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オーディオに求めるものなど。

2022年8月19日 (金)

SSDAC用のDDコンバータとMCLK(CM6631A使用品のFW対応)

SSDAC用のDDコンバータ(USB to I2S)について、新たなお知らせです。
すでにSSDAC対応DDコンバーター(USB to I2S)について【20220610追記】にて最新の情報をお知らせしましたが、今回は追加情報です。

SSDACはDDコンバータとしてAmanero Combo384または互換品を使用する前提で開発しています。
これは事実上の業界標準なので、互換品についても各信号のフォーマットは同等であるという前提で考えていましたが、使用可能として紹介したCM6631A使用のDDコンバータの製品に、MCLKに互換性のないものがあるとの情報が寄せられました。つきましてはCM6631AによるDDコンバータをお使いの方に、ファームウェアアップデートによる対処方法を紹介します。

はじめに、Amanero Combo384のI2S信号フォーマットを表1に示します。

表1.SSDAC対応DDコンバータのクロック一覧
Ddcon

SSDACは表1に示すクロック条件で設計されています。
ところが、CM6631Aを使用したDDコンバータ製品の中に、44.1kHzと48kHzのMCLKがそれぞれ11.2896MHz、12.288MHzのものがあるらしいのです。つまりAmaneroのMCLKの1/2です。
この場合、SSDACは動作しますが、スーパーサンプリング倍率が半分になってしまいます。
この対策として、表1のMCLKが出力されるファームウェアに書き換えることで、CM6631Aを使ったDDコンバータが正しく使えるようになります。次のとおりファームウェアのアップデートを行ってください。

①書き込みツールのダウンロード
このサイトにCM6631A用の各種ツールがアップされていますので、この中から"Mhdt Labs DACs Firmware Tools"をダウンロードします。

②ファームウェアのダウンロード
SSDAC用にビルドしたファームウェアを用意しましたのでダウンロードしてください。
ダウンロード - 20220819forssdac9624.hex

③書き込み
CM6631AのDDコンバータボードをUSBでパソコンに接続し、①でダウンロードしたファイル群の中の"FWUpdate.exe"を起動し、ドロップダウンリストから該当するVIDのものを選びます(私が持ってるボードは0D8Cでした)。
まず、Erase FWを押して、現在書き込まれているファームウェアを消去します。
次にUpdate FWを押し、上でダウンロードしたhexファイルを選択してOKを押して書き込みます。

以上でファームウェアの更新は完了で、MCLKは最適化され、SSDACは正常動作します。

これに関連して、PCのサウンドの設定によってSSDACが正しく動作しない場合の対処方法を近くアップする予定です。

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2022年8月 6日 (土)

YAHAアンプの味見2

Yahapic1

この記事は7/28YAHAアンプの味見の続編です。


前回の記事では、出力バッファにトランジスタのエミッタホロワを一段つけて動作確認したが、どうもこれでは真空管の負荷が重すぎるらしいことがわかったので、この点を考慮して再検証した。
エミッタホロワをダーリントンにするか、あるいはMOSFETに置き換えるか考えたが、今回はMOSFETを使ってみることにした。
今回検証した回路を図1に示す。

Yaha2sch
図1.今回検証した、MOSFET出力バッファのYAHAヘッドホンアンプ(片チャンネル)
※LRチャンネルのトータルの消費電流は390mA。

MOSFETはAO3406を使用した。これはVthが2V程度で、IDが3A以上、On抵抗が50mΩ程度と、電源のON/OFFなどの用途に重宝するので部品箱に常備してある。秋月で販売しているAO3400でも代用できると思う。パッケージがSOT-23なので変換基板を使用した。

今回は回路の改良に加えて、USB PDから電源を取る検証をあわせて行った。
USB PDはUSB-Cから電力を供給する仕組みで、5V、9V、12V、15V、20Vから選択でき、最大100W程度の供給が可能だ。
今回のYAHAアンプは12V電源なので、USB PDから12Vを供給すれば動作可能だ。
USB PDを使うには、これに対応したUSB電源とケーブル、それにUSBデコイと呼ばれるPDトリガーデバイスが必要だ。
今回使ったUSB PD対応電源と、USBデコイ基板を写真1~写真3に示す。

Acadaputerpddecoy
写真1.USB PD対応電源アダプタUGREEN AceCube 30WとUSBデコイ基板

Imgp9007
写真2.USBデコイ基板  IP2721という専用のデバイスが使われている

Imgp9008
写真3.USBデコイ基板裏面 基板の種類とショートパッド(表面)により、電圧が選択できる。


最初に、USB PD出力を12Vに設定し、これでアンプを駆動してみたが、ハムノイズと、ヘリコプターのようなパタパタというノイズが乗ってしまい、実用には程遠い結果となった。平滑コンデンサで対策できるレベルではなかった。アンプにつないだ状態の電源波形を図2に示す。
次に、USB PD出力を15Vに設定し、図3に示すレギュレータ回路をつけて12Vを生成し、これをアンプに供給したところ、ノイズは問題のないレベルまで抑えられた。アンプ接続状態での電源の波形を図4に示す。

