音楽

2025年4月 1日 (火)

超シンプルAMトランスミッタ


Sch1
図1.超シンプルAMトランスミッタ


3月に行われた手作りアンプの会の「三土会」で、SさんがAMトランスミッタを発表されて、おもしろそうだったのでぼくもやってみようと思った。Sさんの回路は500kHzのセラミック振動子をクラップ発振回路で発振させ3逓倍したものをキャリアとし、DBM(ダブルバランスドミキサ)μPC1037でAM変調をかけて、出力バッファを経て送信するという、とても本格的なもの。

ぼくとしては当初トランジスタ1石のシンプルな発振回路にAM変調をかけて、簡単に実験して動作確認すればいいか……と思っていた。よくある回路は次の図2に示すような感じのもの。これはネットで見つけた、電子ブロックに付いてきたという回路。

Photo_20250401101501
図2.電子ブロックのAMワイヤレスマイク


とてもシンプルで、これなら手持ちの部品ですぐに作れそうだ(^-^)
しかし、これをこのまま作って、動きましたね、おもしろかったですね、ではおもしろくない。

なにかおもしろいやり方はないかな……と思っていたら、まくら様(眠ってると知恵をくれる神様)の啓示で図1のような回路が天から降ってきた。

74HCU04と水晶を使ったよくある発振回路の電源に音声信号を重畳すれば、発振波にAM変調がかかる。
電源に音声信号を重畳するには、単に直流電源に音声信号を直列に入れてやれば良いのではないか?
74HCU04の動作範囲は2V~6Vなので、電源として4Vを中心として、±2Vの音声入力を重畳することができるだろう。
ただし、これをやるには音声信号がDC出力(コンデンサでDCカットしていない直結状態)で、なおかつ振幅が4Vp-p程度欲しい。
ちょうどSSDACを使ったSDプレーヤーが直結出力で、出力レベルが最大2Vrms程度なので、簡単に実験することができそうだ(^-^)
もし直結出力でない信号を入れたい場合は、トランスを使えばできそうだが、今回は検証していない。
入力にトランスを使って2次側を電源と直列にすれば実現できる(後述)。

原理的には図1の回路で動作可能だが、74HCU04は6個のインバータが入っているので、残り5個の入力を処理しなければいけない。
そこで実際には残りのインバータの入力処理の意味も含めて図3の回路を作ってみた。

Sch2
図3.AMトランスミッタ回路
U1B~U1Fは余ったので接続しただけであり、図1の回路にして残りをGNDに入力処理しても同じように動作する。


この回路でBT1はリチウムポリマ電池で、消費電流は約5mA、アンテナは60センチほどのビニール線だ。
この回路で送信し、ラジオで受信した様子は次の通り。

動画1.送信、受信再生の様子
入力はSDプレーヤー、使用曲は、LA INDIAの"En Nueva York"

このとおり音声変調がかかり、送信できている。参考のため100kHz正弦波での変調波形を図4に示す。


Tek0030
図4.変調波形
1MHzの搬送波の上半分に100kHzの正弦波が重畳してAM変調になっている。


この回路では変調波形は上半分になってしまうが、上の動画で示したように音声はちゃんと送れている。
また、搬送波は方形波なので、奇数次の高調波が出まくっている。実用的には出力はDCカットしてLPFをつける。

さて以上は最終的な回路だが、じつはここまで多少の紆余曲折があった。
まず、手持ちの部品にAM放送帯の水晶がなかったので、4MHzの水晶を使って4分周して1MHzとして実験した(図5)。

Sch3_20250401131601
図5.4MHzの水晶を使って4分周して1MHzの搬送波を得る回路


原理的にはまったくこれでOKであるし、動作も問題なかったが、とにかく超シンプルに作りたかったので、やはり分周回路は省きたいところだ。

AMラジオ周波数帯の水晶なんかはどこにでもあるだろうと思って、ネットで探したがどこにもない(^-^;
さすがにdigikeyにはあったが、なんと1MHzの水晶1個で1700円位している。送料を入れたら4000円近い。お遊びに使うにはちと高すぎる。
そこで秋葉原へ水晶を探す旅に出た。いまとなっては、心当たりは日米商事くらいか……たしか大量の水晶発振子を見た記憶がある。
はたして、日米商事の水晶の部品棚を端から端まで探したが、ついぞAM周波数帯の水晶は出てこなかった……
ダメ元で千石とラジオデパートも巡ったが、やはりなかった。一昔前なら鈴商か、国際ラジオか、最後の砦の小沢電気があったのに……orz

というわけで、秋葉旅もむなしく途方に暮れて帰ってきて、念のためヤフオクを探していたら、かなり古めの巨大な1MHz水晶が950円即決で出ていた。送料は180円。うーむ、水晶というと100円かせいぜい200円くらいでほしいところだが……
ちょっと保留にして、念のためメルカリを探したらなんと、5個346円(送料込み)で出品されていたので嬉々として購入した\(^o^)/

図5の試作回路に対して、水晶をメルカリの1MHzのものに差し替えたが発振しない……
負荷容量を50pF位までの範囲であれこれ変えたり、出力側に抵抗を入れてみたりと、いろいろ試したがうんともすんとも発振しない。
これはひょっとして不良品か……となかば落胆しながらもなお試行錯誤をしていたら、もとの回路で電源電圧を2Vまで下げると1MHzの発振を開始した。そうすると条件次第で発振させられることがわかったので、さらに試行錯誤を続けた結果、出力側の負荷容量を1000pFにすると安定して発振開始することがわかった。負荷容量が1000pFというのはあまり聞いたことがない異常な数値だが、本当に水晶なのだろうか。じつはセラミック発振子だったりして……?
現物の写真を写真1に示す。

Imgp4112
写真1.YTK(?)の捺印が入った1MHz水晶

念のため購入した5個すべてに対して動作確認を行ったが、やはり出力側負荷容量1000pFとすると、安定して発振した。
このあたりは追求したいところだが、仕様が謎なので、とりあえず良しとする。


そういうわけで、とりあえずは超簡単AMトランスミッタが構成できました。
ネットで探してみると、タイマーIC555を使ったものが出てきますが、今回の方式はみつからなかったので、なかなかユニークなのではないかと思います(^-^)


【追記】
1MHzのセラミック振動子(写真2)がAliから届いたので、図3の回路の水晶の代わりに装着したらまったく問題なく動作しました。動作状態は水晶発振子を使った場合と同等です。

Imgp4113
写真2.セラミック振動子


【20250402追記】
トランスを使って入力する方法を、以下のとおり検証した。
図3の超シンプル回路で音声をAM送信するには、音源がDC構成の出力になっていることが条件だったが、トランスを使って入力することで非DCの音源(コンデンサでDCカットされたもの)も入力できる。

今回検証したのは部品箱に入っていたST-52、ST-72(いずれもドライバートランス)、ピエゾ用ドライブトランスの3種類。
ピエゾ用ドライブトランスというのは、あまりなじみがない部品だが、これは防犯ブザーなどでピエゾスピーカーを大音量で鳴らすために使われるトランスで、1次巻線と2次巻線が絶縁されていないオートトランスのような構成の3端子のトランスだ。写真を写真3に示す。

