日記・コラム・つぶやき

2024年12月31日 (火)

ウラギンシジミの日向ぼっこ

きょうは2024年の大晦日です。
しかもきょうは今月2度目の新月で、同月2度目の満月を指す「ブルームーン」ほど知られていませんが、「ブラックムーン」と呼ばれることもあるそうです。次に大晦日がブラックムーンとなるのは19年後の2043年。遠い未来です。

きょうは日中13度ほどまで気温が上がってポカポカ陽気でした。昼過ぎに高円寺天祖神社に年越しの大祓の人形を預けに行って、帰り道で蝶が飛んでいたので見ていたら、陽の当たる路面に止まって日光浴を始めました。近づいてよく見るとウラギンシジミのメスでした(^-^)

ウラギンシジミは、シジミとはいうものの他のシジミチョウとは異なる特徴を持った蝶で、シジミチョウ科ではなくウラギンシジミ科に分類するべきだという議論が、ぼくが知る限り50年くらい前から続いています。ウラギンシジミは、子供の頃、秋が深まって、なったまま熟れた柿の汁を吸いに集ってくるところを捕まえた記憶があるので、晩秋に発生する蝶だと思い込んでいましたが、実際は5月から10月くらいに発生する蝶で、越冬した成虫が春に見られることもあってほぼ一年中生息している蝶のようです。

2024年もよい年でした(^-^)
ことしはSSDAC基板を応用してレコード再生用のRIAAイコライザを実装し、とくに12月になってからRIAAイコライザをIIRとFIRで実装して聴き比べができたのが印象的でした。アナログレコードはまた人気が出てきているようで新譜も出ているようですね。また世界的に見て日本は音楽売上げに占めるCDの割合がとても高く、これは音質の点から喜ばしいことだと思います。

ことしお会いできたみなさまへ。
ことしも大変お世話になりました。また来年もよろしくお願いします。

よいお年をお迎えください。

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写真1.きょう2024年大晦日に目撃したウラギンシジミ(メス)


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写真2.2019年2月7日に目撃した越冬中のウラギンシジミ

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2024年9月20日 (金)

格安タブレット TECLAST P85T の不具合と対処方法

20240920p85t

Amazonで格安タブレット TECLAST P85Tが9500円ほどで売られていたので購入した。
ところが使ってみると、スクショが撮れないという不具合が発覚し、返品、買い直しなどを経て、最終的にはファームウェアアップデートによって解決したが、最初の購入から問題解決まで1ヶ月以上を要してしまった。その顛末を書いておく。

そもそもスマホは使わない主義なので、携帯電話は二つ折りのガラケー(正確にはガラホ)を使っていて、ネット閲覧やメール用にタブレットを持ち歩いている。それはなぜかというと、スマホの小さな画面を見るのはつらいし操作がしにくいということ、それと電話とネットが一緒になっているスマホの通信料金体系がわかりにくく、割高になるような感じがするからだ(もしかしたら最近は格安SIMなどでかなり安いのかもしれないが)。

ぼくにとってタブレットは2年から3年で買い換える消耗品の扱いなので、だいたい1万円~1万3千円程度までのものを買うようにしている。ストレスなくメールができてネットブラウジングができるだけでいいので、それほど高性能なものは必要がないのだ。
タブレットのいちばん大きな問題は、だいたい3年もすれば電池が寿命になることで、多くのタブレットはユーザーが自分で電池交換できるように作られていないので、ここでタブレットを買い換えるか電池交換に出すか、ということになる。電池交換は、交換業者に出すか、メーカーに出すかということになるのだが、電池交換費用は安い業者で最低1万円、国内メーカーに出すと2万~3万円かかる。
またタブレットは持ち歩くので、落として壊してしまうこともある。
そう考えると、平均して2~3年しか使えない消耗品にいくら出せるか?ということになり、ぼくとしては1万円台前半のタブレットを使い捨てるのが妥当だと考えている。

