各種SSDACの信号ひずみ率 THD+N の比較(20230506データ追加)
【20230506】SS128基板のPCM5102出力および市販DAC(AK4396、PCM2704、ES9018K2M)のデータを追加しました。
デジタル音楽データをスプライン関数で補間するSSDACについて、実際に波形がどのように補間されているかはこれまで波形を紹介してきたが、今回は1kHzの正弦波信号を再生した場合の全高調波歪率+雑音(THD+N)がどうなっているかを紹介する。
比較参考用として、同じ測定系で市販DACデバイスAK4396、PCM2704、ES9018K2Mの測定を行った(20230506追加)。
測定条件は次のとおり。
パソコンOS :windows XP
正弦波発生 :WaveGene1.4 44.1kHz、F32bit
FFT :WaveSpectra1.4 96kHz、24bit
サウンドカード :SoundBlaster Premium HD
windowsXP上のWaveGeneで正弦波を発生させ、USBでSSDACのAmaneroに入力、
SSDACのアナログ出力をSoundBlasterのラインに入力し、WaveSpectraで測定した。
SSDACの測定結果を表1に、市販DACの測定結果を表2にそれぞれ示す。
表1. 1kHz正弦波再生時の全高調波歪+雑音(THD+N)
表2.市販DACの1kHz正弦波再生時の全高調波歪+雑音(THD+N)
スーパーサンプリングのTHD+Nが最小なのはSSDAC128基板AK4490出力の0.00268%、最大だったのは同基板PCM5102出力の0.00907%だ。これは+Nの部分が支配的だが、耳で聞いてわかるほどの差はない。
また、NOSのTHD+Nは多くが4%前後と、非常にわるい結果となっているが、これは信号周波数1kHzとサンプリング周波数44.1kHzのエイリアシングが出ており、測定系が96kHzであったために観測された(下記参照)。
PCM5102NOS出力のTHD+Nは他の4%前後より大幅に低い0.0933%になっているが、これは出力回路のローパスフィルタのカットオフが低いため、44.1kHz±1kHzのエイリアシングのレベル低下による。
代表例としてSSDAC128の16bitDAC、DAC8820の128倍スーパーサンプリング出力のFFTを図1に、同NOS出力のFFTを図2に示す。
図1.SS128のDAC8820スーパーサンプリング出力
図2.SS128のDAC8820 NOS出力
図1、図2の比較において顕著なのが図2のAで示したエイリアシングで、これがTHD+NがNOSで約4%になっている主な原因だ。信号周波数が1kHzに対して、サンプリング周波数が44.1kHzであるため、44.1kHz±1kHzのエイリアシングが発生している。
また、Bで示した範囲にもノイズが発生していることがわかる。
これらのノイズは、図1のスーパーサンプリング出力では抑えられている。
以上のとおりTHD+Nは同じスーパーサンプリングでも、デバイスやスペックの差により最小0.00268%から最大0.00907%と開きがあるが、音を聞く限り、この差はあまり音質に影響していない。
音の傾向に影響をもたらすのは、マルチビットかΔΣか、あるいは中間型のアドヴァンスドセグメントかの違いが大きいのではないかと思われる。
主観的な傾向としては、PCM1704、PCM1702およびDAC8820のマルチビットDACは表情が繊細、アドヴァンスドセグメントのPCM1795はビビッドで鮮烈、AK4490やPCM5102はそれらの中間のような印象がする。
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