Transes 
写真3.今回使ったトランス
左から、ピエゾ用ドライブトランス、ST-72、ST-52。

ピエゾ用ドライブトランスは図6に示すような構造になっている。あまり販売しているのを見ないし、正式名称もよくわからないが、aliexpressで販売されていた

Piezo_trans
図6.ピエゾ用ドライブトランスの構造

今回検証したトランスの実測データは表1に示すとおり。


表1.実測データ
Trans

いずれも1次側の巻線抵抗が低めなため、音源のドライブ能力が要求される。とくにピエゾ用ドライブトランスは12Ωしかないので要注意だ。

入力にこれらのトランスを使用する場合の回路図を図7、図8に示す。


St_trans
図7.入力にST-XXトランスを使用した回路


Piezotrans
図8.入力にピエゾ用ドライブトランスを使用した回路


図7または図8の回路を使うことで、DCのソースも非DCのソースも使うことができる。
この回路では74HCU04の稼働電圧範囲2V~6Vをいっぱいに使ってAM変調をかけたいので、入力信号レベルをこれにあわせて4Vp-pとしたいところだが、入力でトランスによって昇圧できるのもメリットになる。ピエゾ用トランスでは7倍の巻線比があるのでお得な感じだが、入力側の巻線抵抗が12Ωしかないので音源側のドライブ能力が要求される。


【20250407追記 アンテナ追加】
以上の実験では、アンテナは60センチ程度のビニル線をつないだだけであり、ノイズなしで受信できる距離は高々1m程度だった。
アンテナの工夫だけでもう少し放射効率を上げられないか検討したところ、バーアンテナとバリコンで同調式のアンテナを組むことで放射効率が上がり、3-5m程度まで飛距離が伸びた。
【注意】電波法では無許可で出せる電波の範囲が決められていて、1MHzでは3mの距離における電界強度を補正した値が500μV/mより低いことと定められています。実験は自己責任でお願いします。

今回実験した1MHzでは、波長は約300mであり、アンテナを検討する場合、1/2λダイポールで150m、1/4λホイップなら75m必要なので、60センチのビニル線ではまったくデタラメに近い。そこで、ローディングコイルを入れて、1~2m程度の小型のアンテナが作れないかと考えていたが、それならばAMラジオ用のバーアンテナとバリコンで共振回路にしてこれをアンテナにすれば良いんじゃね!?と思い、実際にやってみた。アンテナはLC直列共振回路と等価と見なせるので、図9の構成にした。実装写真を写真4に示す。

Antenna_20250419183901
図9.バーアンテナコイルとバリコンによるアンテナ


Antenna_jissou
写真4.バーアンテナコイルとバリコンによるアンテナ実装の様子
白い円盤はバリコンのツマミ。


この状態でラジオをチューニングして少し離れた場所に置き、もっとも受信状態がよくなるようにアンテナのバリコンを調整する。
この結果、思いのほか飛距離が伸びて、60センチのビニル線ではまったく届かなかった隣室まで電波が飛ぶようになった(^-^)
なお、ビニル線アンテナでは消費電流は5mAほどだったが、このアンテナで同調させると消費電流は7~8mA程度に増加する。


【20250416追記 受信波形観測】
話が前後するようだが、通常のAM変調波形は図10のようになる。

Am_waveform
図10.AM変調の波形


ところが今回の超シンプルトランスミッタではすでに図4で示したとおり、変調波形が上半分になる。この場合、復調するとどんな波形になるのだろうか?
AM変調波の場合、通常はダイオードで包絡線検波を行う。簡単にいうと片側だけを通すように整流してエンベロープを復調波として得るというやり方だ。図10の波形であれば、ダイオードの向きによってプラス側が出てくるかマイナス側が出てくるかの違いがあるが、いずれにしても復調波が得られる。

それでは今回の片側だけの変調波形(図4)の場合はどうなるのだろうか?
ダイオードがA→Kの向きならエンベロープで復調波形が得られそうだが、逆の場合は?
下側が平坦なので復調波形は得られない?いや、それは違う気がする……

今回のトランスミッタ回路で1kHzの正弦波を送信して、実際にゲルマラジオを組んで音を聴いてみると、ダイオードがどちらの向きでも同じように聞こえた。回路を図11、図12に示す。

Rcv_ka_20250419183901
図11.ゲルマラジオ① ダイオード向きがK-A


Rcv_ak_20250419183901
図12.ゲルマラジオ② ダイオード向きがA-K

試聴は1MΩに並列にセラミックイヤホンをつないで行った。
それでは波形はどうなっているのだろうか?1MΩの両端をオシロで観測した波形を図13、図14に示す。


Ka_1mohm
図13.ダイオード向きがK-Aの場合の出力波形


Ak_1mohm
図14.ダイオード向きがA-K場合の出力波形


このようにダイオードの向きがどちらであっても復調波形が得られている。
ただし、送受信機間の距離が10センチ程度であったため、直流電界も含めて受信しているようだ。両図とも、1のマークが付いたカーソルラインが0Vなので、図13(ダイオードK-A向き)はマイナス、図14(ダイオードA-K向き)はプラスのオフセットが発生していることがわかる。直流電界は距離とともに急激に減衰し影響は小さくなる。


以上のように、今回のような片側変調でも、通常の復調回路で復調できることがわかりました(^-^)


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2024年12月17日 (火)

RIAAフォノイコライザを FIR デジタルフィルタで実装する ④ 実践&聴き比べ編

【参考記事】
RIAAフォノイコライザをIIRデジタルフィルタで実装する ①準備編
RIAAフォノイコライザをIIRデジタルフィルタで実装する ②係数計算編
RIAAフォノイコライザをIIRデジタルフィルタで実装する ③シミュレーション編
RIAAフォノイコライザをIIRデジタルフィルタで実装する ④実装・評価編
RIAAフォノイコライザをIIRデジタルフィルタで実装する ⑤Octaveによる位相検証

RIAAフォノイコライザを FIR デジタルフィルタで実装する ① 予告編
RIAAフォノイコライザを FIR デジタルフィルタで実装する ② 係数計算編
RIAAフォノイコライザを FIR デジタルフィルタで実装する ③ シミュレーション編

前回までで、実際にダイレクトリッピングしたwavファイルを入力して、FIRおよびIIRフィルタでRIAAイコライジング処理をする具体的な方法を説明しました。

今回は私がもっている何枚かのアナログレコードからパソコンでダイレクトリッピングしたサンプルソースを紹介し、実際に聞き比べた結果をお知らせしたいと思います。

まずはダイレクトリッピングする際に使用した機材です。図1がそのブロック図、図2は使用したフラットアンプの回路です。

Rippingblockdiagram
図1.ダイレクトリッピングブロック図


Flatampsch
図2.フラットアンプ回路(電源は±12V)


実際のリッピング作業では、SoundForgePro11を使ってファイルフォーマットは96kHz24bitのwavで行い、今回の検証用に、同じSound ForgePro11を使って48kHz16bitにダウンサンプリングしました。
ダウンサンプリングした理由は、今回3種類のフィルタタイプによる比較を行うにあたって、どちらかというとロースペックにした方が差が出やすいのではないかと思ったからです。