そんなわけで、2024年7月に、それまで使っていたタブレットが壊れてしまい、タッチスクリーンの左側が反応しなくなってしまったので、買い換えを検討したところ、AmazonのタイムセールでTECLASTのP85Tという機種が9500円程度で売られていて、値段的にもスペック的にもよさそうだったので購入した。ケースは金属でできていて塗装もきれいで高級感があり、満足して使っていたが、使い始めて間もなく不具合を発見した。システム機能のスクリーンショットが使えないのだ。

スクリーンショットのボタンをタッチすると、「システムUIが繰り返し停止しています」というエラーが出て、スクショが撮れないばかりか、勝手に再起動してしまう場合すらある。

TECLASTのホームページからサポートにこの問題を報告したところ、ファームウェアのアップデートをするように、という内容の返信が来たので、ファームウェアのダウンロードサイトを見に行ったが、該当製品ID”P3M5”のファームウェアが上がっておらず、そのように指摘すると、何日かしてファームウェアがアップされていた。このときのファームウェアバージョンはROW_V1.01_20240618というもので、これでやっと解決する!!と嬉々としてダウンロードしてアップデートしたが、問題は解決しなかった。バージョンをよくよく見ると、もともと入っていたファームウェアバージョンと同じであった。そこでまたサポートに報告すると、返金に応じるので返品してくれということだった。

この機種はスクショの問題以外は文句はなく、気に入って使っていたし、同じ価格帯の機種がなさそうだったので、できれば直して使いたかったのだが、ひょっとしたら個体の不具合なのかもしれないと淡い期待を抱いて返品し、返金されたので再度同じものを購入したが、まったく同じ不具合が出た。そこでまたサポートに不具合報告と、改善の予定があるのか問い合わせてみたが、返品してくれの一点張で、らちがあかないので、そのうちファームウェアでの改善があるであろう事を期待して、しばらく使っていた。

それから2週間ほど経ったある日、ファームウェアのダウンロードサイトをのぞいたら、新しいファームウェアがアップされていた。バージョンはROW_V1.02_20240724。今度こそ!!と期待を込めてアップデートしてみたら、スクショが撮れるようになった\(^o^)/

そんなわけで、無事にまともに使えるようになったのだった。
ところで、ファームウェアのダウンロードサイトには
ROW_V_x.xx
EEA_V_x.xx
という2種類のファームウェアがアップされていて、何がちがうのかと思ったら、EEAは欧州向けで、ROWがグローバル版らしいのだが、違いはよくわからない。もともとROWが入っていたので、アップデートもROWにした。

ファームウェアアップデートの具体的な方法は、サイトの説明を参照してほしいが、ひとつだけ注意してほしいことは、アップグレードチュートリアルの説明では、ファームウェア書き込み時に”Wipe part”を選択するように書かれており、この通りにやると、すべてのインストールアプリとデータが削除されてしまう。アプリとデータを残してファームウェアだけアップデートするには”Wipe part”ではなく”Keep data”を選ばなければいけないので要注意だ。

今回問題となったスクリーンショットの機能は、おそらく使う人があまり多くはないため見落とされていたのだろうと思うが、ぼくは詰め将棋のアプリで難しい問題があったときにスクショを取っておくようにしていることから、今回の問題に気が付いた。

問題が解決した今はお気に入りのタブレットになりました。ブルーの筐体を選んだので、カバーをピンクにしたら、映えてなかなかよい感じです(^-^)


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2024年6月 6日 (木)

トランジスタ技術7月号 記事掲載のお知らせ

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6月10日発売のトランジスタ技術7月号別冊付録 「使えるはんだ付け 小型&チップ部品対応」 に私が書いたインタビュー記事が掲載されます(^-^)
これはトラ技ジュニア2018年5月号「宇宙に届け! 日本のはんだ付け技術 」の再掲です。

2018年に、NECスペーステクノロジー社の宇宙機器専門はんだ付け職人、斎藤克摩氏にご協力いただいて、宇宙機器のはんだ付け技術について取材し、記事を書かせていただきました。

NECスペーステクノロジー社はJR南武線西府駅からすぐの、NEC府中事業所内にある、人工衛星やロケットなどの宇宙機器を専門に扱う会社で、開発から販売まですべてのサービスを行っている会社です。


20240606trgbst

記事はこんな感じです。

取材に行ったNECの事業所がある西府駅前には御嶽塚古墳があって、いきなり興味をそそられます。御嶽塚古墳の建設は6世紀前半と言われています。

取材に行った2018年からもう6年経って、ことしはH3ロケットの打ち上げが成功しましたね。トランジスタ技術本紙は「月面探査に学ぶ自律走行ロボット」を特集しています。

ぜひぜひお読みくださいね!!


