健康マニアックス

2014年3月18日 (火)

ブックレビュー 「傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 」 夏井睦

夏井先生は湿潤療法の第一人者であり、前回紹介した糖質制限食の江部先生と意気投合して共著書も出ています。

医療の巨大転換(パラダイム・シフト)を加速する―糖質制限食と湿潤療法のインパクト


湿潤療法とは、傷や火傷の新しい治療法で、そのやり方は、

①傷口は消毒しないで水でよく洗い流す
②水分を拭き取ってから患部にワセリンを塗り、絆創膏かラップで巻く
③日に1~2回患部を水で洗い流し、上の処置をする

従来、傷の治し方は、傷口を消毒して乾燥させるというものでしたが、これが大間違いだというのです。
まず消毒してはいけない理由は、

・消毒薬によって表面の雑菌は洗い流せるものの殺菌はできない(菌は休眠状態になるだけ)
・消毒薬によって傷口のタンパク質が変性するため、痛む上に傷の治りが遅くなる

殺菌ができない以上、ただの水で雑菌を洗い流すことで同じ効果が得られるうえ、水ならば痛くないし、タンパク質変性も起こらないため無害です。
(タンパク質の変性とは、肉を焼いたり、卵を茹でたりしたときに変質するアレです)

そして乾燥させてはいけない理由は、

・傷口からにじみ出る体液(滲出液)は治療液であり、滲出液によって細胞が再生される

つまり、水で洗って、乾燥しないようにワセリンを塗ってラップで巻いてジュクジュクさせておけば、早くきれいに治るというわけなのです。
ただし、日に1~2度は洗って交換しないと化膿したりしますので、これは注意が必要です。

この本で紹介されていますが、たとえば大腸の外科手術をしたときに、大腸の傷口は消毒しないし、縫合した傷口の上をウンコが通過するのになぜ感染や化膿が起こらないのか?
ということをこれまで疑問に思っていなかったのはおかしなことだったとしています。

体はモノの流れが正常ならば免疫力が働いて感染や化膿はしないようにできているそうです。
問題なのは流れがよどんでいる場合。たとえばウンコが通過せずに傷口にとどまればたちまち感染が起こります。

なので、この湿潤療法においても、日に1~2回患部を水洗いして処置をし直すことが重要なのです。

流れがよどんでいるとよくない、というのは風水にも通じて興味深いですね。

火傷についても湿潤療法は非常に有用で、同じように患部を洗ってワセリンを塗ってラップで巻いておけば痛みもなく早くきれいに治るそうです。

重度の火傷では、病院では皮膚移植を行うことがありますが、適切に湿潤療法を行えば皮膚移植も不要で、はるかに負担も少なく早く簡単に治療できるようです。
皮膚移植手術は保険点数が高いうえに手術は比較的かんたんに行えるので、効果よりも金儲け主義の治療法だと批判しています。

ただし、傷が深かったり異物が入りこんだりしている場合は医者に行かないといけません。


この時期は手指にささくれやあかぎれ、さかむけができやすいですよね。
ちょっと多めにワセリン(または馬油)を塗って絆創膏を貼っておくと、2~3日できれいに治りますよ。
湿潤療法の効果が簡単に実感できますのでやってみてはいかがでしょうか。

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

湿潤療法を応用したバンドエイドも発売されています。

バンドエイド キズパワーパッド


さて、今週末の3/21(金)春分の日はカレーサルサパーティー@中野SUBHAです。
おいしいカレー食べ放題、ALL DJ TIMEのSALSAパーティーです。
ぜひぜひ遊びに来てくださいね。お待ちしております♪

SUBHA SALSAアンケート結果はこちらです。
ご協力ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月11日 (火)

ブックレビュー 「ヒトはなぜ太るのか?」 ゲーリー・トーベス

サルサに関するアンケート実施中です。
ぜひご協力をお願いします。


この本のお話は昨年の6月ごろからフェイスブックなどで時々書いてきました。
ぼく自身この本の内容に興味をもち、昨年6月ごろより実践しています。

まず、ズバリ結論から書くと、

太る原因はただ一つ。炭水化物の摂取。これだけです。

(この文章では炭水化物=糖質とします)