今回試聴した曲を何曲か紹介します。以下はすべてダイレクトリッピングしてダウンサンプリングした48kHz16bitフォーマットですので、実際にOctaveでRIAAイコライザを通して聴くことができます。

かっこ内はアーティスト名と収録DISKです。

Minor Swing(Stephane Grappelli/Live in Sanfransisco)

Whisper Not(阿川泰子/Journey)

Autumn Leaves(Bill Evans/PORTRAIT IN JAZZ)

夏服のイブ(松田聖子/Seiko Town)

ロックンルージュ(松田聖子/Seiko Town)

Take Five(Dave Brubeck/TAKE FIVE(Single))

Mambo Mongo(Belmonte & His Afro Latin7/OLE)

NIGHT IN TUNISIA(HOT SALSA/Hot Salsa meets Swedish Jazz)


さて、実際に試聴してみた印象ですが、思ったほど違いはありませんでした。というかほぼ同じです。
ただ、ほんのわずかにですが、FIRの直線位相タイプは女性ボーカルのサ行やパーカッションのハイハット、トランペットの音、バイオリンの弦がこすれる音や、音が細く掠れる場面などが少し物足りないというか、リアリティに欠けるように聞こえる印象がしました。
FIRの非直線位相とIIRはほぼ違いがなく、FIRの直線位相に比べるとリアルな音、という印象です。
ピアノの音や、大編成の演奏の音はほとんど差を感じませんでした。

もっともこれはブラインドテストではなく、自分でどのEQでかけているかわかっていますから、先入観でそう感じた可能性は多いにあります。
機会があれば、少し広めの会場でたくさんの人に聴いてもらって比較をしてみたいと思います。

みなさんもぜひ試してみてくださいね(^-^)


【20250118追記】
2025年1月18日、秋葉原で行われた手作りアンプの会の三土会にて、この記事で比較した3種類のデジタルRIAAイコライザの試聴会を行いました。試聴方法は、イコライザタイプ(FIR非直線位相、IIR、FIR直線位相)に①~③の番号をつけて、タイプの異なる3曲について聴き比べを行い、あとで①~③のうちどれがよかったか、あるいは違いがわからなかったということをみなさんに伺いました。結果が出るまでどのタイプが何番かは伏せておきました。

参加人数は14~15名、会場は秋葉原の万世区民会館7階洋室Aで、この会場は会議室であるため音響的にはライブでした。

結果はとても意外で、FIR非直線位相(アナログ等価)を選んだ人が2名、IIR(アナログ等価)が2名、FIR直線位相が残り全員となりました(@_@)
また、違いがわからないという人はいませんでした。

今回の結果から、理論的に正しい音が心地よいとは限らないということです。

IIRタイプについてはナイキスト周波数に近づくほど誤差が大きくなり、このときゲイン誤差と位相誤差がトレードオフの関係にあるため、どちらを優先した方が良いか?という試聴会も過去に行ったことがありましたが、このときはゲイン誤差は耳で差がわかるが、位相誤差はまったくわからない、という結果になっています。
そうすると、人の耳は位相には鈍感らしいということがわかります。

何事もやってみないとわかりませんね。オーディオは奥が深い……


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2023年10月16日 (月)

各種SSDAC基板 頒布再開のお知らせ

FPGA入手難につき、各種SSDAC基板の頒布を中止しておりましたが、

このたびようやくFPGAが入手できましたので、頒布を再開いたします。

引き続きよろしくお願いします。

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2023年6月28日 (水)

4.5㎝スコーカーのBTL電流駆動(ラズパイPico SDプレーヤー)

Pico1

写真1.戦利品のSONY4.5㎝スコーカーとメディアプレイヤー
4.5㎝スコーカーはamazon段ボールに穴を開けたバッフルにはめ込み、アンプはオペアンプAD8534を使ったBTL電流駆動。


先日、手作りアンプの会のイベントで、SONY製4.5㎝スコーカーを4個100円でゲットしたので、何か使い道はないかと思い、SDプレーヤーを試作してみた。

このスコーカーは特性も型番もわからないのでネットで調べると、販売しているサイトが見つかった。なんと1個200ドル(@_@;
販売サイトは見つけたものの、結局特性はよくわからないまま。

とりあえず仕事で着手していたメディアプレーヤーにつないで音を出してみたところ、案外元気に鳴る。ただ、スコーカーということなので、帯域はおそらく300~5kHzくらいじゃないかと思われた。
ぼくはマルチウェイはあまりやる気がしないので、これを単発で鳴らす実験をすることにした。
帯域の狭いスピーカーを無理に駆動するなら電流駆動がおもしろそうだ。それならばそのついでにBTLもやってみることにした。
遠い昔(30年ほど前)、メーカーでのMOドライブ開発のときにアクチュエータドライバに使っていたHA13490というICがまさにBTL電流駆動のドライバで、こんな駆動方式はオーディオアンプでは見ることはないが、アクチュエータ駆動ではよく出てくる。その当時、「これでスピーカーを鳴らしたらどんな音がするんだろう?」と思ったが、30年経ったいま、それをやってみようというわけだ。

今回製作した回路は、SDプレイヤー部はラズベリーパイPicoにSDホルダーとタクトスイッチがついているだけのきわめてシンプルなもので、アナログ出力は122kHzのPWMで出力されるのでDACすらついていない。ソフトの起動時にポップノイズが出るので、それをミュートするためにオペアンプの電源をPicoからON/OFFできるようにしている。出力はPicoのPWM出力をオペアンプで受けてローパスをかけ、出力VRを経て一段バッファし、ヘッドホン出力のあとにBTL電流駆動パワーアンプがついている。使用したオペアンプはAD8534という4回路入りフルスイングオペアンプで、出力電流が最大250mAとれるので、Liion電池一本でスピーカーを駆動する。同じ内容の2回路のオペアンプAD8532は秋月で入手できる。
ソフトはGithubからもらってきたMicropythonで書かれたもの。このソフトをベースにボタン操作部分を追加した。対応フォーマットは44.1kHz16bitのWAVファイル。

実際に音楽を聴いてみると、3.7Vのリチウムイオン電池1本でけっこうよく鳴る。部屋でBGM用に使うには十分だ。消費電流はステレオで最大150mAほど。

せっかくなので、アンプを電流駆動にした場合と電圧駆動の場合の音圧特性をとってみた。測定条件はスピーカー軸上正面10㎝、測定系はminiDSP UMIK-1、およびソフトにREWを使用した。測定結果を図1に示す。

Capture

図1.音圧特性(赤:電流駆動 緑:電圧駆動


赤で示した電流駆動では、274Hzに大きなピークが出ていて、これはスピーカーのf0だと推定できる。電流駆動によってf0が大きく増強されている。また高域もインピーダンス上昇に伴って音圧が徐々に上昇している。
電圧駆動では低音がまったく出ない印象で、やっぱりスコーカー単発では無理があるように感じられるが、電流駆動することで低域が持ち上がり、どうにかこうにか聴けるレベルの帯域感になったように感じられる。

そういうわけで、30年越しのBTL電流駆動実験ができて満足です(^-^)