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2024年3月26日 (火)

パソコンSDカードスロットの接触不良修復

普段使いのノートPC、レノボG50-70のSDカードスロットが接触不良になってしまい、たいへん不便な状態が続いていた。

機会を見てレノボの裏蓋を開けて、SDカードスロットにアクセスできるようなら掃除しようと思っていたが、実際に開けてみるとどうやらSDカードスロットの接点にアクセスするのはほとんど不可能らしいことがわかった。SDカードの挿入口は狭いので、綿棒も入らないし、ヘタに接点をひっかけて曲げてしまったりしたらもうどうしようもないので、なにかよい方法はないか考えたが、少々力業的な方法でとりあえず使えるようになったので、紹介する。

まず状況としては、SDカードスロットにSDカードを挿しても反応しないか、反応しても書き込み、削除ができなかったり、読み出し中に認識しなくなったりする。SDカードの接点を掃除しても状況は改善せず、またべつのSDカードを挿しても現象は同じなので、スロット側の接点の問題だと思われる。
SDカード接点にエチルアルコールを付けて抜き差ししてみると、ほんの少しの間はなんとなくよくなったような気がしなくもなかったが、またすぐに元の状態に戻ってしまった。接点復活剤はどうかというと、油膜が残留するため、汚れを吸着してかえって悪化する恐れもあるので使わなかった。

考えられるのは、SDカードスロット側の接点の汚れか、接点圧がゆるくなったのかのどちらかだろう。接点圧低下ならお手上げだ。

SDカードスロットの接点の汚れだとしたら拭くか磨くかすればよさそうだが、なにしろアクセスができない。
そこで今回はmicroSDアダプタを改造して、クリーニングSDカードを作った。これはSDカードの金属接点の部分を紙やすりに換えて、挿入したときにSDカードスロットの接点を強引に磨く狙いだ。

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写真1.分解して金属接点を取り除いたmicroSDアダプタと、切り抜いて裏に両面テープを貼った紙やすり(左)


写真1に示すように、microSDカードアダプタを分解し、内部の金属接点を剥がして除去し、金属接点の場所に合うように紙やすり(#2000)を切り抜いて裏に両面テープを貼ったものを用意する。

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写真2.接点部分に紙やすりを貼ったところ

写真2のように従来金属接点があった部分に紙やすりを貼付ける。


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写真3.クリーニングSDカード


写真3に示すように、microSDカードアダプタのフタを付けなおしてクリーニングSDカード完成。
ただ、紙やすりの厚さ分、もとのmicroSDカードアダプタよりも若干厚くなってしまった。

これを問題のノートPCのSDカードスロットに差し込むのだが、少し厚さが増して、かなり渋くなってしまったので、無理に押し込むと抜けなくなる恐れがある。そこで、ラジオペンチでヘリをくわえて数回抜き差ししてみた。



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写真4.抜き差し後のクリーニングSDカードやすり面


数回抜き差しした結果、クリーニングSDカードのやすり面に摺動痕がついてきた(写真4)。どうやら接点は磨けているようだ。

デジカメのSDカードを入れてみると、はたして、接触不良は解消した\(^o^)/


言わずもがなですが自己責任でお願いします。
   
  

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2024年3月10日 (日)

ツミ(雀鷹 )の幼鳥

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朝の散歩をしていたら見慣れない鳥が木に止まっていたので写真を撮ってきた。
帰ってからネットで調べると、どうやら猛禽類の”ツミ”という鳥の幼鳥らしい。
東京では絶滅危惧種に指定されているが、明治神宮や石神井公園では観察される鳥だそうだ。

ただ、東京ではおおむね4月ごろに抱卵、5月に育雛、6月に巣立ちということらしいので、まだ冬のようにさむいきょう3/10に中野区内の市街地になぜ幼鳥がいたのか謎だ。迷子かな?

