電子回路

2020年5月20日 (水)

LTSpiceでトライアックをシミュレーションする

中華製はんだごての件でトライアックにほとんど初めて触れたので、この機会にサイリスタについて考察しておこうと思い、まずはLTSPICEでのシミュレーションをしようとしたが、なんとLTSPICEにはトライアックもダイアックも記号があるだけで中身がない。たとえば図1のような回路を書いてシミュレーションしようとするとエラーが出る。

2_20200520090301
図1.トライアックに関するエラー
これは、「”トライアック”という部品の中身がわかりません」ということ。


トライアックやダイアックは、LTSPICEの部品としてLib\sym\Miscに格納されているが、これは部品記号だけで中身(部品としてのパラメータ)をもっていないので、このままでは使えないということのようだ。
こういう場合はどこかからシミュレーションモデルをもらってきて、回路記号に対して割り付けてやる手続きが必要だ。備忘録として書いておく。

今回はSTmicro社からトライアックとダイアックのシミュレーションモデルを入手した。
STmicroのホームページの検索で、”Triac SPICE”で検索するといくつか候補が出るので、今回はこの中から
en.standard_snubberless_triacs_pspice.zip
をダウンロードした。ダイアックも同様に”DIAC SPICE”で検索して、
en.diacs_pspice.zip
をダウンロード。

ダウンロードしたら解凍して、
C:\Users\higo\Documents\LTspiceXVII\lib
の下にホルダごとコピー。(どこでもよい)

次にLTSPICE上で.opを使って、”.lib”と入力し、回路図上の適当な場所に貼る。
その貼付けた”.lib”を右クリックし、BROWSEボタンを押して、先ほど解凍してコピーしたホルダの中の.libファイルを指定する。たとえば次のようになる。

.lib C:\Users\higo\Documents\LTspiceXVII\lib\standard_snubberless_triacs_Pspice\st_standard_snubberless_triacs.lib

そしてこんどはコピーしたホルダの中にあるst_standard_snubberless_triacs.libをメモ帳などで開くと、部品型番ごとに

.subckt BTA12-600B A K G

などの記述があるので、使いたい部品の型番部分をコピーしておく。この場合は”BTA12-600B”(A K Gはピン名なのでコピーしない)。

回路に戻って、回路図上のTRIACを右クリックするとComponet Attribute Editorという窓が出るので、
①prefixがXになっていることを確認(違っていたらXにする)
②valueに先ほどコピーした部品型番BTA12-600Bをペースト

ダイアックも同じように行う。

回路は図2のようになる。V1が入力する交流電源(100V 50Hz)、R1が負荷だ。

 

3_20200520093801
図2.シミュレーション回路
DIACにDB3をTRIACにBTA12-600Bをそれぞれ割り付けた

 

図2の回路で、位相制御のタイミングを決めるC1,R2のうちR2を10kΩから300kΩまで50kステップで変化させたときのtransientシミュレーションを図3に示す。

 

1_20200520090301
図3.シミュレーション結果
閾値を決めるR2をステップで変化させると、負荷にかかる電源波形が削られていくのがわかる。


おもしろいですねー\(^o^)/

ちなみにLTSPICEの参考書はオーム社の「LTSPICEで学ぶ電子回路」がおすすめです。
著者の渋谷さんとはCQ社のイベントで一度お目にかかりました。サインもらっておけばよかったなあ。

 

| | コメント (0)

2020年5月10日 (日)

無帰還A級25Wパワーアンプ(基板頒布あり)

Cimg5979

 

以前、無帰還電圧アンプをこのブログで紹介したが、保護回路をどうするか保留にしたまま4年経ってしまった。
通常はスピーカー保護回路をつけて、リレーを使ってDC検出時にスピーカーを切り離すということをするが、リレー接点が入るのがいやなのでどうするか保留にしていたのだった。

この問題を解決するため、フォトボルでMOSFETを駆動してリレーの替わりにするという手段がある。これは一般的に知られたやり方なのでおそらく問題はないだろうと考えていたが、自分でやってみて特性に問題が出ないことを確かめたいと思っていた。今回コロナで自粛生活が続いており時間もあったので検証し、問題がなさそうだったので保護回路入りでアンプ基板を起こして作り直してみた。アンプ回路を図1に示す。

Schematic

図1.無帰還A級25W電圧アンプ
保護回路はベースとエミッタから入力する古いタイプのシンプルなものにした

 