 

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2022年8月 6日 (土)

YAHAアンプの味見2

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この記事は7/28YAHAアンプの味見の続編です。


【20220824追記】
前回の記事に掲載したLTSpiceによるYAHAアンプのシミュレーションは、その後の調査によりグリッドのバイアス電圧が生じていないことがわかりました。おそらく使用した真空管のSPICEモデルでは初速度電流が生じていないことが原因ではないかと思われます。
そのためカソードにバイアス電圧を挿入して再度シミュレーションしてみました(図A)。こちらの方が実際に組んだ回路に近い動作になっていると思います。

20220824yaha2
図A.YAHAアンプのシミュレーション(カソードバイアス付き)


前回の記事では、出力バッファにトランジスタのエミッタホロワを一段つけて動作確認したが、どうもこれでは真空管の負荷が重すぎるらしいことがわかったので、この点を考慮して再検証した。
エミッタホロワをダーリントンにするか、あるいはMOSFETに置き換えるか考えたが、今回はMOSFETを使ってみることにした。
今回検証した回路を図1に示す。

Yaha2sch
図1.今回検証した、MOSFET出力バッファのYAHAヘッドホンアンプ(片チャンネル)
※LRチャンネルのトータルの消費電流は390mA。

MOSFETはAO3406を使用した。これはVthが2V程度で、IDが3A以上、On抵抗が50mΩ程度と、電源のON/OFFなどの用途に重宝するので部品箱に常備してある。秋月で販売しているAO3400でも代用できると思う。パッケージがSOT-23なので変換基板を使用した。

今回は回路の改良に加えて、USB PDから電源を取る検証をあわせて行った。
USB PDはUSB-Cから電力を供給する仕組みで、5V、9V、12V、15V、20Vから選択でき、最大100W程度の供給が可能だ。
今回のYAHAアンプは12V電源なので、USB PDから12Vを供給すれば動作可能だ。
USB PDを使うには、これに対応したUSB電源とケーブル、それにUSBデコイと呼ばれるPDトリガーデバイスが必要だ。
今回使ったUSB PD対応電源と、USBデコイ基板を写真1~写真3に示す。

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写真1.USB PD対応電源アダプタUGREEN AceCube 30WとUSBデコイ基板

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写真2.USBデコイ基板  IP2721という専用のデバイスが使われている

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写真3.USBデコイ基板裏面 基板の種類とショートパッド(表面)により、電圧が選択できる。


最初に、USB PD出力を12Vに設定し、これでアンプを駆動してみたが、ハムノイズと、ヘリコプターのようなパタパタというノイズが乗ってしまい、実用には程遠い結果となった。平滑コンデンサで対策できるレベルではなかった。アンプにつないだ状態の電源波形を図2に示す。
次に、USB PD出力を15Vに設定し、図3に示すレギュレータ回路をつけて12Vを生成し、これをアンプに供給したところ、ノイズは問題のないレベルまで抑えられた。アンプ接続状態での電源の波形を図4に示す。

12vdirect
図2.USB PD12V出力のノイズ


Reg12v
図3.USB PD15V出力に追加した12Vレギュレータ回路


Reg12vfrom15v
図4.レギュレータ回路を使用した電源波形


今回は図1のアンプ回路に対して、USB PD電源アダプタ15Vから12Vレギュレータで生成した電源を使用して以下の通り評価を行った。
負荷33Ωでの100Hz、1kHz、1kHz方形波、100kHzの再生波形を図5~図8に示す。

100hz
図5.100Hz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)


1khz
図6.1kHz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)


1khzsqr
図7.1kHz方形波入力時の出力波形(黄色が出力)


100khz15db
図8.100kHz75mVrms入力時の出力波形(黄色が出力)

今回はプレート抵抗を20kに変更し、出力バッファをMOSFETに変えたことで、ゲインが14.5dB@50Hz、17.13dB@1kHz、15.54dB@100kHzとなった。1kHzを基準に、下は50Hzで-2.63dB、上は100kHzで-1.59dBという周波数特性が得られた。周波数特性を図9に示す。

F
図9.周波数特性


最大出力は、図10に示すとおり1.1Vrms@33Ωで波形がクリップするので、37mW@33Ω。

Clip
図10.クリップ波形  クリップは1.1Vrms@33Ωなので、最大出力は37mW。


ひずみ率はWavegeneとWavespectraを使って測定した。
すでに公表していたひずみ率は10kHzで6%を超えていたが、測定系に問題があったため再測定した。測定系の問題とは、Wavegeneのサンプリング周波数が44.1kHzになっていたことで、今回は96kHzにしてすべて再測定した。ひずみ率THD+N(%)を図11に示す。

 
Thdnall2

図11.THD+N測定結果(33Ω負荷)
※実用域ではおおむね1%以下、10kHzでは6%超と高め


図12に、およそ0.5mW時1kHz@33Ωの出力FFTを示す。ひずみは2次が支配的。

1k125mvrms33ohm
図12.0.5mW時1kHz@33ΩのFFT。2次ひずみが支配的。


試聴は前回と同じくスーパーサンプリングSDプレイヤーSSSDP4490をソースに、ヘッドホンHDJー1500で行った。試聴の様子を写真4に示す。

Yahapic2
写真4.バラックで組んだYAHAアンプの試聴


今回は回路の改良と電源ノイズの対策を行ったため、前回よりも大幅に音質が改善した。
プレーヤー直接の場合と比べ音が厚く聞こえるのは、おそらく真空管シングルアンプの特徴である偶数次ひずみが付加されるためか。
実使用に十分耐えうる音質が得られ、USB PDからの電源供給も可能であることから、実用的なポタアンが製作できる可能性が確認できた。

12BH7A YAHAヘッドホンアンプの製作 に続く

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2022年6月24日 (金)

無帰還アンプ

このブログでは無帰還A級アンプ無帰還電流アンプ無帰還電流ヘッドホンアンプなど、無帰還アンプばかりを発表しているが、無帰還アンプを使い始めたのは実は最近のことだ。

2015年に金田明彦氏のフォノイコライザアンプの試作をした。
「電流伝送方式オーディオDCアンプ」金田明彦著
に掲載されていた「電流出力プリアンプ&パワーアンプ」のうちのフォノイコライザ部分のみを試作検証した。
このフォノイコは、DL-103のヘッドシェル内にJFETのVICを組み込んで電流伝送し、これをイコライザーIVCと呼ばれる電流入力の帰還型イコライザアンプで受けてRIAA処理する。オフセット対策としてSAOCと呼ばれる回路を搭載して、回路全体を通してDCを実現している。SAOCというのはDCサーボの一種だ。0.3mVという非常に微小なMCカートリッジの出力信号を、長旅させることなくヘッドシェル内で直接バッファアンプで受け取り、アンプまで送るというのは、理想的な考え方ではあるがなかなか実現は難しい。金田氏はこれを見事に実現した。
実際に作ってみると狙い通りSNRが非常に優れており、音質もよく、文句の付けどころは全くなかった。