12vdirect
図2.USB PD12V出力のノイズ


Reg12v
図3.USB PD15V出力に追加した12Vレギュレータ回路


Reg12vfrom15v
図4.レギュレータ回路を使用した電源波形


今回は図1のアンプ回路に対して、USB PD電源アダプタ15Vから12Vレギュレータで生成した電源を使用して以下の通り評価を行った。
負荷33Ωでの100Hz、1kHz、1kHz方形波、100kHzの再生波形を図5~図8に示す。

100hz
図5.100Hz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)


1khz
図6.1kHz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)


1khzsqr
図7.1kHz方形波入力時の出力波形(黄色が出力)


100khz15db
図8.100kHz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)

今回はプレート抵抗を20kに変更し、出力バッファをMOSFETに変えたことで、ゲインが14.5dB@50Hz、17.13dB@1kHz、15.54dB@100kHzとなった。1kHzを基準に、下は50Hzで-2.63dB、上は100kHzで-1.59dBという周波数特性が得られた。周波数特性を図9に示す。

F
図9.周波数特性


最大出力は、図10に示すとおり1.1Vrms@33Ωで波形がクリップするので、37mW@33Ω。

Clip
図10.クリップ波形  クリップは1.1Vrms@33Ωなので、最大出力は37mW。


ひずみ率はWavegeneとWavespectraを使って測定した。
すでに公表していたひずみ率は10kHzで6%を超えていたが、測定系に問題があったため再測定した。測定系の問題とは、Wavegeneのサンプリング周波数が44.1kHzになっていたことで、今回は96kHzにしてすべて再測定した。ひずみ率THD+N(%)を図11に示す。

 
Thdnall2

図11.THD+N測定結果(33Ω負荷)
※実用域ではおおむね1%以下、10kHzでは6%超と高め


図12に、およそ0.5mW時1kHz@33Ωの出力FFTを示す。ひずみは2次が支配的。

1k125mvrms33ohm
図12.0.5mW時1kHz@33ΩのFFT。2次ひずみが支配的。


試聴は前回と同じくスーパーサンプリングSDプレイヤーSSSDP4490をソースに、ヘッドホンHDJー1500で行った。試聴の様子を写真4に示す。

Yahapic2
写真4.バラックで組んだYAHAアンプの試聴


今回は回路の改良と電源ノイズの対策を行ったため、前回よりも大幅に音質が改善した。
プレーヤー直接の場合と比べ音が厚く聞こえるのは、おそらく真空管シングルアンプの特徴である偶数次ひずみが付加されるためか。
実使用に十分耐えうる音質が得られ、USB PDからの電源供給も可能であることから、実用的なポタアンが製作できる可能性が確認できた。

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2022年7月28日 (木)

YAHAアンプの味見

Yaha_kuutyuu12bh7a
写真1.空中配線したYAHAアンプと元箱入り12BH7A

トラ技の今月号(2022年8月号)にYAHAアンプという真空管アンプが紹介されていた。
真空管が動作するとカソードからプレートに向かって電子が飛ぶが、もしグリッドがゼロバイアスならば、このうちの僅かな電子がグリッドに拾われて初速度電流という電流が生じるため、グリッドに高抵抗を入れればマイナスのバイアスが発生する。またプレート電圧は通常よりもはるかに低い12Vで動作させる。
おもしろそうなので、バラックで組んで動作確認と音出しをしてみた。

①シミュレーション
図1にLTSpiceによるシミュレーション回路と波形、歪率を示す。
20220728yaha_ltspice
図1.LTSpiceによるシミュレーション
真空管のSPICEモデルはAyumi's Lab.さんからダウンロードさせていただきました。

YAHAアンプはネットで調べてみると、ほとんどの回路で真空管のあとにくる出力バッファに、オペアンプによるボルテージフォロワが使われている。ぼくはどうもここにオペアンプを使うことに違和感を感じたため、トランジスタのエミッタフォロワに変更してシミュレーションしてみた。
プレート抵抗R3は、トラ技の記事では10kになっていたが、LTSpice上ではうまくシミュレーションできず、3.3kに変更した。1kHzでおよそ5倍ほどのゲインがとれている。

②試作
次に実際にバラックで回路を組んでみた。
実回路ではプレート抵抗が3.3Kではゲインがとれなかったため、13kにした。実際に組んだ回路を図2に示す。

20220728yahasch
図2.実際に組んだ回路(片チャンネル分)

真空管12BH7Aは、所有しているKT88シングルパワーアンプの電圧段に使われていて、予備として買っておいたものだ。
この回路の主な仕様は次の通り。

・電源電圧     12V
・消費電流     380mA(ヒーター300mA、エミッタフォロワ40mAx2)
・ゲイン      1.4倍

実際に組んでみるとゲインは1.4倍しかとれなかった。グリッド抵抗やプレート抵抗を検討すればもう少し上げられるかもしれないが、今回は味見程度の評価なので、とりあえず良しとした。
33Ω負荷時の1kHz正弦波、1kHz方形波、100kHz正弦波の出力波形をそれぞれ図3~図5に示す。

Tek0026
図3.1kHz出力波形

Tek0027
図4.1kHz方形波出力波形

Tek0028
図5.100kHz出力波形

全体としてノイズっぽいのは、使用したACアダプタによるものだと思われる。素性のよくわからない12V/1AのスイッチングACアダプタを使用した。
周波数特性は十分で、図5の100kHz正弦波でも振幅は下がらない。

