洗濯機NW-D6CXの給水弁の修理
【20230904追記 ゴムパッキン交換編】
下記の元記事に書いたとおり、洗濯機NW-D6CXの給水弁のゴムパッキンが破れて水が入らなくなってしまい、破れたゴムパッキンを接着剤でふさいで一週間ほど使っていたが、どうも止水時に「チー」というごく小さい音がする。どうやら少量だが水がもれているようだ。そこでふたたび給水弁ユニットを取り出し、ゴムパッキンを点検したところ、接着剤が白化し、接着が剥がれてしまっているようだ(写真1)。やはり破れたゴムパッキンを接着剤で補修するのは無理だったようだ。
写真1.白化して剥がれてまった接着剤
給水弁ユニットは品切れだったが、その内部のゴムパッキンだけ交換できれば修理することができるので、ゴムパッキンが売られていないか探したところ、amazonにそれらしいものがあった(写真2、写真3)。
写真2.ゴムパッキン1 ゴム面に白い突起が2つある
写真3.ゴムパッキン2 ゴム面の突起はオリジナルと同じ1つ
写真2のゴムパッキン1には寸法図がある(写真4)。
写真4.ゴムパッキン1の寸法図
オルジナルのゴムパッキンは、写真4の厚さ9.5mmの部分が実測で14.5mmで、この部分が違うが、その他はほぼ同等だ。
やってみないとわからないと判断して、上記2種類のゴムパッキンを購入して動作を確認してみた。
実際に送られてきたゴムパッキンを写真5,写真6に示す。いずれの写真も真ん中の黄色いものがもともと付いてたオリジナルのゴムパッキン、左右が今回の購入品。
写真5.オリジナルと購入品のゴムパッキン
写真6.オリジナルと購入品のゴムパッキン
給水弁ユニットを開けて、写真7のようにゴムパッキンを今回購入したものに交換する(右上の白いゴムパッキンが交換品)。
写真7.給水弁ユニットの破れたゴムパッキン(右上)を交換する
今回購入した2種類のゴムパッキンを付けて、それぞれ動作を確認したところ、どちらも問題なく給水、止水の動作ができた。
今回はオリジナル品と同じく、ゴム面の突起がひとつのもの(写真3 ゴムパッキン2)を採用することにした。
そういうわけで、こんどこそだいじょうぶだと思う。
治ってよかった\(^o^)/
【20230826元の記事】
20年使ってきた全自動乾燥機付き洗濯機HITACHI NW-D6CXが、給水ができずC1エラーを吐いて止まるようになってしまった。
これは典型的な給水弁故障で、給水弁の中のゴムパッキンが破れたり穴が開いたりした場合に起こるらしい。
故障時に水が入りっぱなしになるのではなく、水が入らなくなる、という設計はすごいと思う。給水弁の動作はこちらで説明されている。
今回のような給水弁故障の場合、通常は給水弁ユニットを丸ごと交換するのだが、この機種に使われる給水弁ユニットNW-D8CX 038がどこも品切れで、生産終了となっているため入手は難しそうだ。
給水ができないとはいっても、チョロチョロとは水が入るのでここ2週間ほど騙し騙し使ってきたが、それもしんどいので修理できないものかと考えて、とにかくバラして故障箇所を見て検討することにした。
結果からいうと、想像したとおりゴムパッキンが破れていて、通常ならあきらめるしかない状態だったが、ダメ元で接着剤でゴムパッキンの破れを塞いだところ、なんとか給水はできるようになって、どうやらもうしばらく使えそうだ。
今回の作業で最も困難だったのは、洗濯機の上部パネルの取り外しだった。やり方がわからず、給水弁ユニットを取り出すまでに一週間以上要してしまった。ネジの締め付けトルクが猛烈に高く、通常のドライバーではお手上げだったが、幸いねじ頭が六角だったため、対辺7mmの六角ドライバー(いわゆるナット回し)で対応した。またネジを外しても、上部パネルは強固なパッチン止め(押し込むとツメがかかってロックされる機構)になっていて、ここでほぼ一週間費やしてしまった。図面がないパッチン止めの機構は、無理やり力をかけて破損してしまうと取り返しがつかないので、慎重さが求められる。
次の難関は給水ユニットの本体からの取り外しで、これもフレームのツメをドライバーでこじ開けないと取り外せない。
