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2022年6月15日 (水)

Auratone 5Cと電流駆動アンプ

2000年頃、今日の必ずトクする一言というサイトで、スピーカーを電流駆動して使うという記事があるのをみつけた。帰還型のパワーアンプとスピーカーなら、スピーカーとGNDの間に電流検出抵抗を入れて、アンプはスピーカー出力から帰還をかける代わりに電流検出抵抗から帰還をかければ電流駆動になる。
さっそく当時使っていた金田式B級アンプに手を入れて電流駆動化し、ひとり暮らし開始時に買ったSX-100を鳴らしてみると、なるほど高域と低域が持ち上がって、少しにぎやかな感じの鳴り方になった。電流駆動では、スピーカーのインピーダンスにかかわらず入力信号に比例した電流でスピーカーを駆動するので、インピーダンスのピークがあるf0付近と、インピーダンスが緩やかに上昇する高域で音圧が持ち上がる。これは小音量時にラウドネスをかけるのと似た感覚で、とくに部屋で小音量で音楽を聴く場合などに適している。

また、同じサイトでAuratone 5Cというスピーカーが紹介されていた。これはかつてアメリカのスタジオにほぼ常備されていたニアフィールドモニタスピーカーで、ニュートラルな音と堅牢性に定評があって、愛好家がいるという。ただ残念なことにこれは70年代から80年代にかけて製造されたスピーカーで、もはや新品では入手不可能であった。
サイトでは、Auratone 5Cは電流駆動するのが良い、と書いてあって、これはいつか試してみたいと思っていた。

それからしばらく経った2010年頃、ふと思い出して、ヤフオクでAuratone 5Cを検索すると、なんといくつか出品されていたので購入して、音を聴いてみた。
聴いた最初の印象は「なんだか地味でとくに……」という感じだった。ボーカルだけは素直できれいに聴こえるが、楽器の鳴りが物足りない。低域も高域も足りない感じがした。
そこで、上記の電流駆動に切り替えて鳴らしてみたところ、低域と高域が持ち上がって、楽器の鳴りにもかなり厚みが出た。上のサイトで言っていた、Auratoneは電流で鳴らすとよい、というのはこういうことだったか!と感銘を受けた。

もともと使っていたSX-100はどうかというと、音を聴いて買ったスピーカーなので気に入って使っていたが、Auratoneと比べると、楽器はいいのだがボーカルが弱く感じる。
そこで、これはかなり変則的だが、SX-100とAuratone 5Cを直列にして鳴らしてみるとなかなかよろしい。Auratoneが弱い楽器をSX-100が補い、SX-100が弱いボーカルをAuratoneが補う。2022年現在もこのセッティングで聴いている。
アンプはすでにこのブログで紹介した無帰還電流アンプと無帰還アンプを気分によって使い分けているが、どちらできいてもよい感じで鳴っている。

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