4.5㎝スコーカーのBTL電流駆動(ラズパイPico SDプレーヤー)
写真1.戦利品のSONY4.5㎝スコーカーとメディアプレイヤー
4.5㎝スコーカーはamazon段ボールに穴を開けたバッフルにはめ込み、アンプはオペアンプAD8534を使ったBTL電流駆動。
先日、手作りアンプの会のイベントで、SONY製4.5㎝スコーカーを4個100円でゲットしたので、何か使い道はないかと思い、SDプレーヤーを試作してみた。
このスコーカーは特性も型番もわからないのでネットで調べると、販売しているサイトが見つかった。なんと1個200ドル(@_@;
販売サイトは見つけたものの、結局特性はよくわからないまま。
とりあえず仕事で着手していたメディアプレーヤーにつないで音を出してみたところ、案外元気に鳴る。ただ、スコーカーということなので、帯域はおそらく300~5kHzくらいじゃないかと思われた。
ぼくはマルチウェイはあまりやる気がしないので、これを単発で鳴らす実験をすることにした。
帯域の狭いスピーカーを無理に駆動するなら電流駆動がおもしろそうだ。それならばそのついでにBTLもやってみることにした。
遠い昔(30年ほど前)、メーカーでのMOドライブ開発のときにアクチュエータドライバに使っていたHA13490というICがまさにBTL電流駆動のドライバで、こんな駆動方式はオーディオアンプでは見ることはないが、アクチュエータ駆動ではよく出てくる。その当時、「これでスピーカーを鳴らしたらどんな音がするんだろう?」と思ったが、30年経ったいま、それをやってみようというわけだ。
今回製作した回路は、SDプレイヤー部はラズベリーパイPicoにSDホルダーとタクトスイッチがついているだけのきわめてシンプルなもので、アナログ出力は122kHzのPWMで出力されるのでDACすらついていない。ソフトの起動時にポップノイズが出るので、それをミュートするためにオペアンプの電源をPicoからON/OFFできるようにしている。出力はPicoのPWM出力をオペアンプで受けてローパスをかけ、出力VRを経て一段バッファし、ヘッドホン出力のあとにBTL電流駆動パワーアンプがついている。使用したオペアンプはAD8534という4回路入りフルスイングオペアンプで、出力電流が最大250mAとれるので、Liion電池一本でスピーカーを駆動する。同じ内容の2回路のオペアンプAD8532は秋月で入手できる。
ソフトはGithubからもらってきたMicropythonで書かれたもの。このソフトをベースにボタン操作部分を追加した。対応フォーマットは44.1kHz16bitのWAVファイル。
実際に音楽を聴いてみると、3.7Vのリチウムイオン電池1本でけっこうよく鳴る。部屋でBGM用に使うには十分だ。消費電流はステレオで最大150mAほど。
せっかくなので、アンプを電流駆動にした場合と電圧駆動の場合の音圧特性をとってみた。測定条件はスピーカー軸上正面10㎝、測定系はminiDSP UMIK-1、およびソフトにREWを使用した。測定結果を図1に示す。
図1.音圧特性(赤:電流駆動 緑:電圧駆動)
赤で示した電流駆動では、274Hzに大きなピークが出ていて、これはスピーカーのf0だと推定できる。電流駆動によってf0が大きく増強されている。また高域もインピーダンス上昇に伴って音圧が徐々に上昇している。
電圧駆動では低音がまったく出ない印象で、やっぱりスコーカー単発では無理があるように感じられるが、電流駆動することで低域が持ち上がり、どうにかこうにか聴けるレベルの帯域感になったように感じられる。
そういうわけで、30年越しのBTL電流駆動実験ができて満足です(^-^)
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