回路は初段ダイヤモンドバッファで受けた後カレントミラーで電流を約2.2倍増幅し、RV2でI/V変換するとともにここでオフセット調整し、この段でバイアス電圧を発生してQ14、Q15以降の終段をドライブする。

全高調波歪+ノイズ(THD+N)の測定結果を図2、図3に示す。

Thd_l

図2.THD+N(Left)

 

Thd_r

図3.THD+N(Right)

 

今回は半導体のペア取りをまじめに行ったためか、あるいはひずみ率測定にwavegeneの「FFTに最適化」を試したためか、
前回の測定よりも若干よい特性になり、図3では一部0.01%を割り込む結果となった。

周波数特性は図4に代表して右チャンネルを示す。
また図5には10kHz矩形波の出力を示す。

Freq_res

図4.周波数特性
-3dB ポイントはおよそ300kHzあたり

 

10krect

図5.10kHz矩形波出力
群遅延によるひずみもないので位相補償なし

 

周波数特性と矩形波も問題なし。

出力インピーダンスと、スピーカープロテクト電圧の実測値を表1,表2に示す。

 

表1.出力インピーダンス
Impedance

 

表2.スピーカープロテクト電圧
Protect

 

出力インピーダンスは前回の測定とほぼ同じだ。むやみに低いよりも若干電流駆動気味になるため、スピーカーの低域と高域の特性がほんの少しだが持ち上がる。

スピーカープロテクトは±で若干非対称だが、問題のないレベルだと思う。

 

今回の実装基板を写真1に、アンプ組み込みの様子を写真2に示す。

Imgp3495

写真1.今回製作した基板

 

Imgp3512

写真2.組み込んだ様子

 

前回に引き続き今回も使用したCincon社のスイッチング電源CFM60S240は小さく安価だが、50Hz系のリップルやノイズが非常に小さく、フェライトコアのみの対策で十分な特性が得られた。

 

部屋では相変わらずauratone 5cをメインのスピーカーとして使っており、以前発表した無帰還電流駆動アンプを普段使いにしていたが、1年ほど前に知人が遊びに来た際に聴き比べをして、それ以来この電圧アンプを(保護回路がない状態で)つないだままになっていた。
通常、音に何か問題があると1~2ヶ月で機材を替えることになる(なぜか替えた瞬間は判断できない)が、この電圧アンプは1年ほど問題なく聴いていたのでスジは良いのだろうと思う。

今回はすんなりうまくいって残りの基板があるので、ご希望の方に頒布します。
生基板2枚ひと組(ステレオ分)と、製作説明書と回路図、部品表等の資料、製作例、LTSPICEのシミュレーションファイルをセットで2000円+レターパック代520円の合計2520円で頒布します。(自力で部品収集、部品選別、調整できる方が対象です。)

ご希望の方は表題に「基板頒布」とお書きのうえ、

dj_higo_officialアットhigon.sakura.ne.jp
(アットを@に替えてお送りください)

までお送りください。代金の振込先のご案内メールをお送りします。入金が確認でき次第発送します。

| | コメント (0)

2020年5月 6日 (水)

チップパーツ・キャビネット製作

最近は電子回路を組む場合にチップ部品を使うことが多い。手付けができる範囲なので1608サイズが一番多く、よく使うものをピルケースに入れて、実験机の引き出しの上に置いてある。

Cimg5972

写真1.お気に入りのダイソーのピルケース

 

Cimg5971

写真2.惜しむらくは、閉じていてもフタに隙間が空いていて部品がこぼれてしまう。
そのためスペーサーを製作してフタに貼ってある。

 

 Cimg5967

写真3.ピルケース山積み状態。下の方の部品を取り出すのが面倒なことに……

 

最近は種類が増えてきたので、ピルケースが山積みになってしまうと下の方のケースが取り出しにくい。

そこで今回はこのピルケース専用のキャビネットを作ってみた。

 

Chipcabi

図1.3D CADによるピルケース用キャビネット

 

設計したはいいが、はたしてうちにある3Dプリンタで作れるだろうか。
というのは、使っている3Dプリンタはヒートベッドのサイズが約16㎝x18㎝で、設計したこのキャビはおよそ85mmx140mmx90mmなので、140mmの部分がかなりヒートベッドいっぱいになる。
3Dプリンタを買って間もない頃、ヒートベッドいっぱいサイズの工作をしようとしてうまくいかなかったことがあったのだ。なぜかというと、ヒートベッドは中央から外側に離れるにつれて温度が下がり、端の方は材料の着きが悪くなって浮いてめくれ上がってしまうことがあるからだ。

