2に、今回の変更による結果を図3,図4に示します。


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図2.前回ノイズ測定結果


Photo_2
図3.今回の測定結果(上:L 下:R)


2
図4.今回の測定結果(20mV/divに拡大)


上図のとおり、かなり改善されました。
上は最終結果ですが、欲を出すといいことがありません。というのは検討過程において、できるだけインピーダンスの高いフェライトコアに巻けるだけ巻けばそれだけノイズは除去されるだろうと考えていたのですが、欲張ると発振します。特にアンプ基板電源入力部のFerrite Core2、Ferrite Core3は要注意で、ここはフェライトコアなしか、かなり控えめに入れないとてきめんに発振します。今回気がついたのですが、前回発表したECDN906088でも出力オープン時に発振していたことがわかり、いくつかの候補を検討した結果LF-35Bとなりました。参考のためFerrite Core2、Ferrite Core3にE04SR200932を入れた場合のスピーカー出力端解放時の発振波形を図5に示します。

Fc1t
図5.フェライトコアによる発振波形(238KHz)


フェライトコアはこれまでノイズに効くおまじないくらいにしか考えていなかったので、発振を起こすほどに効果が強いとは思いませんでした。高域における電源のインピーダンスが高くなったことによる発振です。今回はフェライトコアのインピーダンスが低いもの(効きが弱いもの)を選定して解決しましたが、他にもたとえば、
①アンプ基板に大容量のケミコンを載せて電源インピーダンスを下げる 
②アンプの帯域を制限する
などの対策も考えられます。

スイッチング電源出口のFerrite Core1はインピーダンスが高いE04SR200932に2Tと欲張りましたが、こちらはそのあとに5600uFの大容量ケミコンが控えているためか安定しています。
またおまじないのつもりでスピーカー出力にもフェライトコアを入れる実験をしましたが、これも発振しました。

今回の教訓は
漢方薬とフェライトコア、あなどりがたし

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