では、これまでのダイエットの基本であった、カロリー制限、運動はどうなのか。

どちらも(長期的には)効果なし。

びっくりしますね。
しかも必須炭水化物などというものはないので、炭水化物を一切食べなくても全く問題はないのです。ここでいう炭水化物とは、米、麺類、パン類など、従来主食といわれているもの、芋類、糖類が入った甘いものすべて、それに甘い果物です。
逆に食べていいものは、
肉、魚、脂、卵、チーズ。これらはいくら食べてもOKです。
豆腐、納豆、ヨーグルト、ナッツ類などは、いくらでもとは言えませんが問題のないレベルです。

また、炭水化物をやめる場合に意識的に摂ったほうが良いものは、
葉物野菜(食物繊維による便秘の解消)、ビタミンCです。

さて、結論だけ先に書いてしまいましたが、本の内容について紹介します。

まず、世界的な調査によれば、貧困層ほど肥満が多いという実情があります。
それはなぜかというと、貧困層ほど炭水化物つまり主食(粉もの)の食事に占める割合が高いからです。
では、なぜ炭水化物が多いと太るのか。理屈はこうです。

①炭水化物を摂取する
②血糖値が上がる
③インスリンが出る
④血糖を回収してグリコーゲンや脂肪として蓄える

ということが起こるため、太るわけです。
つまり、血糖値を上げなければ肥満は起こらないわけで、しかも血糖値を上げるのは炭水化物だけなのです。

では、炭水化物を摂らない生活ではどのような状態かというと、常に脂肪を燃焼するというモードになるわけです。

さて、脂肪を燃焼するモードに入るとどうなるかというと、代謝が上がります。

これは原理的にもそうですし、ぼくも9か月続けていて実感があるのですが、代謝が上がることによって、次のようになりました。

・やせた
・体温が上がった
・冷え性が治った
・肌の調子が良くなった(冬も肌荒れがなくなった)
・髪が濃くなり、白髪が目立たなくなった
・爪や髪が伸びる速さが速くなった
・高血圧が大幅に改善した(内臓脂肪が減ったことによる効果)

つまり、肥満解消だけでなく、アンチエイジングの効果が強く出ます。

この本はアメリカで書かれた本ですが、同じく炭水化物(糖質)を制限する食事について研究している人が日本にもいます。
その第一人者がドクター江部こと江部康二先生です。
江部先生はご自身が糖尿病に罹患され、その治療の目的で炭水化物をほとんど食べない「糖質制限食」を実践、研究されており、著書も多数あります。

江部先生によれば、本来人類は肉食動物であり、糖質を主食としていることがそもそも間違っているとしています。
その根拠は、人類がサルから分かれておよそ400万年の間、狩猟採集生活をしてきており、その食生活は肉食だったわけです。
およそ1万年前に、おそらく食糧問題が起こってきたため農耕を始め、ここから初めて炭水化物を食べ始めたと考えています。
つまり、人類が炭水化物を食べ始めたのは歴史上ごく最近のことで、人類はまだ、炭水化物を食べることに適応できていないのではないか?ということです。

また、さらに考察を進め、現在問題になっている生活習慣病、

・肥満
・糖尿病
・心臓病
・高血圧
・がん

なども、炭水化物を減らすかやめることで解決する可能性が高いとしています。
上記の上から4つは肥満と深くかかわりがあるため、糖質制限による改善は理解しやすいと思いますが、がんについてはどうでしょうか。

まず、がんは体温が下がると発生しやすくなります。体温が35度程度まで下がると、かなり発生しやすくなるそうです。
炭水化物を制限することで代謝が上がると体温が上がりますから、まず体温を改善することでがん発生率が下がります。

また、発生してしまったがん細胞についても効果があるといいます。
がん細胞が栄養として使えるのはただ一つブドウ糖だけあり、人間は糖質制限をすることでブドウ糖のかわりにケトン体を燃料として活動することが可能なので、炭水化物を制限してブドウ糖の生成を抑えればがんを抑制できる可能性があるということなのです。