念のため赤外線温度計で測ってみると、図2のようになっていた。

Heatbed_temp

図2.ヒートベッド温度分布(60℃設定)

 

材料はPLAを使うので、標準的には60℃設定だが、今回は大物なので63℃でやってみることにした。

 

Cimg5970

写真4.プリント完了\(^o^)/
今回はヒートベッドの温度を上げたことが奏功したのか、うまく印刷できた\(^o^)/

 

Imgp3514
写真5.
2つのキャビネットを組み合わせているところ

ピルケースの収納もこのとおり。

Cimg5975

写真6.チップ部品用ピルケースキャビ完成\(^o^)/
今回は設計したキャビを4つプリントした。1つプリントするのに9時間40分かかるので、実に40時間近くかかった。

 

ちなみに当方で使用している3Dプリンタは、PRN3Dというキットだ。

参考のため、ピルケース用のスペーサーと、今回製作したキャビのstlデータを貼っておくので、ご自由にどうぞ。

ダウンロード - partsboxplate00.stl

ダウンロード - 20200504chip_cabi0022886029.stl

 

| | コメント (3)

2020年4月23日 (木)

オゾン発生回路(挫折中止)とインダクタンス測定

オゾンによるウィルスの不活性化という話がある。
今般のコロナウィルスについてはオゾンで不活性化できるかどうか検証がされていないためなんともいえないが、部屋でオゾンを発生させておけばひょっとすると効果があるかもしれないと思い、簡単にオゾン発生装置が作れないか検証した。(途中で挫折中止するので注意。)

オゾンは高圧を発生させて放電すれば発生する。コピー機やレーザープリンタを使ったときに感じる独特のちょっと生臭いような臭い、あれがオゾン臭だ。

高圧や高周波関係の仕事はほとんどやったことがないので、手持ちの部品が限られており、秋葉原も休業中なのでできることは限られている。
手持ちの部品ですぐに検証できる回路としては、ジュールシーフ発振昇圧回路とコッククロフト・ウォルトン回路くらいしか思いつかない。リチウムイオン電池でジュールシーフ回路を駆動して数十ボルトのパルス電圧を発生し、コッククロフト・ウォルトン回路で高倍率整流を行う。図1、図2にシミュレーションの様子を示す。

Jcwc_sch

図1.検証したジュールシーフ+コッククロフト・ウォルトン回路

 

 Jcwc_chr

図2.回路のシミュレーション
シミュレーションでは出力が130V以上出るようだが、実際の回路では92Vだった

 

ジュールシーフ回路の出力は、発生した電圧でトランジスタを破壊しないように47Vのツェナーをつけた。

シミュレーションでは130V超の電圧が得られそうだが、実際に回路を組んで動作させたところ実測92Vだった。せっかくなので入力電流と負荷による電圧の実測値を書いておく。いずれも入力は3.6V。

負荷   入力電流   出力電圧
100kΩ  120mA   20V
1MΩ   170mA   65V
オープン  170mA   92V

オゾン発生に必要な電圧は少なくとも数千ボルトなので、遠すぎるのでここでこの実験は打ち切りとする(^-^;(そりゃそーだ)

そういえば、何の目的で買ったのかは忘れたが、高圧発生モジュールが部品箱に入っていた。(写真1)

4_20200423124701

写真1.高圧発生モジュール

 

amazonの説明文では、3~6Vの入力で400KVが出力できるという。400KVあればオゾン出まくりだろう。オゾン層も修復できるかもしれない。

嬉々として電池をつないでみたが、放電も弱々しく、放電距離は0.5mmくらいしかないのでせいぜい1000V出てるかどうか。訴えてやる。
いちおう、放電させるとオゾン臭はするので、まあ、多少は………………

うーん、それなら中古のイオンクリスタでも買った方が早そうだ。

そういうわけで、オゾン発生はまた別の機会にトライするとして、
今回ジュールシーフ回路を組むのに使ったトロイダルトランスはパーツ箱に入っていたよくわからないトロイダルコアにホルマル線をバイファイラで10回巻いたものだ。

高周波や電源を専門でやっていないと、どうもインダクタというのをキチンと考察する機会が少ない。
今回使ったトロイダルコアも、今回の実験のような機会にあれば便利だと思って、特性もよくわからないものを買っておいたものだ。
今回はちょうど良い機会なので、手持ちのコアの特性を簡易的に測ってみた。ホルマル線を10回巻いたときのインダクタンスだ。