そして最後の難関は給水弁ユニットの分解。給水弁ユニットのネジはピン6ロブといわれる特殊ネジで、通常ならあきらめるところだが、幸い工具箱にこのドライバーセットが入っていた。
とにかく
「ぜったいに素人には手を出させねえ!」
という、メーカー側の非常に強い意志が感じられる造りだ。
実際の作業内容を以下に紹介する。(なお参考にされる場合は自己責任でお願いします。)
1 ACプラグを抜く
2 給水用の水道の蛇口を閉め、給水ホースを外す
3 上パネルを外し、給水弁ユニットを取り出して修理する
①上面パネル奥2箇所のネジ蓋を開け、ネジを外す(図1)
ただし、このネジは締め付けトルクが猛烈に高く、ジャストサイズのプラスドライバー3番ビットでも歯が立たなかったため、対辺7mmの六角頭をナットドライバーで回して外した。
図1.背面側の2箇所のネジ穴の蓋を開けて、ネジを外す
②左右の手前側カバーを外す(図2)
手前側カバーは、ツメがかかってロックされているので、手でこじり外すかすきまにマイナスドライバーなどをこじ入れて外す。
左右ともカバーを外すとネジがあるので、これを外す。
図2.手前側左右のカバーを外すとネジがあるので外す
③洗濯機の蓋を外す
・蓋の左ヒンジは奥に赤い樹脂ツメがあるので、これを右にスライドして止め軸を引っ込める(図3)。右ヒンジはワイヤスプリングが付いているので、ピンセットなどで外す(図4)。止め軸とワイヤスプリングを外したら、左右それぞれのヒンジをマイナスドライバーなどでこじって、手前側に引いて蓋を外す。
図3.蓋の左ヒンジの赤い樹脂ツメを右にスライドして、止め軸を引っ込める
図4.右ヒンジのワイヤスプリングを外す
④固定ピンを引き抜いて(図5)、洗剤投入口を外す(図6)
図5.蓋後部にある、洗剤投入口ロックピンを外す
図6.洗剤投入口を外す
⑤奥側の上面パネルを外す
図7のように奥側上面パネルの左右手前側からドライバーを差し込んで、柄を上に引き上げるようにしてバキバキとツメを外す。
図7.奥側上面パネルの左右手前側からにドライバーを差し込んで柄を引き上げて外す
⑥給水弁ユニットから洗濯槽への配管のホースを、ホースバンドをゆるめて外す(図8)
図8.洗濯槽への配管ホースを、ホースバンドをゆるめて外す
黒いのが配管ホース、銀色がホースバンド。
⑦給水弁ユニットと洗剤クリーマーが一体となったユニットを、左右手前、右うしろ側および左奥の4箇所のネジを外してから手前のツメがかかっている部分をドライバーでこじり広げて外す(図9)
図9.給水弁ユニットと洗剤クリーマーを、手前側爪がかかっている部分をこじって外す
⑧給水弁ユニットを取り外す(図10)
図10.取り外した給水弁ユニット
⑨給水弁ユニットのネジ(ピン6ロブ)を外して分解する(図11)
給水弁を開けると、図12のようになっているので、ゴムパッキンを外して点検する(図13)。
図11.ピン6ロブネジを外して、給水弁ユニットを分解する
図12.給水弁ユニットの内部
右上のゴムパッキンを外したところ。
図13.ゴムパッキンを点検して破れを発見!
⑩ゴムパッキンの破れ部分が露出するように、ゴムパッキンを浮かせた状態で引っぱって固定するジグを作る(図14)
ゴムパッキンを浮かせるためのスペーサーは10セントユーロ硬貨がちょうどよかった。
図14.ゴムパッキンを浮かせて固定し、破れた部分を露出するジグ。ネジに木綿糸を巻き付けてゴムパッキンを固定する。
⑪10セントユーロ硬貨と木綿糸を使って、ジグにゴムパッキンを浮かせた状態で固定して破れを露出し、そこに接着剤(コニシ ウルトラ多用途SU ソフト)を塗布して破れを塞ぐ(図15)
接着剤を乾かしてゴムパッキンの補修完了(図16)。
図15.ゴムパッキンの破れに接着剤を塗布して塞ぐ
図16.接着剤が乾いたらゴムパッキンの補修完了
⑫以上の手順を逆に行い、洗濯機を元の状態に戻す
以上、おおざっぱですが給水弁ユニット内部のゴムパッキンの補修を紹介しました。
これで給水は元通りジャバジャバと入るようになりました\(^o^)/
さて、あとどれくらい使えるか……
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