20220728yahaamp
写真2.試聴の様子

試聴はSSDACを搭載したSDプレーヤーSSSDP4490をソースに、ヘッドホンにはパイオニアのHDJ-1500を使用した。
波形では多少ノイズが目立ったが、実際に音を聴いてみるとまったく気にならないレベルだった。
音質的には、予想に反して実用レベルに近い音質だった。
SSSDP4490直接の音に比べると、やや低域が細るようにも感じられるが、カップリングコンデンサや電源を見直せば改善の余地はあると思う。
もっとも、真空管のシングルアンプに物理性能を求めるのは野暮というもので、真空管の灯りを見ながら音楽が楽しめるので良しとしたい。

電池駆動のポタアンを想定するには、12V/400mAの消費はちょっときつい感じはするが、たとえばUSB PDから供給できるとすれば可能性はあるかもしれない。

この記事は、YAHAアンプの味見2に続きます。

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2022年7月 5日 (火)

【夏休み特別企画】自作FMラジオでBCL!!

Nack5Nack5_20220705133301
写真1.NACK5のベリカード

2022/8/10
業務提携している家庭教師の俵屋さんがこのラジオの製作記事を書いてくださいました(^-^)
プロ家庭教師 俵屋の日記


以前このブログにFMラジオの製作記事を掲載しましたが、今回はそのFMラジオを使ってBCLを行い、放送局よりベリカードをいただきました\(^o^)/

BCLはBloadCast Listeningの略で、つまり放送を聞くことなのですが、具体的には放送局に対して受信報告書というレポートを提出して、受信証明としてベリカード(Verification Card)をもらいます。
1970年代~80年代にかけて、BCLは大ブームとなり、家電各社は競うようにBCL用のラジオを発売し、BCLファンは日夜世界中のラジオを受信し、ベリカードを集めたものでした。
当時のBCLは、短波放送が主なターゲットで、入門者は、まずは通常のAMラジオで、国内のラジオ局のベリカードを集め、次に国内のAMラジオ帯で受信可能な海外放送をターゲットにしました。AMラジオでの受信をし尽くしてしまったら、いよいよ短波ラジオを入手して、世界中のラジオ局に挑戦する、といった具合でした。
当時、FM放送に対して受信報告書を提出するという話はあまり聞いたことがありませんでした。

それから時は流れて、今は2022年。あと数年でAMラジオはほとんど全滅しそうな状況になっています。あの当時だれがそんなことを想像できたでしょうか。
これまでAMで放送していた国内各局は、あと数年でNHKを除くほとんどの局が次々とFMへと移行し、AMの放送を停止します。これは何を意味するかというと、社会インフラの1つとしてのラジオ放送が、大きく姿を変えようとしている、ということです。

社会インフラとしてラジオを考えたときに、その重要な役割に、非常時の情報伝達があります。
従来はAM放送とFM放送という選択肢があり、それぞれ一長一短がありました。たとえば、AMでは長距離の伝達ができましたが、FMでは見通し範囲(高々数十キロ)であるとか、音質やノイズにはFMが強い、建物の中で聞くにはFMのほうが受信しやすい、などそれぞれに特徴があり、状況によってどちらかを選択するということが可能でした。
これからはFMが主流となるため、非常時にFM放送のみでどのような情報伝達ができ、どのような問題が出るのかを考えておく必要があります。

このような状況下では、今一度ラジオを見直し、FM放送での情報伝達に対して、いちど確認作業をしておくことが重要で、そのためにBCLを通じて受信確認をすることは、リスナーにとっても放送局側にとっても有益であると考えます。

もちろん、そんな難しいことを考えずに、ただベリカードをコレクションしたい!!ということでもOKです(^-^)

それでは、BCLのやりかた、つまり受信報告書を作成して、ベリカードをもらうまでの手順を説明します。

①受信報告書を書く
受信報告書は、まちがいなくあなたの放送局の番組を聴きました、という証明と、受信状態を報告するものです。あとで記載例を紹介しますが、その中で少しだけ技術的な内容なのがSINPOコードです。
SINPOコードは受信状態を示すコードで、次の5項目を、耳で聴いた感じでいいので1~5の5段階で評価します。

Signal Strength …………………信号強度
Interference……………… ………混信
Noise …………………………………ノイズ
Propagation Disturbance……伝播障害
Overall Rating…………………… 総合評価

以上の5項目の頭文字をとって”SINPO”です。
各項目の詳細は以下の通りです。

・信号強度:受信電波の強さ。シグナルメーターがなければ主観的に決めてよい。
・混信:複数の放送が混信していないか。FMの場合は混信は起こらないので、通常は”5”となる。
・ノイズ:受信音に雑音がのっていないか。
・伝播障害:ビルや山、鉄塔などによって受信に障害が出ていないか。具体的には音や雑音が周期的に変化するなど。
・総合評価:受信品質の総合評価。

【例】非常に電波が強くまったく問題がない場合
SINPO = 55555

【例】電波が弱めで、若干ノイズがのる場合
SINPO = 35453

受信報告書の例を図1に示します。
Bayfm_report
図1.受信報告書の例

受信報告書のひな型(WORD)