1

写真2.インダクタンス測定の様子
Aliで800円ほどだったLCRメータを使用した測定

Aliで800円ほどだったLCRメータを使用した。これはLCRのみならず、ダイオード、FET、トランジスタなどの測定もできるスグレモノだ。
インダクタンスはどのようにして測っているのかと思い、測定端子の波形を見てみた。図3

3

図3.インダクタ測定時の端子波形
インパルスを印加して、共振周波数からインダクタンスを割り出しているらしい

 

インダクタの測定方式は、測定用の信号を与えてインピーダンスを測っているのかと思っていたが、どうやらインパルス印加による共振周波数から計算しているらしい。

 

2

図4.手持ちのコアやインダクタの測定結果
市販品の100μH(AL0307)が80μH、2mHのインダクタが2.03mHだったので、測定精度はわるくないようだ

 

コアごとに透磁率μを逆算して管理しておくことも考えたが、目安としては10回巻あたりのインダクタンスを記録しておく方が直感的にわかりやすいような気がする。インダクタンスは巻き数の2乗に比例するので、たとえばインダクタンスを半分にしたければ巻き数は1/√2にすれば良い。インダクタンスが1/4なら巻き数は半分にする。

 

自粛中はふだんやらないようなことをやるチャンスですね(^-^)

| | コメント (0)

2020年4月22日 (水)

JFETを使った非安定マルチバイブレーター(2)

前回はトランジスタとJFETを使った非安定マルチバイブレータの記事を書いたが、その後、JFET2つのみで構成できないか検討したところ、どうやらダイオードをひとつ追加するだけでできるようなので紹介する。

JFETを使う場合、Vgs電圧をマイナスにしないとIdがOFFしないという特徴があるので、たとえば前回の回路ではゲートソース間にトランジスタのVBEが印加される回路になっていた。
トランジスタを使わなくても単純にFETのソースにダイオードをひとつ入れれば動作するのではないかということは考えていたのだが、FETの種類やランク、使用するダイオードのVF、それに時定数CRの選び方によって発振したりしなかったりということがあるようだ。

今回は図1の回路でLTSPICEによるシミュレーションと実際の回路による検証を行った。

 

Jfet_multivib

図1.JFETのみによるマルチバイブレータ回路

 

Jfet_multivib_gr

図2.LEDカソード電位(緑)とLED電流(ピンク)

 

図2のシミュレーションでは1周期5秒ほどだが、実際に回路を組んで動作させると0.5秒ほどだった。LED電流波形は前回のFET-TRタイプと似ているが、FETのみの場合は動作領域をVGS<0と考えればたかだかIDSSなので大電流は流せない。
時定数CRの組み合わせや使うFETによっては発振しないので、回路の自由度は低い。

 

動画1.JFETのみによるマルチバイブレータ

| | コメント (0)

2020年4月17日 (金)

JFETを使った非安定マルチバイブレーター

トランジスタを2個使った非安定マルチバイブレータという回路がある。発振回路やフリップフロップ、ラッチなどの基本となる回路だ。

遠い昔、高校の文化祭での無線部の出し物として、このマルチバイブレータ回路を使ったLEDの点滅バッジを売ったところ飛ぶように売れた。たしか原価が300円ほど(このうち電池が半分ほど)で、これを500円で売っていたが、販売制限をかけないと初日で売り切れてしまうほどで、当然のごとく完売御礼、利益が出たので文化祭終了後に養老の瀧に打ち上げに行ったほどだ。

当時採用した回路は図1に示すようなものだった。

Normalmv_sch

図1.マルチバイブレータによるLED点滅回路
文化祭で売ったものは、R=100KΩ、C=47μF程度だったと思う。

 

この回路を安全ピンで留められる切手ほどの大きさの基板に詰め込んで、電気ウキ用の3Vのリチウム電池を使って動作させていた。
小型化のためにコンデンサを小さくしたいので、時定数CRが同じになるようにコンデンサCを1/10にしてRを10倍にすることは考えたが、ベース電流が無視できなくなるため理屈通りとは行かず、けっきょく47μのタンタルコンと100kΩにしたのだった。