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2024年3月 2日 (土)

気圧変動と頭痛

ここ数年、一か月に数回程度の頭痛に悩まされている。
それより以前は、風邪とか二日酔いなど、なにか具体的な理由がない限り頭痛になったことはほとんどなかったが、体質の変化だろうか。
原因の究明と対応策を探っていたが、少しずつわかってきた。

ぼくの場合、どうやら頭痛の原因は大きく2つあって、ひとつは寝相の問題、そしてもうひとつは気圧の急激な変化のようだ。

寝相についてはあまりはっきりとした自覚がなかったのだが、以前は仰向けのまま寝ていたり、枕に頭を載せて横向きに寝ていることが多かったようなのだが、ここ数年は、眠りはじめは仰向け、そして夜中に寝返りを打って枕を外して横向きに丸くなって眠っていることが多かったようで、枕なしで横向きだと、肩の高さ分、首に負担がかかって、これによる首や肩のこりが頭痛の原因だったようだ。
これに気が付いてから、横向きの姿勢で眠る際も枕を使うように意識することで、頭痛の頻度が減ったように思える。

そしてもうひとつの原因である気圧の急変については一般的に言われていることで、なぜ気圧が急変すると頭痛が起こるのかネットで調べてみると、

①気圧の変化を感じると脳の血管が拡張し、神経を圧迫することで頭痛となる
②低気圧になるとセロトニンの分泌が不安定になり頭痛となる
③内耳の気圧センサの過剰反応により頭痛となる

だいたいこのようなことが原因として考えられているようだ。

ところで、このブログで以前WIFI気象計の製作を紹介したが、これをベランダに設置して、常時気象データを記録している。 
ここ最近、頭痛が起こったときの気象データを見てみると、頭痛の発生と気圧の変化が強く相関していることがわかった。
今年の2/12~3/2までの、ベランダの気圧変化のグラフを図1に示す。


202402   
図1.ベランダ(中野区)の気圧変化


この一か月で強めの頭痛になったのは、2/16と3/1だった。気圧のグラフを見ると、頭痛が起こった日と気圧の急激な変化が見事に一致している。
図中に示したように2/16午前1時までの24時間で気圧が1018hPaから999hPaに急降下、3/1午前10:15までの24時間ではなんと1023hPaから997hPaの急降下をしている。
よって、気圧の急変が頭痛の発生に関係していることはほぼ間違いないと思われた。


さて、原因がわかったものの、重要なのはどう対策するかだ。常備の鎮痛薬にはバファリンとロキソニンがあるが、経験からすると自分にはどちらもいまひとつ。
ネットで調べると、カフェインの摂取が効果的だと書いてあった。カフェインには脳の血管を収縮させる働きがあるからだそうだ。つまり、気圧の変化によって脳の血管が拡張することで頭痛が起こるのなら、その逆になるようにすればよい。
実際、2/16と3/1の両日は朝から頭痛がしていたので、濃いめのコーヒーを2杯ずつ飲むことで、昼前にはだいぶ楽になった。

まとめると、頭痛対策は、寝相の改善(人によっては枕の改善 )と、気圧性の頭痛が起こったときにはコーヒーがいいらしいということ。

ただ、カフェインは習慣的に摂取するとカフェイン依存になる可能性があり、カフェイン依存の症状として頭痛があり、こうなると本末転倒なので気をつけたい。


ふだんから頭痛に悩まされることが多い人は試してみてくださいね。 
 

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2024年2月18日 (日)

IH用電磁加熱回路(ZVS)の起動不良(20240219、20240221追記)