受信報告書は、上で説明したSINPOコード以外はそれほど難しいところはないと思います。

②受信報告書の送り方
作成した受信報告書は、受信対象の放送局宛てに封書で郵送します。
・ベリカードを送ってもらうための切手(63円)を同封します。

③カードコレクション
今回ゲットしたベリカードの中からいくつかを紹介します。

Tbs Bayfm78

Interfm

Photo_20220705133302 
Photo_20220705133301


※ NHKのFM放送各局は、ベリカードの発行は行っていないそうです。


いかがでしたか。
これまであまり行われてこなかった、FM放送局のベリカード集めに挑戦してみてはいかがでしょうか。
夏休みの自由研究にもご活用ください(^-^)

関連記事
RDA5807MとPICマイコンによるFMラジオ


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2022年6月28日 (火)

カオスの音

※データに一部まちがいがあったため、差し替えました。

先日出かけた先で、「役に立たない機械」がおもしろいという話題になった。早稲田大学で毎年コンテストを行うそうで、タモリ倶楽部で紹介されたというので、録画を見せてもらった。
なるほど、みなさん役に立たない機械を大まじめで作っている。
どれもとてもおもしろかったが、その中で特に印象的だったのが、二重振り子を応用したメトロノームだ。
刻むリズムが不規則でしっちゃかめっちゃかなので、なるほど非常に役に立たない!!

二重振り子というのは、棒にぶら下げた振り子の重りに、さらに棒を付けて重りをぶら下げるという、二階建ての振り子になっていて、不規則で予測不能な動きをする。カオス現象の一例として有名なのだそうだ。
運動方程式は立てられるので、その動作は計算できそうなものだが、計算通りの動きになるには非常に高い精度での計算が必要であり、現実には計算精度に加えて、摩擦や空気抵抗やガタなどのちょっとした誤差が、その後の動きに影響を与えるため、現実的にはその運動を予測することは困難だという。
ただ、精度的に難しいということであって方程式は立てられるので、ランダムというわけではない。

これと同じことを電子回路でできないかということを、ぼんやり考えて、いくつか試してみた。
カオスが電子回路で発生できれば、増幅して音を聴ける。カオスの音とはどういうものだろうか。
不規則でランダムに近い信号だとすればホワイトノイズ的なものになるのだろうか。

非安定マルチバイブレーターを2階建てにしたり、VCOを2つ用意してお互いのコントロール入力にお互いの出力をつないでみるなど、独立した2つの発振回路が、相互に発振周波数を変更するような動作をすれば実現しそうな感じではある。
ところが、実際にやってみるとどうも周期性が出てきてしまう。そもそも動作がカオスなのかそうでないのか、検証する方法もわからない。

しかたがないので自分で考えるのはあきらめて、ネットで検索してみると、「チュア回路」(Chua's circuit)を使ったカオス発振器というものを見つけた。
参考にしたのはこちらのサイト

あとで実際に回路を組んで検証したいので、楽にできるように回路を単電源に変更した。LTSpiceでシミュレーションした回路を図1に示す。

Simsch_20220627202101
図1.チュア回路のシミュレーション

参考のサイトではオペアンプにOP27を使っているが、実回路を組むことを考えてNJM3414にした。NJM3414のスパイスモデルはJRCのサイトより入手した。
カオス発振の観測点は図中のX,Yで、この2点をリサージュで観測する。
うまくカオス発振が起こらない場合は、C1とR8を微調整する。
シミュレーション結果を図2に示す。

Ltspice
図2.カオス発振のシミュレーション結果

参考のため、X,Y点をリサージュでない個別の信号としてシミュレーションしたものを図3に示す。

Simxysignal
図3.X,Y点それぞれのシミュレーション波形

さてシミュレーションがうまくいったので、いよいよ実際に回路を組んで動作を確認する。
実際に組んだ回路を図4に示す。

Chuascircuit
図4.実際に組み立てた回路(20220706  C8の値を0.1→22μFに訂正しました)

シミュレーションで観測したリサージュ波形を音として表現するにはどうしたらいいか?
リサージュという方法の性質から考えれば、信号X,Yの位相差を増幅すれば理にかなうように思うが、位相差の演算はなかなかたいへんそうだ。なので今回は簡単にX,Y信号の和と差を観測することにした。

実際の回路では、オペアンプに4回路入りのNJM3403を使用した。これはシミュレーションに使ったNJM3414と中身が近いと思われる。
4回路のうちU1Aをチュア回路に、U1Bを基準電源用に、U1CをX,Y信号の加算に、U1DをX,Yの差の演算に使用した。
カオス発振を起こすためにC4を2200pに変更し、RV1を調整してカオス発振を起こす。

X-Yリサージュの様子を図5に示す。デジタルオシロの画像保存ではきれいに録れなかったので、写真を撮った。

Oscillopic
図5.実際の回路でのカオス発振の様子


参考のため、X,Yそれぞれの波形を図6に示す。

Tek0004
図6.X(下)とY(上)の波形


次にX+Yの演算出力を図7に、X-Yの演算出力を図8にそれぞれ示す。

Sumxy001
図7.X+Y演算出力(差し替えました)


Difxy001
図8.X-Y演算出力(差し替えました)


和信号と差信号は、波形だけ見てもあまりピンとこないので、wavespectraを使ってFFTしてみた。
X+YのFFTを図9に、X-YのFFTを図10にそれぞれ示す。