このとき、ついでに以前から気になっていたCR型フォノイコライザを検証しておこう、と思ったことが、その後のアンプ設計に大きな影響を与えた。

高校生のときに2SK30を使ったシングルMCヘッドアンプを自作したが、それ以外はパワーアンプもフォノイコもすべて帰還アンプで、オーディオアンプというのはそういうものだと思い込んでいた。
ところが何かの記事で、「ツウは帰還型のイコライザを使わない。CR型を好む。」ということが書かれていたのが引っかかっていた。

CR型フォノイコライザを試作するにあたって参考にしたのは、安井章氏の製作記事だった。とはいってもそれほど正確に再現したわけではなく、CR回路の前後のバッファは部品箱にあったMUSES8920を使ってそれぞれ40dBとし、CR回路の定数だけ安井氏の設計にした。

音を聴いてみて驚いた。

SNRは金田式よりも劣っていたし、しかもカップリングコンデンサをつかってDCカットしているのに、音が鮮やかでリアルだった。
針を落としたときの音の印象も帰還型とはまったく違ってドライな印象がする(もっともこれはDCではないからかもしれないが)。
帰還型とCR型、DCと非DCなので、音の印象が違うのは当然といえば当然で、本当にCR型の方が音が心地良いのか?「ツウはCR型を好む」という言説に惑わされていないか?ということを念頭に、一か月ほど何度も取り替えて聴き比べをした。
その結果、特性はともかくとして自分はCR型の音の方が好きだという結論に達した。

帰還型のアンプというのは、つねに仕上がりの出力信号を入力信号と比較して、イコールになるように制御している。これを帰還制御といい、言葉通り動作していれば波形の再現性(=ひずみ)は理想的に仕上がるかもしれない。しかしながら実際に増幅回路を通過した信号は僅かながら遅れが生じる。常に遅れが生じた出力信号と入力信号を比較してこれらが等しくなるように増幅している、と考えれば帰還回路内の信号は非常に複雑な状態になっている。周波数が高くなるほど遅れの影響が大きくなり、ある周波数で位相遅れとゲインの関係が安定度の限界を超えたときに発振が起こる。こうならないように、高域特性を制限したり、位相補償を行ったりして安定性を確保する。これが帰還型アンプの現実だ。
一方、無帰還アンプは、定数により決められた増幅度で増幅するだけであり、高域で位相が遅れたり信号振幅が減衰することがあっても、それが帰還されて動作に影響することはない。きわめてシンプルだ。ただし、帰還型アンプと違って、波形を比較修正していないので、信号がひずまないように設計するのは難しい。
帰還アンプではひずみ率が0.01%以下などというのはザラだが、無帰還アンプでは0.1%を切れれば好成績という感じで、ひずみ率には10倍以上の差が出てしまう。なのでカタログスペックを重視するメーカーは作りたがらないのだ。

その後、パワーアンプも無帰還で作ってみたいと思うようになり、それならAuratone用に電流駆動アンプを無帰還で作れないか?と考えて開発したのが、無帰還電流駆動アンプだった。開発方針としては
①DC(直結)構成とする
②DCサーボは使わない
の2つを目標とした。
最初の試作から少しずつ改良を加え、最終的な回路を決定するのに半年ほど要したが、いまでもAuratone用としてはベストのアンプだと思っている。
ただ、DC電流駆動アンプは原理的にネットワーク入りのマルチウェイスピーカーには使えないし、フルレンジだとしても、今風のハイコンプライアンスのスピーカーでは低域が増強されすぎて非常にブーミーな音になってしまうことが多い。
そこで、この無帰還電流アンプをベースに開発したのが無帰還A級25Wアンプだった。このアンプは通常と同じ電圧出力のアンプなのでAuratoneだけではなく、マルチウェイのスピーカーにも使える。基板頒布したところ、ありがたいことに好評を得ている。

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2022年6月19日 (日)

CDの音質評価

少し前の記事で、自分はCD(またはレコード)でしか音楽を買わない、と書いた。入手性がよいことと音質が安定していることがその理由だ。
しかしCDでも音の良いものと、いまひとつのものがある。
レコーディングに使用した機材やレコーディングエンジニアの技量、ミキサーのセンスなど要因は多くあると思うが、今回はCDの曲の聴感上の音質と周波数特性(f特)に相関があるかどうかを検証した。

「CDのf特は20kHzまでと決まってるんじゃないの?」

という意見があろうかと思うが、市販のCDを調べてみると、
①20kHz付近までで、それ以上をカットしているもの
②22.05kHzまで入っているもの
③ ①と②の中間のもの
の3種類が存在している(圧縮音源からCDをプレスしている悪質なケースもあるが今回は除外する)。

今回、たまたま手持ちのCDを大量廃棄するという人がいて、150枚ほどのCDをまとめていただいた。そのほとんどが、自分では持っておらず、当然ながらほぼ聴いたことのない曲ばかりだったので、今回のような試験を行うには好都合だ。なぜなら、知っていて好きな曲では客観的に音質のみを評価するのがなかなか難しいのではないかと思うからだ。

まず基礎知識として、CDの特性がどうなっているかということを簡単に説明したい。
音楽CD録音品質は、44.1kHzサンプリング16bit深度だ。
可聴帯域上限とされている20kHzの音を再生するには、サンプリング定理から、その2倍のサンプリング周波数が必要であることから、44.1kHzサンプリングであれば必要十分だということだ。
この場合、44.1kHzの半分である22.05kHzを境にエイリアシングが発生するので、22.05kHzより上の周波数は遮断したい。だとすれば、可聴周波数上限の20kHzは通して、22.05kHzより上は通さないというフィルタが必要になる。これはよく見る説明だ。

ところが実際に音楽CDに入っている音楽を解析してみると、上に述べたように、①約20kHzまででカットしているもの、②22.05kHzまで入っているもの、③ ①と②の中間のもの の3種類が存在していることがわかる。
(22.05kHzまで入っているCDについて、技術的になぜそういうことが可能なのかはここでは議論しない。)

つまり今回検証するのは、20kHz~22.05kHzまでの範囲の信号があるかどうかでCDの音質が聴感上変わるかどうか、ということだ。

まず、ヒトの耳の周波数特性は一般的に20Hz~20kHzくらいだといわれている。
自分についてはどうかというと、高校生の頃は単音で19kHz近くまで聞こえた。50歳を過ぎた今では、だいたい16kHzくらいまでしか聞こえなくなっている。それならば、そもそも20kHz~22.05kHzの議論など無駄だと思われるだろう。はたしてどうか。

評価は次の方法で行った。あらかじめリッピングしてPCに取り込んだデータ(44.1kHz16bit wavフォーマット)を再生する。
①ランダムに曲を選び、聴く
②音質評価点を1(最低)~3(最高)の3段階でつける
③その曲のFFTをwavespectraで観察し、20kHzでカットしているものを1、22.05kHzまで出ているものを3、中間のものを2として評価点を付ける

【結果】
先に結果を報告する。
20kHzでカットしているものと、22.05kHzまで入っているものでは、聴感上あきらかに差があった
聴いた曲の聴感評価と、FFTによるf特評価結果を表1に、それをグラフ化したものを図1に示す。