それでもその当時、コンデンサを小さくして抵抗を大きくするやりかたで理屈通りに動作する方法はないかあれこれ考えて試行錯誤し、JFETを使ってCRの部分をゲートで受ければ電流が流れないので、ほぼ理屈通り動作することがわかった。図2のような回路だった。
ただ、FETは高価だったことと、LEDが明るくなる分電池持ちがわるくなったため結局採用されなかった。

 

Hibridmv_sch

図2.JFETを使った回路
ゲートは電流が流れないので、ほぼ理論通りの時定数で動作する

 

あの当時だとトランジスタは2SC1815、FETは2SK30か2SK19あたりだったのではないかと思う。

この回路を今になって思い出したので、シミュレーションと実験をしてみた。

図3がノーマルタイプ、図4がFETタイプのシミュレーション結果だ。ピンクで示すLEDの電流に注目してほしい。

 

Normalmv_chr

図3.ノーマルタイプのシミュレーション
緑がLEDカソード側電位、ピンクがLED電流。ピンクのLED電流が、針のような一瞬しか流れていない

 

Hibridmv_chr

図4.FETを使ったタイプのシミュレーション
ピンクのLED電流はON時間を通して強力にLEDを駆動している

 

当時はほとんど時定数の理論通り動作することがわかったので、満足してそのまま忘れていた。ところが今になってなぜか急に思い出したので、LTSPICEでシミュレーションしてみたわけだ。
トランジスタを使わずにJFET2個だけでやる方法がないかも考えたが、なかなか難しそうだ。

動画1.ノーマル回路(R=10MΩ、C=0.47uF)

 

動画2.FETをつかった回路(R=10MΩ、C=0.47uF)

 

 

| | コメント (0)

2020年4月13日 (月)

中華製温調はんだごて(2)

Compare2

2/13に中華製温調はんだごての記事を書いた。その中で、このコテは温度調整をフィードバック制御していないと判断したと書いたが、昨日読者の方よりフィードバック制御はしているようだ、というコメントをいただいたので再検証した。コメントありがとうございました(^-^)

このコテは180℃~500℃の温調機能がついているが、実際に使おうとすると180℃設定でも実測380℃ほどで、まるで温調が機能しておらず使い物にならなかった。

結論を先に言うと、抵抗一本の追加でなんと温調機能が有効になり、温調コテとして問題なく使えるようになった。

Kote_schematic

図1.回路図
R3(56k)とマイコンの間に分圧抵抗100kΩを追加

 

Imgp3461

写真1.分圧抵抗100kΩ追加の様子
写真では56kΩがR2になっているが、検出用の1Ω(1R00)がR2とあるので、回路図上はR3とした。R2(1R00)のGND側に100kΩをはんだ付けし、R3(56kΩ)のマイコン側にジャンパ線で接続。

 

変更内容は図1、写真1のとおりで、検出抵抗R2(1R00)からR3(56kΩ)を介してマイコンに戻る検出信号を100kΩで分圧する。
変更後の温度の実測値を図2に示す。

104

図2.100kΩ追加後の設定温度vsこて先実測温度

 

これなら十分実用的だ。すばらしい\(^o^)/

 

ところで、上は検出値を分圧する方法だが、検出抵抗1Ωを少し小さくする方法も検証した。回路図のR2(1R00)に並列に2.2Ωを追加する。

Imgp3458

写真2.2.2Ωを追加する
2.2Ωは1W品を使用。

 

このときの実測温度は図3のとおり。

2r2

図3.2.2Ω追加時の設定温度vsこて先実測温度
先の100kΩ改造よりも温度は高めになるが、このやり方でも可能。最適値は2Ωか1.8Ωあたりか?

ちょうどよさそうな抵抗の手持ちがなかったので、2.2Ωをつけて検証したが、もう少し下げれば設定値に近くなるのではないか。

 

【言い訳】

さて前回の記事で、フィードバック制御はしていないように思うと書いたが、なぜそういう判断をしたか、うかつな自分への戒めを込めて言い訳しておく。

①回路を写し取ってながめていたところ、検出抵抗1Ωから56kΩを介してマイコンに入っている。これは交流をそのままマイコンに入力しているため、違和感を感じた。なぜなら、まずマイコンにマイナス電位が入力されることになるので、自分ならこういう設計はしない。やるならマイナスに振れないようにダイオードを入れるだろう。またA/Dで温度を測るなら、自分ならコンデンサで積分して平均化すると思う。この場合はダイオードで整流してからコンデンサで平滑化する。ただこうするとサイリスタのタイミングが取れなくなるので、タイミング用の信号は別ポートで確保しておく。