Sum001
図9.X+YのFFT(差し替えました)


Diff001
図10.X-YのFFT(差し替えました)


X+Y、X-YをFFTしてもまだあまりピンとこないので、音を聴いてみる。

①X+Yの音(差し替えました)
ダウンロード - sum001.wav

②X-Yの音(差し替えました)
ダウンロード - diff001.wav


音はどちらもホワイトノイズピンクノイズに高域の信号を重畳したような感じに聞こえる。
強いていえばセミのベース音つまり変調なしの搬送波のような印象だ。種類でいうとニイニイゼミあたりだろうか。

というわけで、なんともよくわからない混沌とした結果になった。

役に立たない記事になったことを自負している。

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2022年6月24日 (金)

無帰還アンプ

このブログでは無帰還A級アンプ無帰還電流アンプ無帰還電流ヘッドホンアンプなど、無帰還アンプばかりを発表しているが、無帰還アンプを使い始めたのは実は最近のことだ。

2015年に金田明彦氏のフォノイコライザアンプの試作をした。
「電流伝送方式オーディオDCアンプ」金田明彦著
に掲載されていた「電流出力プリアンプ&パワーアンプ」のうちのフォノイコライザ部分のみを試作検証した。
このフォノイコは、DL-103のヘッドシェル内にJFETのVICを組み込んで電流伝送し、これをイコライザーIVCと呼ばれる電流入力の帰還型イコライザアンプで受けてRIAA処理する。オフセット対策としてSAOCと呼ばれる回路を搭載して、回路全体を通してDCを実現している。SAOCというのはDCサーボの一種だ。0.3mVという非常に微小なMCカートリッジの出力信号を、長旅させることなくヘッドシェル内で直接バッファアンプで受け取り、アンプまで送るというのは、理想的な考え方ではあるがなかなか実現は難しい。金田氏はこれを見事に実現した。
実際に作ってみると狙い通りSNRが非常に優れており、音質もよく、文句の付けどころは全くなかった。

このとき、ついでに以前から気になっていたCR型フォノイコライザを検証しておこう、と思ったことが、その後のアンプ設計に大きな影響を与えた。

高校生のときに2SK30を使ったシングルMCヘッドアンプを自作したが、それ以外はパワーアンプもフォノイコもすべて帰還アンプで、オーディオアンプというのはそういうものだと思い込んでいた。
ところが何かの記事で、「ツウは帰還型のイコライザを使わない。CR型を好む。」ということが書かれていたのが引っかかっていた。

CR型フォノイコライザを試作するにあたって参考にしたのは、安井章氏の製作記事だった。とはいってもそれほど正確に再現したわけではなく、CR回路の前後のバッファは部品箱にあったMUSES8920を使ってそれぞれ40dBとし、CR回路の定数だけ安井氏の設計にした。

音を聴いてみて驚いた。

SNRは金田式よりも劣っていたし、しかもカップリングコンデンサをつかってDCカットしているのに、音が鮮やかでリアルだった。
針を落としたときの音の印象も帰還型とはまったく違ってドライな印象がする(もっともこれはDCではないからかもしれないが)。
帰還型とCR型、DCと非DCなので、音の印象が違うのは当然といえば当然で、本当にCR型の方が音が心地良いのか?「ツウはCR型を好む」という言説に惑わされていないか?ということを念頭に、一か月ほど何度も取り替えて聴き比べをした。
その結果、特性はともかくとして自分はCR型の音の方が好きだという結論に達した。

帰還型のアンプというのは、つねに仕上がりの出力信号を入力信号と比較して、イコールになるように制御している。これを帰還制御といい、言葉通り動作していれば波形の再現性(=ひずみ)は理想的に仕上がるかもしれない。しかしながら実際に増幅回路を通過した信号は僅かながら遅れが生じる。常に遅れが生じた出力信号と入力信号を比較してこれらが等しくなるように増幅している、と考えれば帰還回路内の信号は非常に複雑な状態になっている。周波数が高くなるほど遅れの影響が大きくなり、ある周波数で位相遅れが安定度の限界を超えたときに発振が起こる。こうならないように、高域特性を制限したり、位相補償を行ったりして安定性を確保する。これが帰還型アンプの現実だ。
一方、無帰還アンプは、定数により決められた増幅度で増幅するだけであり、高域で位相が遅れたり信号振幅が減衰することがあっても、それが帰還されて動作に影響することはない。きわめてシンプルだ。ただし、帰還型アンプと違って、波形を比較修正していないので、信号がひずまないように設計するのは難しい。
帰還アンプではひずみ率が0.01%以下などというのはザラだが、無帰還アンプでは0.1%を切れれば好成績という感じで、ひずみ率には10倍以上の差が出てしまう。なのでカタログスペックを重視するメーカーは作りたがらないのだ。