表1.聴感とFFTによる評価結果
(曲名の冒頭には、追跡可能なようにアルバムでの曲順を入れた。)
Photo_20220619142501

Photo_20220619142502
図1.聴感とFFTによる評価結果
聴感とFFTによる周波数特性には相関が表れている。

この評価の結果から、22.05kHzまで入っているものは聴感上音質に優れているといえる。
CDをリリースすることになって、サンプル版をもらったら、まずはこの解析をして、もし22.05kHzまで入っていなかったら改善を申し入れたほうが良いだろう。音質が冴えなければ売り上げにも響くかもしれないし、ヒットするかどうかにも影響が出るかもしれない。

この中で注目してほしいのは、11番と12番の「君がいるだけで」だ。
これは米米クラブの有名なヒット曲で、11番はアルバム”DECADE”に収録されたもの、12番はアルバム”HARVEST SINGLES 1992-1997”に収録されたものだ。憶測だがマスターは同じものではないかと思う。マスターが同じなのに音質がちがうなどということがあるのだろうか。
いままでサルサDJをやってきた経験上、ある有名な曲をかけるときに、オムニバス盤に収録されたものよりオリジナルのアルバムに収録されているものの方が音が良いような気がする、ということが度々あったが、今回、実際にそういうことがあるのだということが証明された。


【評価の詳細】
評価した13曲のFFTを図2~図14に示す。

082
図2.とうちゃん f特評価2
※21kHz付近から急峻に下がっている→評価2

09september3
図3.湘南SEPTEMBER f特評価3
※22kHzまで出ている→評価3

063
図4.あなたに逢いたくて f特評価3


1043
図5.君が僕を知っている f特評価3


01come-on-everybody1
図6.COME ON EVERYBODY f特評価1
※20kHz過ぎに段差がある→評価1

123
図7.いつか見上げた空に f特評価3


011
図8.君の歌、僕の歌 f特評価1


10luv-vibration3
図9.Luv Vibration f特評価3


04destino1
図10.DESTINO f特評価1


103
図11.浪漫飛行 f特評価3


023
図12.02君がいるだけで f特評価3


012
図13.01君がいるだけで f特評価2


02141
図14.青年14歳 f特評価1

以上

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2022年6月12日 (日)

音声圧縮と音楽業界の衰退

いつのことだったか正確にはおぼえていないが、1995年前後だったと思う。
当時勤めていた会社のレコーディング機材の事業部で、MDを使ったMTRの検討のため試聴会をやるので、希望者は参加してほしいとのことだった。おもしろそうなので参加した。
ジャズやクラシックの音源と、それをMDに録音したものの聴き比べだったのだが、MDに録音した方は聞き分けられるレベルで音質が劣化していた。
音楽用途で、しかもMTRということはピンポン録音の可能性まであるとすれば、これは使い物にならないだろうから企画倒れじゃないかと思っていたが、予想に反してMDを使ったMTRは開発され販売されたようだ。

その後、たしか2000年頃だったと思うが、mp3に音声圧縮ができる「午後のコーダ」というフリーソフトが話題になり、おもしろそうなのでダウンロードして、音楽をmp3に圧縮して聴いてみたが、とてもじゃないが音楽に使うようなものではなかった。

デジタルによる録音は、データが変化しないが故に高品質が保たれるのが最大のメリットなのに、非可逆圧縮してデータの再現性が損なわれてしまったら意味がない。

たしかに実用上不便が生じない範囲でデータ量を減らすことが有効なこともあるだろうが、それは語学教材とか、通話とか、とにかく伝わりさえすれば音質にはさほどこだわらない、という用途に限られるだろう。音楽に使うというのはありえないと思った。


ところが、2010年くらいからクラブシーンなどであきらかに圧縮音源とわかる悪質な音源を使う人が出始めると、あっと言う間に普及し、そういう店には行く気がしなかった。
クラブシーンだけではなく、一般の音楽再生にも普及し、気軽に安くダウンロードできる圧縮音源ファイルで音楽を聴くということが完全にあたりまえになってしまった。
これはぼくの考えだが、圧縮音源の普及は、作り手とリスナーの両方の感受性を蝕み、創作される音楽の質は低下し、リスナーは音楽から離れていく。ぼく自身、ある曲が圧縮音源でしか手に入らないなら、その曲は聴かない。
現在のぼくの立ち位置は、音楽の購入はCD(またはレコード)のみである。
もちろんCDが完璧というわけではないが、世界中のあらゆる音楽ジャンルにわたって供給と音質が最も安定しているからだ。

DJが圧縮音源を使ってクラブシーンを破壊してしまうのには、店側にも原因がある場合がほとんどで、多くの店はDJにお金を払いたくないので、ちょっと音楽に詳しい客に目を付けて、おだてて、DJという称号(?)を与え、タダ同然で使う。タダ同然なのでCDを買うようなお金はなく、ダウンロード音源を使う。ひどい場合はyoutubeから録音してるなんてことすらある。
また”プロ”と称しているDJでも信じられないことに圧縮音源を使う人がいる。信じられないとしかいいようがない。
あるいはまた、せっかくCDで購入しているのに、リッピングで圧縮してしまってる人がいる。もうどうしようもない。

それでは生演奏が至上なのか。
PAを介さずに完全に生音だけで耳に届く演奏であれば、生演奏に優るものはないと思う。
ところが現代の音楽は、生演奏といえどもほとんどの場合PAが介在する。
PAが入るコンサートやライブで、とくにポップスやロックの場合は、ほぼ例外なく音量がデカすぎる。ボーカルが歌っている内容が聴き取れるだろうか?おそらく全体の音量が大きすぎて聴き取れない場合がほとんどだと思う。
その点、CDであれば最適な録音ですべての楽器や歌がきれいに聴き取れるようになっている。
なのでぼくは必ずしも生演奏が至上とは思っていない。

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2022年5月 7日 (土)

PCM1704 16倍 24BitスーパーサンプリングDAC 基板頒布のお知らせ

PCM1704 16x 24Bit Super Sampling DAC Board Distribution Notice

Ss1704pic_20220508191601
写真1.PCM1704による16倍24BitスーパーサンプリングDAC基板
photo1. 16x 24 Bit Super Sampling DAC Board with PCM1704

今回、PCM1704を初めて入手し、16倍24BitスーパーサンプリングDACを新たに開発しました。

スーパーサンプリングDACは、デジタルデータ間を3次自然スプライン関数で補間する新しい技術で、従来のDACにくらべ、トランジェント応答に優れ、プリエコー、ポストエコーが大幅に抑えられたきめ細かい音質で音楽が楽しめます。

下位互換のPCM1702による16倍20BitスーパーサンプリングDACはすでに紹介していますが、PCM1702とPCM1704は電源ピンを一部変更するだけで互換性があるため、生基板はPCM1702スーパーサンプリングDACと共通です。

オシロで再生信号を見ただけでは、PCM1702や従来のSSDACとまったく同じですが、聴いた印象はかなり違います。
音はマルチビットのSS128(128倍16bit)やSS1702(16倍20bit)と同じ傾向ですが、PCM1704は繊細さがより際立っています。
具体的には、録音、Mixが派手なロックやラテンなどの音源も、とがってうるさい感じがかなり軽減し、その分裏に隠れていた微妙なニュアンスが聴こえてくるという印象です。
これはぜひとも多くの方々に聴いていただきたいと思いますので、今回も製作資料およびFPGAのオブジェクトファイルを公開します。

This time, I got the PCM1704 for the first time and developed a new 16x 24-bit supersampling DAC.