②実際にはフィードバック制御も疑っていて、56kΩを10kΩや100kΩに付け替えてみたが変化がなかった。経験的にマイコンの入力ピンのインピーダンスは数十kΩから100kΩ前後くらいだろうと思っていたので、56kΩを変えれば分圧比が変わるのでA/Dへのフィードバック値も変わり、温度が変わるのではないかと考えたため。(使用されているマイコンMS51FB9AEの仕様書には入力インピーダンスの記載はない)

 

ヒーターとの直列抵抗からヒーター温度を検出する方法は一般的におこなわれているやりかたで、ヒーターの抵抗値が温度によって変化して電流値が変わるため、直列に入れた抵抗(一定)の両端電圧が変化し、ここから温度検出ができる。

それにしても、原理的にも問題なくソフトも動作するものを作っておきながら、まったく使い物にならない状態で販売しているのはなぜだろう。大きな謎である。開発段階では問題なかったものが製造段階でなにか行き違いが起こったのか、それともマイコンの入力インピーダンスのばらつきなどの不確定要素を見落としていたのか…………

今回はもともと100V用のものを購入した後、もう一本追加で注文したところ、先方のミスで220V品が送られてきたが、おもしろいことに100V品も220V品もプラグが違うだけでハードもソフトもまったく同じものらしい。非常に効率の良い設計をしている。なのに結果として不良品として売られていることは残念に思う。

 

おまけ。きょう羽化した越冬アゲハ\(^o^)/

Cimg5923

| | コメント (6)

2020年3月10日 (火)

リチウムイオン電池はリハビリで復活できるか(続報)

前回は劣化したボタン型リチウムイオン電池LIR2450(容量120mAh)に対し、200mAで充電、370mAで放電という試験を繰り返し行ったが、回復はできなかった。しかしながらこれでは電池スペックに対して条件が厳しすぎる(リハビリというよりは耐久試験?)という感もあるので、追加試験として、愛用しているデジカメEX-ZR300付属のバッテリーNP-130(1800mAh)に対して繰り返し充放電試験を行った。

この電池もしばらく充電状態で放置してしまったため、満充電後もすぐに電池マークが低下するようになってしまった。

今回の充放電の条件は、

・およそ360mAで開放電圧4.1Vまで充電、同じくおよそ360mAで開放電圧3Vまで放電

とした。1800mAhに対してかなりやさしい充放電条件だといえる。

この電池がどの程度劣化していたかというと、ほぼ新品の同型式の電池が充放電1サイクルにおよそ10時間20分かかるのに対し、今回試験に使用した電池は1サイクルおよそ8時間20分ほどだったので、20%ほど容量が減ったと考えてもいいかもしれない。

1サイクル10時間というのは、充放電ともに360mAで5時間ずつだと考えれば驚くほど計算通りだ。

今回は20%劣化した電池に対して上記の充放電試験を連続12サイクル(100時間)行い、1サイクルに要する時間が8時間→10時間まで回復するかどうか、またその見込みはあるかを検証した。

Liion

図1.サイクル試験結果
6サイクル目で復活に向かうかのように見えたが、その後低迷してしまった。

 

図1に試験結果を示す。

4~6サイクル目でサイクル時間が増加しており、復活するかように見えたが、7サイクル目で減退し、その後横ばいとなった。
明日から出張なので、一旦ここで終了した。

これを繰り返し行っても、サイクル時間が10時間にむけて回復するのは難しそうだ。

 

リチウムイオン電池復活!という記事のうちいくつかは、開放電圧が一定レベル以下に下がった電池(充電器の安全回路によって充電が開始されない)に対して、試験的に別手段で充電して開放電圧を上げたら、ふたたび充電器で充電できるようになった、というもので、性能劣化に対して回復的な効果があったとは書かれていない。

というわけで、さんねんながら劣化したリチウムイオン電池のリハビリ回復は期待できない。

(コロナのおかげで引きこもっておこなった検証でした)

 

| | コメント (2)

2020年2月25日 (火)

リチウムイオン電池はリハビリで復活できるか

デジカメの予備や、実験用にストックしておいたリチウムイオン電池が、思いのほか使う機会が少なく、充電状態で長期保存してしまったために、劣化させてしまい無駄になることがよくある。

もったいないのでなんとか復活させられないか、といった話題がネット上に散見される。わりと多く見られるのが、徐々にリハビリ充放電をしたらふたたび使えるようになったというものだ。本当だろうか。