ほかにも炭水化物を制限することで、健康上のいろいろな効果があるようで、たとえば次のように検索することで、実例がヒットします。

ドクター江部 血圧
ドクター江部 白髪

ほかにもいろいろな健康上の症例を〇〇として 「ドクター江部  〇〇」で検索すると、多くのヒットがみつかります。
糖質制限(=炭水化物制限)は肥満の解消だけではなく、とても多くの改善効果がわかってきているようです。

そうはいってもいきなり炭水化物を全部やめるのは難しいかもしれませんね。そういう場合は、まずは昼食でご飯を抜いておかずだけにしてみる、慣れてきたら夕食もご飯抜き…という具合に徐々に始めるといいかもしれません。


ヒトはなぜ太るのか?

関連図書としてドクター江部の本も紹介しておきます。

医療の巨大転換(パラダイム・シフト)を加速する――糖質制限食と湿潤療法のインパクト


この本の共著者である夏井先生は、傷や火傷の最新療法である湿潤療法の第一人者です。
従来、傷は消毒して乾燥させて治療するとされてきましたが、これがまったく逆効果で、傷を早く治すには消毒せずに乾燥させないことがもっとも効果的だとする治療法、湿潤療法を確立されています。
湿潤療法関係のブックレビューは次回お送りする予定です。


普段の生活を快適に送るにも、良い仕事をこなすにも、サルサを踊るにもまずは健康ですね。


サルサに関するアンケート実施中です。
ぜひご協力をお願いします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月 8日 (土)

ブックレビュー 「がん放置療法のすすめ―患者150人の証言」 近藤誠

最近読んだ健康関連書籍を集中して紹介していますが、なかでも衝撃的だったのが近藤先生のがんシリーズです。

がんによる死亡率は年々上昇しており、いまや2人にひとりはがんに罹り、3人にひとりはがんで亡くなるなどといわれています。
なぜがんが増えているのかということはこの本の内容とは関係がないのですが、がんは生活習慣病の一種と位置づけられていることから、生活習慣ががん増加の一因になっている可能性が高く、その中でもおそらく最も要因として大きいのは食生活だと考えられます。食生活については糖質制限食に関する本を後日紹介する予定です。

さて、上記のように2人にひとりががんに罹るということであれば、もはやいつかは罹るというつもりで、罹ったらどうするか考えておくほうが建設的なのではないかとも言えます。

これまでのがん治療では、早期発見が大事で、早期発見から手術、抗がん剤治療などを施すことで助かる場合があると教えられてきました。これは、早期発見の時点で転移がなく、その時点で切り取ってしまえば治るし、もし運が悪く発見が遅れた場合は転移が発生し、もはや手術で取ることは不可能だという考えに基づくものです。

ところが著者の近藤先生はこれに異を唱えます。近藤先生によれば、

・すべてのがんは転移能力をもつ致命的な「本物のがん」か、転移能力がない「がんもどき」のどちらかである。
・がんもどきがあとから本物のがんに変化することはない。
・本物のがんは早期といわれる発見時期においてもすでに転移が始まっていて、もはや完治は不可能。
・がんもどきは放っておいても治ってしまうか、またはそれ以上成長せず害はほとんどない。
・本物のがんに対しては手術や抗がん剤治療には延命効果がなく、しかもほとんどの場合QOL(生活の質)を著しく低下させたり寿命を短縮させ、無意味。
・したがって、本物であってももどきであっても、症状がないかぎり放っておくことが最善であり、症状があってQOLが下がる場合のみ治療を検討する。
・早期発見の技術は発達しているが、死亡率は改善していない。したがって早期発見は無意味であり、発見が早い分生存期間が延びているように見せるトリックである。

(※抗がん剤は急性白血病や悪性リンパ腫などの血液系のがんや、固形がんのうち小児がん、子宮絨毛がん、睾丸腫瘍は治せる可能性があるためこれらは対象外)

