パワーアンプ用スイッチング電源の起動不良
動画1.パワーアンプ電源のヒカップ(hiccup:しゃっくり)現象
(右側のスイッチング電源の緑LEDと、中央のコンデンサ基板のピンクLEDがチカチカしています。)
長らく使っている無帰還パワーアンプですが、どうもこのところ電源スイッチを入れるとスイッチング電源が起動に失敗し、ヒカップ動作に陥るようになってしまいました。ヒカップとは、スイッチング電源の過電流保護動作によって、しゃっくりのようにON→保護によりシャットダウン→ON→保護により……を繰り返す現象のことで、すんなり電源がONになることもあれば、ヒカップに陥って、もう一度電源を入れ直さないとONできないこともあります。ヒカップ現象の様子を動画1に示します。
このアンプを製作してから長らく問題なく動作していましたが、ここ最近はかなりの頻度でヒカップ現象が起こるようになったので、原因の調査と対策を行いました。
まず原因ですが、スイッチング電源の使い方が仕様外でした。申し訳ございません。
もし無帰還25WまたはFET入力無帰還25Wを、製作例通りCincon社製スイッチング電源CFM60S240を使用して製作された場合は同じ不具合が出る可能性があるので、本記事の内容にしたがってスロースタート回路を追加するか、スイッチング電源の出力に入れる平滑コンデンサを2500μF以下にしてください。
今回の不具合の原因は、スイッチング電源の出力につけた平滑コンデンサ(4700μF)が電源の負荷として重く、電源が起動に失敗するというもので、これは製作例に記載したCincon社製スイッチング電源CFM60S240の仕様書を読むと負荷コンデンサは2500μFとなっているので明らかにオーバーしています。仕様書はちゃんと読まないといけませんね(^-^;
ダウンロード - datasheetcfm60sseries.pdf
それはこの仕様書の3ページ目の、"Load Capacitance"のところに記載されていました。
つまり外付けの平滑用のコンデンサは2500μF以下にする必要があります。
製作例にも書いた通り、従来は±24Vの両方の電源出力に4700μFの平滑用ケミコンを付けていました。なので、これをそのまま使えるように、スロースタータ回路を製作しました。回路を図1に示します。
図1.ヒカップ対策用スロースタート回路
図1の回路中、C1とC4の4700μFが平滑用のコンデンサです。電源ON時に、このコンデンサにドカッと充電電流が流れることでスイッチング電源の保護回路が働いてヒカップ状態に陥るので、対策としてMOSFETで充電電流を緩やかにします。そのためにゲート入力電圧を100kΩと47μFでゆっくり上昇させています。47μFと並列に入れた100kΩはゲート電圧が最大定格を超えないようにすることと、47μFの放電のために付けています。FETは部品箱に大量に入っていたIRFW540で、これは以前秋月のお楽しみ袋に入っていたものです。定格は100V28A、ON抵抗は52mオームです。50V10A以上で、Vgsが5V前後でON抵抗が0.1Ω以下のMOSFETならおおむね大丈夫だと思います。
マイナス側の回路はPチャネルを使って上下対象にしたほうが見た目かっこいいですが、部品の入手性が良くないので、同じデバイスを使って同一回路としました。
配線してしまってから写真を撮っていないことに気がついたのでわかりにくくなってしまいましたが、写真1に実装の様子を示します。この裏側に4700uFのコンデンサが2本付いています。
スイッチONの様子を動画2に示します。
写真1.スロースタート回路実装の様子
動画2.スロースタート回路による対策後の電源ON
そういうわけで、4700uFでも安定して起動できるようになりました(^-^)
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