だいぶ前にAliexpressに注文して忘れていた誘導加熱(IH)用のZVS基板(写真1)が届いたので、実験してみた。

Zvs00   
写真1.AliexpressのZVS基板
とても安いが、送料が335円だったのでトータルで700円弱だ。Amazonでも購入できるが若干高い。


【20240221追記その2】
センタータップ方式の回路が気になるので実験してみた。回路を図Eに示す。

Centertap_sch
図E.センタータップ付きZVS回路

基板はもとの購入品で、FETは交換品のM3004D(最大定格NG)。
誘導コイルは中間点のエナメル被覆を削って、0.65mmスズメッキ線2本撚りをはんだ付けしてセンタータップとした。
もともとついていた2つのトロイダルコイルのうち一方からセンタータップに接続し、もう一方のトロイダルコイルの接続端は開放とした。
写真Aに基板の様子、写真Bにセンタータップ引き出しの様子をそれぞれ示す。

Centertap1
写真A.基板改造の様子

Centertap2  
写真B.センタータップをはんだ付けしたところ(しばらく通電実験をしていると溶けて外れてしまった。)


動作はセンタータップ無しのものと変わらず、発振周波数やコイル端の電圧波形、それにFETのドレイン電圧も、ほとんど元のものと変わらなかった。
電源電圧0Vから少しずつ電圧を上げていく起動では、3V手前で電流が2Aを越えてひやひやしたが、そのまま上げていくと発振を開始する。起動安定性は向上したように感じられた(ただし使用部品や他の部品の定数などによってちがう可能性があるので、100%だいじょうぶかはわからない)。
また、センタータップははんだ付けしていたが、しばらく通電していたら溶けて外れてしまった。長時間使用するにははんだ付けでは無理のようだ。 


【20240219追記その1】
下の元記事を書いたあと、もう少し安定して起動できないかあれこれ実験していたが、FETをいくつか飛ばしてしまい、部品箱に入っていたM3004D(30V55A、RON=11mΩ(VGS=4.5V))というものに付け替えた。ただ、後述するが、このZVS回路で電源12Vのとき、FETのVdsは実測で37.6Vに達するので、このFETではNGである。やはり60V程度はほしいところ。 
元記事で、LTSPICEで発振を開始するために、片方のFETのゲート初期値を0Vとしたが、実際の回路でもこれをやったら起動が安定しないかと実験してみた。図Aに実験回路を示す。

Zvs10
図A.検証回路 M3による遅延回路を追加した


結論を言うと、安定起動に効果があったかというとよくわからなかった(^-^;
12V印加でONすると、もともとそれほど失敗しないのだが、この回路でも失敗はしなかった。でも100%失敗しないかというとよくわからない。
やはり実用的には誘導コイルにセンタータップがついた回路にするべきだということだろう。センタータップ付きの回路では、起動が安定する上にエネルギー効率も改善するらしい。

元記事ではうっかりしていて評価回路の波形や動作の様子を観測しなかったので、次の通り図Aの回路での波形を示す。
図Bは無負荷時のL1両端の波形、図Cは負荷としてカッター刃を赤熱しているときのL1両端波形、図Dは駆動FET M1(=M2)のVds波形。
発振周波数はLTSPICEによるシミュレーションの88kHzよりも大幅に高い200kHz74Vpp、負荷にカッター刃を入れた場合は185kHz72Vppだった。
FETのVdsは37.6Vだったので60V程度のFETが必要。


No_load
図B.無負荷時のL1両端電圧 200kHz74Vpp(電源12V2.3A)


Load
図C.カッター刃を挿入中のL1両端電圧 185kHz72Vpp(電源12V5~8A)


Vds      
図D.FET M1(=M2)のVds 37.6V0-p


【20240218元記事】
いきなり電源をフルに入れるのは怖いので、電源装置で0Vから少しずつあげていった。
すると電流も徐々に上がっていき、10A程度まで達したあと実装されていたMOSFETからのろしが上がってしまった(^-^;
どうやら壊してしまったようだ。
調べてみるとこれはZVS基板あるあるで、電源電圧を0Vからじわじわ上げるのはNGで、いきなり電源電圧を印加しないとダメらしい。