これらは決して根拠なく述べられているのではなく、数多くのデータと根拠を示されています。
たとえば我々はがんとの闘いというと、壮絶な闘病生活の末に死亡するようなイメージがありますが、これは手術や抗がん剤の毒との闘いであって、がんそのものによる症状は穏やかで緩和ケアも発達しているためそれほど恐ろしいものではないそうです。

有名人ががん罹患を公表し、手術後数か月で急死などというお話がときどきありますが、ほとんどは手術や抗がん剤の毒によって「殺されている」可能性が高いということです。

がんに罹った時の最善策は上にも書いた通り、放置および様子見だそうです。
そして症状でQOLが低下した場合のみ治療、痛みが出た場合は緩和治療です。

最大にして最も困難な問題は、手術をしたがり、抗がん剤を投与したがる(=もうかる)病院からいかに逃れるか、また病院を盲信する家族をいかに説得するか、ということのようです。
また、早期発見をされてしまわないように、健康診断などは受けないほうが良いとも書かれています。
これには驚きました。

がん放置療法のすすめ―患者150人の証言 (文春新書)




関連書籍

抗がん剤だけはやめなさい (文春文庫)

医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年3月 5日 (水)

ブックレビュー 「二重洗脳―依存症の謎を解く 」 磯村 毅

ぼくがタバコをやめたのが2007年(だったかな…?)お酒をやめたのが2010年。
この2つは依存性嗜好品の代表格ですね。
この2つをやめる過程で、そもそも依存とは何かということを調べていて出会った本です。
依存とは、行為や体験によって脳内に快感物質(いわゆる脳汁?)が分泌されて快感を感じることを過度に渇望するあまり、
その行為や体験にハマり、耐性ができるためさらに強い刺激を求めて欲望がエスカレートしていく、というようなことです。
依存が形成される過程で、強力な要因となっているのが二重洗脳だといいます。
二重洗脳とは、簡単に言うと飴とムチのことで、たとえば、

①薬物の場合
摂取をのぞむ渇望感と、摂取した時の快感

②宗教の場合
カルマ論やバチが当たるなどといった脅しと、信仰やお布施へのご褒美

③女の場合
ツンツンされる不安感と、デレデレされる安堵感(いわゆるツンデレ)

④暴力男の場合
暴力をふるわれる恐怖感と、たまに優しくされる快感

⑤ギャンブルの場合
当たらない我慢の時間と、当たった時の快感

など、とにかく我慢、忍耐、恐怖といったものと、それに耐えた時の報酬がセットになっているようなものには、ほとんど依存性があるということです。
上記に挙げた例は、そのすべてが依存の原理を巧みに利用して、相手を虜にするという方法になっています。
そして、これらの原理を理解すれば依存を利用して人を支配することもできてしまいます。
そしてまた、依存の最も恐ろしいことは、快感に対する耐性ができてしまうことです。
タバコやお酒、薬物あるいは何かの行為などに強く依存している場合、快感に対する耐性が形成されます。するとどうなるか?
依存のない人が日常感じるささやかな快感、たとえば、
気持ちのいい朝だ、虹が出ててうれしい、花が咲いてうれしい、ごはんがおいしい、
夕日がきれい、きれいな景色だ、なんていい曲だろう…etc
こういうささやかな喜びに対して不感症状態になってしまいます。
そう考えると、喫煙者とか酒量が多い人って、ふだんなんとなく不機嫌そうな人が多いような気がしませんか?
日常のささやかな幸せが奪われるということは、おそらく思っている以上にもったいないことですし、
さらに恐ろしいことに、その延長上にうつや自殺などといったこともあるといいます。
この本はそういった、依存の原理、恐ろしさなどを学習し、「気づき」を与えることで依存から抜け出すことを目標に書かれています。

タバコをやめたい人、お酒をやめたい人、ほかの何かの依存から抜け出したい人、
依存によって人をコントロールしたい人におすすめです。(最後のは冗談です)

二重洗脳―依存症の謎を解く



| | コメント (0) | トラックバック (0)