そこで、実際にリハビリ充放電に効果があるかどうか検証したので報告する。

今回対象にしたのは組み込み機器や携帯機器に使おうと買ってストックしてあったボタン型リチウムイオン電池LIR2450だ。在庫のうちの1個が開放電圧0.3V程度になってしまい瀕死の状態なので、これを試験用電池とした。

実験用電源装置で、電池の温度と電流の様子を見ながら、何回か手作業で充放電をしてみたところ開放電圧は4V程度まで回復したが、放電させてみると容量が全くなく、負荷をつないだ瞬間に電圧が下がるので、やはり劣化状態だ。

この電池に対して根気よく繰り返し充放電を行ったら、はたして性能は回復するだろうか。手作業で行うのは面倒なのでバラックで装置を組み立てた。

Reha1

写真1.リチウムイオン電池リハビリ回路基板

黄色い縁取りのボタン電池が今回の患電池。右にあるのがPICマイコンとLCD表示器。

 

20200225liionreha_20200225211101

図1.リチウム電池リハビリ回路図

対象のリチウムイオン電池は図中のBatt。

 

回路は図1に示すとおりで、目的は充放電を繰り返し行い、

①充放電1サイクルに要する時間(回復すれば時間は増加する)

②無負荷、有負荷時の電圧(回復すれば電圧差は少なくなる)

が調べられるように液晶に表示し、加えてトータル試験時間も表示する。

今回の対象電池は、LIR2450というボタン型リチウムイオン電池で、容量は120mAh。少々厳しめに、充電電流を200mA、放電電流を370mA(3.7V10Ω負荷)として、繰り返し充放電試験を行う。

簡単に回路の説明をする。

充電電流はマイコンのDACから出力された制御信号をQ1Q2で構成するカレントミラーで電流変換して、DAC出力電圧に比例した定電流で充電するようにする。このMOSFETはAO3406というSOT23パッケージのもので、IDの最大定格は3.6Aだ。電源のON/OFFなどが主な用途だと思われるので、カレントミラーを組むのは例外的な使い方だと思う。パッケージが小さな表面実装用なので、熱結合はせずはんだで近接的につながっているだけだ。それでも今回の用途では問題なく動作した。

充電はcharge信号でQ3をONして7Vを供給し、上で説明したカレントミラーで定電流制御をする。つまりQ3→Batt→Q2→R2の方向に充電電流が流れる。

次に放電回路はDischarge信号でQ5をONしてD1→Batt→R3→Q5の方向に放電電流が流れる。charge信号とDischarge信号は、同時にONするとQ3,Q5に貫通電流が流れて破壊する可能性があるので、同時にONしないように注意する。逆流用のD1は、Q2のボディダイオードでもいいような気がするが、子供が見てもいいようにお行儀よい設計にした。放電電流も充電と同じくDAC制御型のカレントミラーでマイコンから制御できるようにすることも考えたが、手持ちのマイコンでDACを2つ以上積んでいるものがなかったので今回は単に抵抗負荷(R3)とした。

電池電圧の測定は、電池の両端をADC1、ADC2で取り込んで差を取るつもりだったが、この回路ではADC2がD1の電圧降下分GNDよりもマイナス電位になってしまうためこのままではAD検出ができず、変化だけ見られれば良いことにして、けっきょくプラス側のADC1だけ使うことにした。充電電流もADC3で検出できるようにしているがこれも使わなかった。

マイコンは部品箱にあったPIC16F1503を使い、プログラムはXC8でコンパイルした。1503は秋月で85円で買えるお気に入りのマイコンだ(^-^)

シーケンスは、まず充電(200mA)を開始し、開放電圧が4.1Vになったら放電モードに切り替える。放電モードでは10Ωを負荷として平均約370mAの放電を、開放電圧が3Vになるまで行う。3Vまで放電したら再び充電に入る。電池電圧の測定は充放電両モードとも2秒ごとに行う。

液晶には、①開放電圧 ②10Ω負荷電圧 ③充放電1サイクルに要した時間(秒) ④積算試験時間(秒)を表示した。

まず、手持ちの電池のうち、劣化していないものは、

・開放電圧と負荷時(10Ω)電圧の差がおよそ0.5~0.7V(ダイオード分を差し引くと0.2~0.4V)
・充放電1サイクルに要する時間がおよそ15分ほど

これに対し、今回試料とした劣化電池は試験開始時には

●開放電圧と負荷時(10Ω)電圧の差がおよそ0.8~1V(ダイオード分を差し引くと0.5~0.7V)
●充放電1サイクルに要する時間およそ2分

試験開始から数時間後には、電圧差、サイクル時間ともにほんの少し改善したように見えたが、試験を継続するとしばらく横ばい状態がつづき、試験時間が2日(48時間)を過ぎる頃には劣化が始まり、試験終了の4日目には、