気を取り直して、FETを交換してこんどはいきなり12V印加すると、また電流は10A程度を表示したのですぐにスイッチを切って、もう一度通電したところ、こんどは電流が2A程度になったので、コイルの中に使い古しのカッターの刃をラジオペンチでつまんで入れると、3秒ほどで赤熱した。なんとなくロマンがある(なんでだろう?)。
どうやら、発振開始が不確実で、発振しない場合はFETが定常的にON状態となり、直流電流がどかっと流れて昇天してしまう。
もともとついていて壊してしまったFETは24N6Gという型番で、60V35A、RON=30mΩ(VGS=4.5V)というスペックだったが、これを部品箱に入っていた同サイズのNP52N06SLG(60V52A、RON=25mΩ(VGS=4.5V))に交換した。

動作がどうなっているのかLTSPICEで検証してみた。回路を図1に示す。
かっこ内の部品型番は後述の実験で実際に使用した部品。

Zvs03
図1.シミュレーション回路
初期条件としてMOSFET(M2)のゲート電圧(v(n003) =0)を与えないとシミュレーションでも発振を開始しない。


初期値を何も設定しないで走らせると、発振せず、MOSFET M1,M2に90AのDC電流が流れる。これではFETは当然壊れる。
そこでMOSFET M2のゲートに初期値0Vを与えてやると発振を開始した。初期値は”.IC v(n003)=0” として与えている。このときの誘導コイルL1の電流波形を図2に示す。

Zvs04
図2.L1の電流波形 発振周波数は約88kHz。

さて、何かきっかけ(初期値)を与えてやらないと発振開始しにくい回路らしいので、念のため部品を替えて同じ回路で組み立てて検証してみた。
組み立てた回路は図1と同じ回路だが、部品はかっこ内に示したものを使用した。MOSFET IRFW540Aは以前秋月の福袋に大量に入っていたもので、佃煮にして食べるほどある。スペックは100V28A52mΩ(10V)。ゲートのツエナーダイオードは部品箱に入っていた7.5V品(型番不明)、L2,L3は秋月で入手したトロイダルコイル150μH9Aを使用した。誘導コイルに並列の共振用0.66μFコンデンサC1は、IH用としてAmazonで購入した0.33μF1200Vを2個並列とした。誘導コイルは今回Aliexpressで購入したZVSについてきたもので、Φ2線材をΦ20で10回巻いたもの。空中配線した回路を写真2に示す。

Zvs01        
写真2.空中配線で試作したZVS回路  右の方に誘導コイルがある。   

同じように電源電圧を12Vにセットして、いきなりONしてみたが、現象は同じで、10A流れてしまう場合はすぐに電源を切り、ONし直して電流が2A程度となれば起動成功だ。

誘導コイルに使い古しのカッターの刃をくぐらせて赤熱した状態を写真3に示す。


Zvs02   
写真3.カッターの刃が赤熱している様子

このとき電源は12V5A程度を出力している。この試作では、FETの放熱はしておらず空中配線したワイヤーに多少熱が逃げる程度だが、
この駆動条件でFETは指でさわれる程度の発熱で、このレベルであれば放熱しなくてもなんとかなるレベルのようだ。 

誘導コイルにカッターの刃を入れて、2~3秒で赤熱するので、すごい加熱力だ(@_@)
これで急な焼き入れにも対応できる。(ってそんな機会があるかーい!!)

冗談はさておき、小型のリフロー用ホットプレートを作ったら便利なのではなかろうか。


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2024年2月 2日 (金)

怪しい営業電話

携帯電話に株式会社メリットの藤澤さんという人から、みにつくパソコン教室宛てに営業の電話がかかってきた。
聞けば、企業の福利厚生の一環として、パソコン個人指導をできる講師を企業に紹介斡旋する、という事業を行っていて、みにつくのホームページを見つけて電話してきたという。