その後、パワーアンプも無帰還で作ってみたいと思うようになり、それならAuratone用に電流駆動アンプを無帰還で作れないか?と考えて開発したのが、無帰還電流駆動アンプだった。開発方針としては
①DC(直結)構成とする
②DCサーボは使わない
の2つを目標とした。
最初の試作から少しずつ改良を加え、最終的な回路を決定するのに半年ほど要したが、いまでもAuratone用としてはベストのアンプだと思っている。
ただ、DC電流駆動アンプは原理的にネットワーク入りのマルチウェイスピーカーには使えないし、フルレンジだとしても、今風のハイコンプライアンスのスピーカーでは低域が増強されすぎて非常にブーミーな音になってしまうことが多い。
そこで、この無帰還電流アンプをベースに開発したのが無帰還A級25Wアンプだった。このアンプは通常と同じ電圧出力のアンプなのでAuratoneだけではなく、マルチウェイのスピーカーにも使える。基板頒布したところ、ありがたいことに好評を得ている。

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2022年6月19日 (日)

CDの音質評価

少し前の記事で、自分はCD(またはレコード)でしか音楽を買わない、と書いた。入手性がよいことと音質が安定していることがその理由だ。
しかしCDでも音の良いものと、いまひとつのものがある。
レコーディングに使用した機材やレコーディングエンジニアの技量、ミキサーのセンスなど要因は多くあると思うが、今回はCDの曲の聴感上の音質と周波数特性(f特)に相関があるかどうかを検証した。

「CDのf特は20kHzまでと決まってるんじゃないの?」

という意見があろうかと思うが、市販のCDを調べてみると、
①20kHz付近までで、それ以上をカットしているもの
②22.05kHzまで入っているもの
③ ①と②の中間のもの
の3種類が存在している(圧縮音源からCDをプレスしている悪質なケースもあるが今回は除外する)。

今回、たまたま手持ちのCDを大量廃棄するという人がいて、150枚ほどのCDをまとめていただいた。そのほとんどが、自分では持っておらず、当然ながらほぼ聴いたことのない曲ばかりだったので、今回のような試験を行うには好都合だ。なぜなら、知っていて好きな曲では客観的に音質のみを評価するのがなかなか難しいのではないかと思うからだ。

まず基礎知識として、CDの特性がどうなっているかということを簡単に説明したい。
音楽CD録音品質は、44.1kHzサンプリング16bit深度だ。
可聴帯域上限とされている20kHzの音を再生するには、サンプリング定理から、その2倍のサンプリング周波数が必要であることから、44.1kHzサンプリングであれば必要十分だということだ。
この場合、44.1kHzの半分である22.05kHzを境にエイリアシングが発生するので、22.05kHzより上の周波数は遮断したい。だとすれば、可聴周波数上限の20kHzは通して、22.05kHzより上は通さないというフィルタが必要になる。これはよく見る説明だ。

ところが実際に音楽CDに入っている音楽を解析してみると、上に述べたように、①約20kHzまででカットしているもの、②22.05kHzまで入っているもの、③ ①と②の中間のもの の3種類が存在していることがわかる。
(22.05kHzまで入っているCDについて、技術的になぜそういうことが可能なのかはここでは議論しない。)

つまり今回検証するのは、20kHz~22.05kHzまでの範囲の信号があるかどうかでCDの音質が聴感上変わるかどうか、ということだ。

まず、ヒトの耳の周波数特性は一般的に20Hz~20kHzくらいだといわれている。
自分についてはどうかというと、高校生の頃は単音で19kHz近くまで聞こえた。50歳を過ぎた今では、だいたい16kHzくらいまでしか聞こえなくなっている。それならば、そもそも20kHz~22.05kHzの議論など無駄だと思われるだろう。はたしてどうか。

評価は次の方法で行った。あらかじめリッピングしてPCに取り込んだデータ(44.1kHz16bit wavフォーマット)を再生する。
①ランダムに曲を選び、聴く
②音質評価点を1(最低)~3(最高)の3段階でつける
③その曲のFFTをwavespectraで観察し、20kHzでカットしているものを1、22.05kHzまで出ているものを3、中間のものを2として評価点を付ける

【結果】
先に結果を報告する。
20kHzでカットしているものと、22.05kHzまで入っているものでは、聴感上あきらかに差があった
聴いた曲の聴感評価と、FFTによるf特評価結果を表1に、それをグラフ化したものを図1に示す。

表1.聴感とFFTによる評価結果
(曲名の冒頭には、追跡可能なようにアルバムでの曲順を入れた。)
Photo_20220619142501

Photo_20220619142502
図1.聴感とFFTによる評価結果
聴感とFFTによる周波数特性には相関が表れている。

この評価の結果から、22.05kHzまで入っているものは聴感上音質に優れているといえる。
CDをリリースすることになって、サンプル版をもらったら、まずはこの解析をして、もし22.05kHzまで入っていなかったら改善を申し入れたほうが良いだろう。音質が冴えなければ売り上げにも響くかもしれないし、ヒットするかどうかにも影響が出るかもしれない。

この中で注目してほしいのは、11番と12番の「君がいるだけで」だ。
これは米米クラブの有名なヒット曲で、11番はアルバム”DECADE”に収録されたもの、12番はアルバム”HARVEST SINGLES 1992-1997”に収録されたものだ。憶測だがマスターは同じものではないかと思う。マスターが同じなのに音質がちがうなどということがあるのだろうか。
いままでサルサDJをやってきた経験上、ある有名な曲をかけるときに、オムニバス盤に収録されたものよりオリジナルのアルバムに収録されているものの方が音が良いような気がする、ということが度々あったが、今回、実際にそういうことがあるのだということが証明された。