Supersampling DAC is a new technology that interpolates between digital data with a third-order natural spline function. Compared to conventional DACs, supersampling DACs have excellent transient response, and you can enjoy music with fine-tuned sound quality with significantly suppressed pre-echo and post-echo. We have already introduced a 16x 20- bit supersampling DAC

with a backward compatible PCM1702, but since the PCM1702 and PCM1704 are compatible with only a partial change in the power supply pin, the raw board is the same as the PCM1702 supersampling DAC. Just looking at the playback signal on the oscilloscope is exactly the same as the PCM1702 or conventional SSDAC, but the impression you hear is quite different. The sound has the same tendency as the multi-bit SS128 (128x 16bit) and SS1702 (16x 20bit), but the PCM1704 is more delicate. Specifically, the recording and sound sources such as rock and Latin with flashy mixes have a considerably reduced noisy feeling, and the impression is that the subtle nuances hidden behind them can be heard. I would like many people to listen to this, so I will publish the production materials and FPGA object files this time as well. 

製作マニュアル
図表
取扱説明書
FPGAオブジェクトファイル(10M08SCE144C8G用)


【主な仕様】
●Amanero COMBO384互換入力
●NOSおよび16倍24Bitスーパーサンプリング・サインマグニチュードDAC(PCM1704)音声差動出力
●入力電源:AC12V~AC15V x2(±電源)
●基板サイズ:112mm x 140mm

[Main specifications]
● Amanero COMBO 384 compatible input
● NOS and 16x 24 Bit Super Sampling Sign Magnitude DAC (PCM1704) Audio differential output
● Input power supply: AC12V to AC15V x2 (± power supply)
● Board size: 112mm x 140mm

Please contact us for overseas shipping.

 
次の3種類を頒布します。(すべて税、送料込み)
PCM1704を含む全部品実装基板②は、今回PCM1704が1台分のみ入手できたため、限定一台のみの頒布です。

①書き込み済みFPGA搭載基板   31,000円
・書き込み済みFPGAのみ搭載した基板です。
・納期:1週間~10日程度
※PCM1704は生産中止部品です。ご自分で手配される場合は不良品や偽品にご注意ください。

②全部品実装基板(動作確認済み) 180,000円
・書き込み済みFPGAを含む全部品を搭載した基板です。
・Amanero COMBO384は含まれません。
・すべて手実装です。
・納期:2~3週間程度(受注生産)
※次回入荷未定

③生基板 3500円
・生基板のみの販売です。FPGA用pofファイルをダウンロードしてお使いいただけます。

●FPGA用pofファイルのダウンロードはこちら


購入ご希望の方は表題に「SSDAC1704頒布希望」とお書きのうえ、
dj_higo_officialアットhigon.sakura.ne.jp(アットを@に換えて)までメールにて
お申し込みください。
※ご希望のセット番号と、お名前、ご住所、電話番号をお書きください。
折り返し、代金振込先等のご案内をお送りします。

製造・頒布はSLDJ合同会社が行います。

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2021年10月15日 (金)

無帰還電流駆動ヘッドホンアンプ改良 (基板頒布あり)

Hpa0


【訂正情報】
・2021/10/21
Q9,Q11,Q21,Q23(2SA1020)のHFEが間違っていました。マニュアルおよび回路図の記載を280→240に訂正しました。


以前開発した、無帰還電流駆動ヘッドホンアンプを改良して基板を起こしたので報告する。

無帰還電流駆動ヘッドホンアンプを開発試作したのは2016年のことで、製作記事をこのブログにもアップした
その後、手作りアンプの会2016年冬のお寺大会に出品したところ、ありがたいことに最優秀賞をいただいた
手作りアンプの会での評価は、実際の試聴による音質に重きが置かれていて、評価されたことはとてもうれしかった。
作ってみたいという人が何人かいたため、基板を起こそうとも思ったのだが、いくつか問題点があって、どうしようか考えているうちに5年経ってしまった(^-^;

まず、この無帰還電流駆動ヘッドホンアンプとはどういうものなのか、簡単に説明したい。
通常、スピーカーやヘッドホンは電圧で駆動する。つまり入力信号に比例した出力電圧で負荷を駆動する。この場合、負荷の状態はまったく無関係で、たとえスピーカーがつながっていなくても電圧で音楽信号が出力される。逆にスピーカー端がGNDとショートされていたら、出力電流が無限に流れるので、アンプが壊れるかヒューズが飛ぶ。
対して、電流駆動の場合は、負荷に対して入力信号に比例した電流で負荷を駆動する。たとえ出力がショートされても問題なく出力電流が流れるため、スピーカー出力をショートするタイプの保護回路が使える。出力がオープンの場合は、負荷インピーダンスが無限大になるため、そこに電流を流すように動作して、出力はクリップしてしまう。
通常、スピーカーやヘッドホンは電圧駆動をする前提で、電圧駆動した時にフラットな特性が出るように開発、設計されている。
これを電流駆動するとどうなるかというと、スピーカーやヘッドホンのインピーダンス特性に沿った音圧特性で駆動される。
通常、スピーカーやイヤホンのインピーダンス特性はどのようになっているかというと、最低共振周波数f0で最大になり、その後一旦下がるが、高域では徐々に上昇する。
こういった特性を持ったスピーカーやイヤホンでも、通常の電圧駆動をすることで、フラットな特性を得るわけだが、電流駆動するとインピーダンス特性に沿った音圧特性になるのでインピーダンスが上昇するf0や高域が増強される。
見方を変えれば、インピーダンスが上昇するポイントは、そのスピーカーやヘッドホンが鳴らすのを得意とする帯域なので、その得意な帯域を伸び伸びと鳴らさせてあげる!というアンプだということもできる(こじつけくさくないか?)
そういうわけで、ほとんどのスピーカーやヘッドホンは電流駆動すると、f0付近と高域が持ち上がって、ドンシャリ傾向の音になる。
ただし、もしインピーダンス特性がフラットなスピーカーやヘッドホンなら、電圧駆動、電流駆動で差が出にくいとも考えられる。(もっとも出力インピーダンスがまったく真逆なので、ダンピング特性の差は出るだろうと思われるが)

そもそも無帰還電流駆動ヘッドホンアンプは、その前身となる無帰還電流駆動アンプをヘッドホン用にリメイクしたものだ。
無帰還電流駆動アンプはもともと、オーラトーン5Cを鳴らすための専用アンプとして開発したものだ。

さて、上述のように、電流駆動アンプの特徴として出力をショートするタイプの保護回路が組めるので、ミュート&保護回路のリレー接点による音質劣化に悩まされないで済む。ただ、DCが出力されて保護回路が働いたということは、アンプに何か異常がある可能性があるので、その状態で出力をGNDに短絡すれば事故が起きる可能性がある。そのため、無帰還電流駆動アンプでは、保護回路動作時は出力をショートするとともに、SSR(ソリッドステートリレー)を使ってAC100V電源を遮断するという構成にした。

