なんとなくフラクタル
いつのことだったか、スーパーの野菜売り場を歩いていたら一瞬ゾッとした。
なぜゾッとしたのかわからず、しばらくあたりを見回してみると、視界に見慣れない名前の野菜が置いてあった。
「ロマネスコ」
初めて見る野菜だった。
気を取り直してその野菜をもう一度見て、しばし凝固してしまった。
写真1.ロマネスコ(Wikipediaより)
その形状は数式が具現化したようなものだった。
数学、その中でも虚数が出てくるような世界はもはや現実的ではなく、概念としてしか捉えることはできない。せいぜい複素平面上のグラフとしてしか目で見ることができないようなものだと思っていたが、それがいきなり野菜に姿を変えて目の前に現れたのだった。
「これはマンデルブロイ集合のフラクタル図形のようではないか……」
はるか30年前の数学の授業で教わったマンデルブロ集合(その当時はマンデルブロイ集合と言っていた)。
マンデルブロ集合とは、
f(z) = z^2 + Cという関数を、z0 = 0から始めて、
z1 = f(z0), z2 = f(z1), z3 = f(z2), …
とくり返し計算して数列を作っていったときに、k → ∞で|zk|が発散しない複素数Cの集合
で定義される複素平面上の集合で、どんな意味があるかはさておき、そのグラフにはとてもおもしろい性質がある。
それはフラクタル(自己相似性)という性質で、図形のある箇所を拡大していくと、もとの図形が現れる、ということが無限に繰り返されるような性質のことだ。
ロマネスコを一目見て、フラクタルな野菜だと直感し、想像上の生物が突然目の前に現れたかのような衝撃を受けてゾッとしたのだった。
マンデルブロ集合を実際にグラフに書いていろいろな場所で拡大縮小、彩色をすると、非常におもしろい模様が現れる。座標の位置、尺度、彩色のパターンは無限に選べるので、無限のパターンのマンデルブロ集合が楽しめる。
このページでは、マンデルブロ集合の描画プログラムを提供している。
「マンデルブロ集合描画スクリプトを開く」ボタンを押すと、別窓でプログラムが起動するので、「おまかせ描画」ボタンを押すと、ランダムな座標や尺度、彩色でマンデルブロ集合を描画してくれる。
おもしろい絵が出たら保存しておいて、ネクタイを作ってみたい。
図1.おまかせ描画でランダムに描画されたマンデルブロ集合
【参考ページ】
マンデルブロ集合の不思議な世界
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