具体的には、企業の福利厚生として、たとえば宿泊施設やスポーツクラブ、飲食店などのほかに、最近はパソコンの指導を受けたいという需要があり、紹介サイトに掲載して、顧客を取れるようにはからってくれるサービスだそうだ。
そのサービスを受けるには、入会費5万円と、最初の2年に限り月2~3万円の費用がかかるので、ペイするかどうかを検討いただいて、もし興味があれば入会していただきたいとのこと。株式会社メリットのホームページも紹介してもらい、六本木のアーク森ビルの12Fに入っている会社だそうだ。
さっそく明日にでも会って説明を聞いていただきたい、近くの喫茶店まで伺います、ということなので、アポをして電話を切ってから、その株メリットという会社について調べてみた。

まず、国税庁の法人番号公表サイトで検索してみると、”株式会社メリット”は7社ヒットしたが、住所がアーク森ビル12Fのものはなかった。
次にアーク森ビルのサイトで、フロアに入居している会社を調べたが、”株式会社メリット”なる会社は入っていない。

ここで、さきほど電話で話をした藤澤さんから確認のCメールが届いたので、その番号に電話して、
「アポまでして申し訳ないのですが、どうもうちの事業規模では会費がペイしそうもないので、明日の打ち合わせは見合わせたい」
と、丁重に説明し、ついでを装って、
「ところで御社のホームページにあるアーク森ビルの12Fの入居企業に御社の名前がないのですが、本社は他の場所にあるのですか?」
と尋ねたところ、
「え、えーっと、じつはいま改装中で、他の場所に移るところなんですよ……」
とかいうことなので、
「そうすると本社登記は別のご住所で?」
と尋ねると、
「いえ、弊社はほんとうはサングローブという会社で、メリットという会社はその一部門なんですよ……」
という回答だった。

そこで、こんどはサングローブという会社を調べると、西新宿の三井ビル4Fに入居している会社がヒットした。
法人番号は2190001022527で、西新宿に移転する前は三重県の津に本社があったらしい。
念のため日本年金機構の検索ページで調べると、被保険者数1190名という大企業である。
サングローブのHPでは、社長は林 崇史という人物になっている。さきほどの株式会社メリットのサイトでは、社長は”Tsunenori Hayashi”となっているので、縁者だろうか。

まあ、何にしても最初にかけてきた”株式会社メリット”は存在しないようなので、怪しさ満点である。
あやしい電話がかかってきたらネットで調べましょう。   

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2024年1月27日 (土)

ATOKの不具合とPowerToys

マイクロソフトのWindows用アプリで”PowerToys”というものがある。
便利な小道具がたくさん入ったアプリで、画面上の画像からテキストを抽出できる”Text Extractor”という機能が便利そうなので、入れている。

ところが、これを入れてからどうもATOKの日本語変換の調子が悪い。
 
ATOKはMS-IMEモードで、スペースキーで連文節変換をするようにしているが、これがまったく変換してくれなかったり、文節の区切りがおかしなところになってしまい変換がでたらめになってしまったり、さらに不可解な現象として変換後の文節の最後にスペースが挿入されてしまったりする。

変換がでたらめになってしまったら、その文章はバックスペースで戻って打ち直しになるし、文末スペースも確定後バックスペースで消さねばならないので、もうほとんど使い物にならないレベルで非常に使いにくい。

PowerToysの常駐を解除すればATOKの不具合は出ない。つまりATOKを使いたければPowerToys常駐はあきらめろということらしい。

念のためJustSystemのサポートに電話して訊いてみたら、PowerToysとの併用によるほとんど同じ内容のクレームが他の人からもあって、やはり回答は上に書いたとおり、PowerToysの常駐を解除するしかないとのことだったが、追加情報として、変換にスペースキーではなく”変換”キーを使えば不具合は出ない、という。たしかに変換キーだと不具合は出ないが、どうにも打ちにくい。 

PowerToysはMS純正のアプリなので、ATOKはぜひとも改善してほしいものだ。 


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2023年11月13日 (月)

トランジスタ技術の圧縮

先日、フジテレビ『世にも奇妙な物語』で、「トランジスタ技術の圧縮」が放映されましたね(^-^)
この物語は、今年CQ出版社の月刊誌「トランジスタ技術」通巻700号記念企画で掲載された、宮内悠介さんの短編小説です。
電子回路技術者なら、ああ、やったやった!!ぼくもやったよ!!!と納得するネタですし、電子技術に縁のない人にはちんぷんかんぷんな内容だったと思います。