●開放電圧と負荷時(10Ω)電圧の差がおよそ1~1.2V(ダイオード分を差し引くと0.7~0.9V)
●充放電1サイクルに要する時間およそ1分20秒

まで劣化してしまった。つまり結論としては、

 

今回の充放電リハビリでは、電池を復活させることはできなかった

 

ということです(^-^;

うまくいったらソースコードも公開するつもりだったんですけど……

 

 

 

| | コメント (0)

2020年2月 3日 (月)

トランシーバーUV-5Rにマイクアンプ追加

 

Uv5r

144と430のFMで使える中国製トランシーバーUV-5R。

毎度おなじみaliで2700円ほどで購入したので、使えるようなら保証認定を通しておこうかと考えている。

このところにわかに無線づいてきているのは、首都直下型地震や北朝鮮のミサイル発射など、ひょっとしたらということもあるし、オリンピックイヤーでもあるので、なにかの役に立つこともあるかもしれないと思うからだ。何かあったときに電気とネットが落ちてしまったらもうどうしようもないのだ。トランシーバーが1個あれば情報収集ができる。

もちろん免許は持っていて、コールサインはJN1FLYだ。中学生の時に電話級をとってそのままになっているが、一応VX-8というトライバンドトランシーバーで登録している。

さて、格安トランシーバーUV-5Rだが、非常によくできていて、最大出力は8Wもある。これで保証認定を取ったという話はネット上にいくつも出ているので、そう難しくはなさそうだ。

ただ、テストをしてみて感じることは、どうも変調が浅い。この話もネットで散見される。

(一応念のため書いておくが、テストはローパワーに設定した上でアンテナを外して送信し、VX-8で受信した)

そこで、トランジスタ1石のVOX回路をマイクアンプに流用する改造を行った。

Uv5r_micamp

図1.VOX回路をマイクアンプに流用する回路図

 

オリジナルの状態では、マイクから入力した音声信号は、L,C,Rなどを経てそのままRDA1846(SDRのIC)のマイク入力に接続されている。

Q17のトランジスタ回路はVOX(音声に反応して送信状態にする仕掛け)用のアンプとして使われている。VOXはほとんど使うことはないと思うので、Q17をマイクアンプに流用する。

Q17のエミッタはもともとはGNDに落ちていたが、ここに470Ωを挿入してゲインを20dB(10倍)とする。工作のしやすさを考慮して、もともとついていたトランジスタよりもひとまわり大きいC1815(これはおそらく2SC1815のセカンドソース品)を使う。コレクタ抵抗が4.7kで自己バイアス用のベース抵抗1.5Mは、hfeの実測値が350程度だったので計算してみるとちょうど良い。

VOX回路のダイオードアレイD21(1SS372)を外すと、C139の出力側はオープンになるので、これを、L44右側のマイク入力を外して替わりにジャンパ線で接続する。

Mae

図2.改造前。L6の捺印がQ17、N9の捺印がD21。左上の角にあるのがL44。

 

 

Ato

図3.改造後。Q17をC1815に付け替え、もともとあったエミッタのグランドパターンをまたいで、エミッタから470Ω(471)でGND(パタン削って露出)に接続。D21は外して、L44の入力側がオープンになるように移動(左斜め下向きに回転移動)し、L44入力側にジャンパ線でアンプ出力(C139出力側)をつなぐ。

 

以上の改造ではたして変調は深くなったかというと、どうもさほど変化がないように感じる。マイクに口を近づけてしゃべると受信音がひずんでいるように聞こえるが、変調はあまり深くならない。ということは音声信号の振幅不足で変調が浅いのではなく、SDRデバイスのRDA1846の内部設定によって変調度が決まっているのかもしれない。

まあ、多少変調が浅くても使うことはできるので、この状態で保証認定を検討してみようと思う(^-^)

 

きょうは客先に届け物をしにいったら、近所の梅は満開で、ぼけの花もきれいに咲いていました(^-^)

Ume

Boke

 

 

| | コメント (0)