【評価の詳細】
評価した13曲のFFTを図2~図14に示す。

082
図2.とうちゃん f特評価2
※21kHz付近から急峻に下がっている→評価2

09september3
図3.湘南SEPTEMBER f特評価3
※22kHzまで出ている→評価3

063
図4.あなたに逢いたくて f特評価3


1043
図5.君が僕を知っている f特評価3


01come-on-everybody1
図6.COME ON EVERYBODY f特評価1
※20kHz過ぎに段差がある→評価1

123
図7.いつか見上げた空に f特評価3


011
図8.君の歌、僕の歌 f特評価1


10luv-vibration3
図9.Luv Vibration f特評価3


04destino1
図10.DESTINO f特評価1


103
図11.浪漫飛行 f特評価3


023
図12.02君がいるだけで f特評価3


012
図13.01君がいるだけで f特評価2


02141
図14.青年14歳 f特評価1

以上

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2022年6月15日 (水)

Auratone 5Cと電流駆動アンプ

2000年頃、今日の必ずトクする一言というサイトで、スピーカーを電流駆動して使うという記事があるのをみつけた。帰還型のパワーアンプとスピーカーなら、スピーカーとGNDの間に電流検出抵抗を入れて、アンプはスピーカー出力から帰還をかける代わりに電流検出抵抗から帰還をかければ電流駆動になる。
さっそく当時使っていた金田式B級アンプに手を入れて電流駆動化し、ひとり暮らし開始時に買ったSX-100を鳴らしてみると、なるほど高域と低域が持ち上がって、少しにぎやかな感じの鳴り方になった。電流駆動では、スピーカーのインピーダンスにかかわらず入力信号に比例した電流でスピーカーを駆動するので、インピーダンスのピークがあるf0付近と、インピーダンスが緩やかに上昇する高域で音圧が持ち上がる。これは小音量時にラウドネスをかけるのと似た感覚で、とくに部屋で小音量で音楽を聴く場合などに適している。

また、同じサイトでAuratone 5Cというスピーカーが紹介されていた。これはかつてアメリカのスタジオにほぼ常備されていたニアフィールドモニタスピーカーで、ニュートラルな音と堅牢性に定評があって、愛好家がいるという。ただ残念なことにこれは70年代から80年代にかけて製造されたスピーカーで、もはや新品では入手不可能であった。
サイトでは、Auratone 5Cは電流駆動するのが良い、と書いてあって、これはいつか試してみたいと思っていた。

それからしばらく経った2010年頃、ふと思い出して、ヤフオクでAuratone 5Cを検索すると、なんといくつか出品されていたので購入して、音を聴いてみた。
聴いた最初の印象は「なんだか地味でとくに……」という感じだった。ボーカルだけは素直できれいに聴こえるが、楽器の鳴りが物足りない。低域も高域も足りない感じがした。
そこで、上記の電流駆動に切り替えて鳴らしてみたところ、低域と高域が持ち上がって、楽器の鳴りにもかなり厚みが出た。上のサイトで言っていた、Auratoneは電流で鳴らすとよい、というのはこういうことだったか!と感銘を受けた。

もともと使っていたSX-100はどうかというと、音を聴いて買ったスピーカーなので気に入って使っていたが、Auratoneと比べると、楽器はいいのだがボーカルが弱く感じる。
そこで、これはかなり変則的だが、SX-100とAuratone 5Cを直列にして鳴らしてみるとなかなかよろしい。Auratoneが弱い楽器をSX-100が補い、SX-100が弱いボーカルをAuratoneが補う。2022年現在もこのセッティングで聴いている。
アンプはすでにこのブログで紹介した無帰還電流アンプと無帰還アンプを気分によって使い分けているが、どちらできいてもよい感じで鳴っている。

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2022年6月12日 (日)

音声圧縮と音楽業界の衰退

いつのことだったか正確にはおぼえていないが、1995年前後だったと思う。
当時勤めていた会社のレコーディング機材の事業部で、MDを使ったMTRの検討のため試聴会をやるので、希望者は参加してほしいとのことだった。おもしろそうなので参加した。
ジャズやクラシックの音源と、それをMDに録音したものの聴き比べだったのだが、MDに録音した方は聞き分けられるレベルで音質が劣化していた。
音楽用途で、しかもMTRということはピンポン録音の可能性まであるとすれば、これは使い物にならないだろうから企画倒れじゃないかと思っていたが、予想に反してMDを使ったMTRは開発され販売されたようだ。

その後、たしか2000年頃だったと思うが、mp3に音声圧縮ができる「午後のコーダ」というフリーソフトが話題になり、おもしろそうなのでダウンロードして、音楽をmp3に圧縮して聴いてみたが、とてもじゃないが音楽に使うようなものではなかった。

デジタルによる録音は、データが変化しないが故に高品質が保たれるのが最大のメリットなのに、非可逆圧縮してデータの再現性が損なわれてしまったら意味がない。

たしかに実用上不便が生じない範囲でデータ量を減らすことが有効なこともあるだろうが、それは語学教材とか、通話とか、とにかく伝わりさえすれば音質にはさほどこだわらない、という用途に限られるだろう。音楽に使うというのはありえないと思った。