まず、「トランジスタ技術」とは、古くから日本にある電子技術の月刊専門雑誌で、電子回路技術者でこれを知らないといったらたぶんその人はモグリじゃないかという位の、その筋では超メジャーな雑誌です。毎号最新の技術情報が掲載されるので、貴重な情報源として大事にとっておくような性質の雑誌です。
トランジスタ技術はたしか80年代から90年代にかけて厚さが最大になり、ピーク時にはおそらく4センチ以上あったんじゃないかと思います。なぜそんなに厚いかというと、広告が多かったからです。おそらく広告が全体の60%程度を占めていたんじゃないかと思います。
毎号大事にとっておくと、どんどん本棚が塞がっていき、そのうち床に平積みになり、平積みの山が増えて行き……という恐ろしいことになります。そこで、広告部分だけ取りのぞいて捨て、薄く製本してとっておくわけです。これがトランジスタ技術の「圧縮」です。

当時ぼくは高校の無線部に在籍していて、無線部では同じCQ出版社の「月刊CQ」を定期購読していました。思い出してみると、当時の月刊CQはトランジスタ技術よりさらに厚かったような気がします。
これは余談ですが(というか全部余談ですが)、ある日無線部室で届いた月刊CQを読んでいたら、広告ページの”サンハヤト”(基板メーカー名)が”サンハトヤ”に誤植されていて爆笑したおぼえがあります。
当時トランジスタ技術の内容は、高校生にとってはかなり敷居が高く、父が購読していたトランジスタ技術を時々めくる程度でした。父はその遙か前よりトランジスタ技術の読者で、物置には未圧縮のトランジスタ技術のバックナンバーがぎっしり入っていました。

ところが、おそらく2000年を過ぎたあたりからトランジスタ技術はだんだんと薄くなり始め、いまでは全盛期の1/2か、ヘタをすれば1/3近くまで薄くなってしまいました。これはなぜかというと、業者が広告を出さなくなったからです。インターネットの普及によって、広告の方法が大きく変わったことが原因です。そうなると広告収入に頼る雑誌は存亡の危機になりかねません。やはり古くからある「無線と実験」は、今年いっぱいをもって季刊化するとのことですし、ラジオ技術も読者の高齢化が進んでいて、いつどうなるかわかりません。
それでもいまある雑誌はここまで生き残ってきた強い種なのです。ぼくが子供のころから親しんできた「模型とラジオ」、「子供の科学」、「初歩のラジオ」、「ラジオの製作」などはどれもだいぶ前になくなってしまったし、マイコン(パソコン)黎明期に夢中になった月刊I/O(現在同名の雑誌あり)もなくなってしまいました。
トランジスタ技術はいまも技術者にとって最新情報を知るためになくてはならない雑誌です。日本の電子産業を支えている要素のひとつといっても過言ではないと思います。いつまでも存続してほしいと思っています。

ところで、テレビの「トランジスタ技術の圧縮」のラストは、ジローラモ氏が登場し、雑誌「レオン」を手に「パーティーはこれからだ」というオチがついていました。これは原作にはありません。
これはたしかに、テレビ的にはオチを付けたい気持ちはよくわかるのですが、レオンはちょっと違うんじゃないかなあ……
いや、ジローラモ氏が登場して意表を突いてておもしろいんだけど、雑誌の性質が違いすぎるんじゃないかと。
ファッション誌は、1冊丸ごと広告のような性質があるので、圧縮できないんじゃないかという気がします。
じゃあ、レオンのかわりに何かあるか?といわれたら、月刊CQじゃあんまりだし、月刊JR時刻表じゃあ、あまり圧縮できなさそうだし、ほとんど思いつきません(^-^;
やっぱり「トランジスタ技術」は特別な雑誌なんだ!という気がします。

テレビの進行役はタモリさんでしたね。タモリさんはアマチュア無線家なので、月刊CQは当然ご存じでしょうから、おそらくトランジスタ技術も知っているでしょう。そこまで考えるとなかなか妙ですね。

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