無帰還電流駆動ヘッドホンアンプの場合は、バッテリー駆動ということもあって、そこまでの検討はしていなかった。ショート方式の保護回路には欠点があって、出力にDCを検出したときに出力端をショートすると、検出されていたDCが0になってしまうので、保護回路が解除される。するとまたDCが発生し……ということ繰り返してしまう。つまりひとたび保護回路が働いたらラッチがかかって、リセットしない限り再起動できないような仕掛けが必要になる。そういう意味では上で説明した無帰還電流駆動アンプのACを落としてしまうやり方は合理的だ。
ヘッドホンアンプの場合、バッテリー駆動だし、ヒューズかポリスイッチでも入れとけばいいかな……でもなあ、電源のインピーダンスが上がるのできもちわるいよなあ……やるとしたら±両方の電源を同時に落とす仕掛けも必要だし……うーんうーん……とかやっているうちに5年の歳月が(^-^;

今回はちょっとがんばって±のバッテリー電源を両方遮断する回路を設計して搭載した。
これでいちばん大きな問題点がひとつ解決した(^-^)
ただ、少しスイッチの構成が特殊で、電源ONのタクトスイッチSW1と電源OFFのタクトスイッチSW2が別になっていて、ON時はSW1を長押し、OFF時はSW2を押す、という構成になった。ロジック回路かマイコンを使えばスイッチひとつでもできると思うが、どうもアナログアンプにデジタル回路を積む気になれなかったので、今回のような構成になった。

あとは細々した問題点として、前回の設計では終段に2SA1668/2SC4382を使っていたが、これでは大きすぎて小型化が難しい。今回はこれらを2SA1020/2SC2655に変更することで小型化した。
次に、前回はニッカド電池を8本つかって±4.8Vの構成にしたが、これでは大きくなりすぎる上に電池持ちもよくないので、これを±3.8Vのリチウムイオン電池にした。
動作電圧を下げたことで、保護回路も定数変更した。保護回路は前回同様、±150mV以上のDCを検出すると働く。

最終的な回路を図1,図2に示す。図1がアンプ回路で、図2が電源と保護回路だ。
見やすいきちんとした図面は、この記事の最後に頒布用のマニュアルをリンクするのでそちらを参照してほしい。

Hpac_sch
図1.無帰還電流駆動ヘッドホンアンプ回路(片チャンネル)


Protectsch
図2.電源回路および保護回路


図2の左上にあるJ3,J4がそれぞれマイナス側とプラス側のバッテリー入力で、そのすぐ右側がMOSFETを使った電源ON/OFF回路だ。マイナス側のON/OFFはプラス側に追従するようになっている。
同じ図2の中央より下の回路はDC検出保護回路で、従来トランジスタのVBEに反応して0.6V以上でプロテクトがかかる典型的な回路に対して、ショットキーダイオードを使って基準電圧を底上げすることで0.15Vでプロテクトがかかるようにしている。

このあたりの開発経緯も、前回の無帰還電流ヘッドホンアンプの記事に書かれているので参照してほしい。

今回設計した基板による諸特性を以下に紹介する。

まずはひずみ率雑音特性。左右チャンネルにつき、それぞれ負荷が33Ω、100Ωの場合のTHD+N(%)を図3~図6に示す。

Thdn33_l Thdn33_r
図3.Lch 33Ω負荷 THD+N               図4.Rch 33Ω負荷 THD+N



Thdn100_l Thdn100_r
図5.Lch 100Ω負荷 THD+N              図6.Rch 100Ω負荷 THD+N


ひずみ率雑音特性THD+Nは、ボトムでおよそ0.03%、実用域で0.1%以下で、これは前回とほぼ同じだ。

次に周波数特性。
周波数対ゲインのグラフを図7、図8に示す。L、R同等だったので、Lchのみ。

Ftoku33l Ftoku100l
 図7.周波数ゲイン特性 33Ω負荷(Lch)           図8.周波数ゲイン特性 100Ω負荷(Lch)

100Ω負荷では-3dBポイントが1MHz、33Ω負荷では1MHz超となり、前回よりも改善した。


次は方形波出力波形。
これもL、Rで差がなかったのでLchのみ、33Ω、100Ω負荷に対してそれぞれ10kHz、100kHの波形を図9~図12に示す。

10khz33ohml 100khz33ohml
図9.方形波出力33Ω10kHz(Lch)          図10.方形波出力33Ω100kHz(Lch)

10khz100ohml 100khz100ohml
図11.方形波出力100Ω10kHz(Lch)          図12.方形波出力100Ω100kHz(Lch)

以上のように、オーバーシュートやリンギングは一切ないので、位相補償は行っていない。

次は出力インピーダンス。
今回は1kΩと2kΩ負荷を切り替えてのON/OFF法で測定した。これもL、Rで大差ないので、Lchのみ表1に示す。

表1.出力インピーダンス(Lch)
Impedancel_20211017223901

前回の測定結果は11kΩだったので悪化しているが、測定方法の違いも影響があるかもしれない。
ヘッドホンのインピーダンスが16Ω~100Ω程度だと考えれば十分な値だろう。

最後に主要諸元を表2にまとめておく。

表2.主要諸元
Syogen

音質については電流駆動故に、使用するヘッドホン、イヤホンの個性が非常によく出る。
普段使いのパイオニアHDJ-1500とは相性がよく、低域、高域が若干持ち上がり気味で
メリハリの強い、なおかつクリアな音質となった。
ヘッドホン、イヤホンに対する音質の違いについても前回の記事で書いているので参照してほしい。

2021/10/18追記
3Dプリンタで専用ケースを製作した。単三型(14500)リチウムイオン電池がそのまま入れられるように、電池ホルダを一体形成した。
写真1にケース入りのヘッドホンアンプ(下)とスーパーサンプリングSDプレイヤーSSSDP4490(上)を示す。
写真2はフタを外したところ。

Hpacincase
写真1.今回製作した無帰還電流駆動ヘッドホンアンプ(下)とスーパーサンプリングSDプレイヤー(上)


Hpacincase2
写真2.フタを外したところ。左側の電池は単三型リチウムイオン電池2本。


ケースのstlデータ
ダウンロード - 20211017hpac_top000.zip



【基板頒布のお知らせ】
この記事の無帰還電流駆動ヘッドホンアンプ生基板をご希望の方に頒布します。
生基板1枚と、製作説明書と回路図、部品表等の資料、LTSPICEのシミュレーションファイルをセットで
1880円(税、送料込み)で頒布します。(自力で部品収集、部品選別、調整できる方が対象です。)

ご希望の方は表題に「無帰還電流ヘッドホンアンプ基板頒布」、
本文にお名前、送付先郵便番号、ご住所、電話番号をお書きのうえ、

dj_higo_officialアットhigon.sakura.ne.jp
(アットを@に替えてお送りください)

までメールをお送りください。

代金の振込先のご案内メールをお送りします。入金が確認でき次第発送します。

製作マニュアル、回路図、部品表、その他

LTSPICEシミュレーションファイル


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