ところが、2010年くらいからクラブシーンなどであきらかに圧縮音源とわかる悪質な音源を使う人が出始めると、あっと言う間に普及し、そういう店には行く気がしなかった。
クラブシーンだけではなく、一般の音楽再生にも普及し、気軽に安くダウンロードできる圧縮音源ファイルで音楽を聴くということが完全にあたりまえになってしまった。
これはぼくの考えだが、圧縮音源の普及は、作り手とリスナーの両方の感受性を蝕み、創作される音楽の質は低下し、リスナーは音楽から離れていく。ぼく自身、ある曲が圧縮音源でしか手に入らないなら、その曲は聴かない。
現在のぼくの立ち位置は、音楽の購入はCD(またはレコード)のみである。
もちろんCDが完璧というわけではないが、世界中のあらゆる音楽ジャンルにわたって供給と音質が最も安定しているからだ。

DJが圧縮音源を使ってクラブシーンを破壊してしまうのには、店側にも原因がある場合がほとんどで、多くの店はDJにお金を払いたくないので、ちょっと音楽に詳しい客に目を付けて、おだてて、DJという称号(?)を与え、タダ同然で使う。タダ同然なのでCDを買うようなお金はなく、ダウンロード音源を使う。ひどい場合はyoutubeから録音してるなんてことすらある。
また”プロ”と称しているDJでも信じられないことに圧縮音源を使う人がいる。信じられないとしかいいようがない。
あるいはまた、せっかくCDで購入しているのに、リッピングで圧縮してしまってる人がいる。もうどうしようもない。

それでは生演奏が至上なのか。
PAを介さずに完全に生音だけで耳に届く演奏であれば、生演奏に優るものはないと思う。
ところが現代の音楽は、生演奏といえどもほとんどの場合PAが介在する。
PAが入るコンサートやライブで、とくにポップスやロックの場合は、ほぼ例外なく音量がデカすぎる。ボーカルが歌っている内容が聴き取れるだろうか?おそらく全体の音量が大きすぎて聴き取れない場合がほとんどだと思う。
その点、CDであれば最適な録音ですべての楽器や歌がきれいに聴き取れるようになっている。
なのでぼくは必ずしも生演奏が至上とは思っていない。

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2022年6月 8日 (水)

レコードからCDへ

高校に入ると、カートリッジによってレコードの音が変わるのがおもしろくて、カートリッジの収集を始めた。
初めてアンプを設計したのもこの頃で、一番最初は2SK30を使ったシングルMCヘッドアンプだった。
手作りしたアンプで音楽が聴けるのはとても楽しいことで、このあたりからアンプの道に入っていった。

この頃になるとCDプレーヤーが10万円を切るくらいの値段になってきていて、高校2年の時に友達がアルバイトをしてCDプレーヤーを買った。ただ、CDプレーヤーを買ったらすっからかんで、CDを買う金がないというオチがついていた。

大学に入ると、CDプレーヤーの値段もかなりこなれてきた。ぼくもアルバイトしたお金で初めてYAMAHAのCDプレーヤーを買った。大学の生協で3~4万円くらいだったと思う。

このころから金田式アンプの本などを参考にあれこれ試行錯誤し、最終的に金田式ベースのプリアンプとパワーアンプを作って、それから卒業後も含めて10年以上このセットを使って音楽を聴くことになった。


実家で父に借りて使っていたスピーカーは、テクニクスの12センチフルレンジ+ツイータ+パッシブラジエータの2WAYだったが、どうもツイータの鳴りが不自然な気がして、結局ネットワークを外してツイータは使わずにフルレンジ直結で使っていた。

大学を卒業して就職したときには、初めて実家を出て会社の寮でひとり暮らしを始めたが、実家ではスピーカーを父から借りて使っていたため、引っ越したときに新しいスピーカーを買いにいった。このとき買ったのが、今も使っているビクターのSX-100だった。12.5センチアルミコーンフルレンジ+バスレフだ。
このときは、実は見た目のかっこいいホワイトコーンのNS-10Mを買うつもりで秋葉原に行ったのだが、試聴させてもらったらまったくピンとこず、結局予算内で、聴いた中でいちばん印象がよかったSX-100にしたのだった。実家で聴いていたフルレンジに耳が慣れていたせいか、マルチウェイはどうもツイータが耳障りな感じがして違和感があったのだ。

就職して最初に配属されたのはMO(光磁気ディスク)ドライブの開発部隊だった。本当はオーディオ部門に入りたかったのだが叶わなかったのだ。MOドライブというのは非常に多くの種類の技術を必要とする分野で、入社当時は大学の専門に合わせて機構設計のチームに配属されたが、どうもあまりおもしろくなかったので、無理を言って回路設計に配置換えをしてもらった。
このとき、アクチュエータドライブICの回路を見る機会があったのだが、この回路はBTL電流駆動という、オーディオでは見ることのないおもしろい駆動方式だった。BTL電流駆動のICは日立のHA13490というデバイスだった。
「スピーカーを電流駆動するとどんな音がするんだろう?」
ふとそんなことを思ったが、当時仕事は充実していて、ジャズピアノを習いに行ったり、ジャズダンスを習いに行ったり忙しく、寮の部屋も狭かったため、部屋ではんだごてに火を入れて実験するようなことはなかった。

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