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2022年6月 5日 (日)

ヘッドホンステレオ

中学生になると、世間ではウォークマンというヘッドホンステレオが流行り始めた。ポータブルオーディオの先駆けだ。
たしか中学2年生のクリスマスに、AIWAのカセットボーイというヘッドホンステレオを買ってもらい、持ち歩いて音楽を聴いていたが、なんとこれが運のわるいことに欠陥個体だった。
本体を表向きにした場合と裏向きにした場合とで、再生スピードが変わってしまう。保証期間が1年あったので、すぐに修理に出した。修理から戻ってきたものを確認すると、フタを止めていた小ねじ2本がついていなかったが面倒なのでそのままにして、しばらくは問題ないかのようだったが、また少しすると同じ症状になってしまうため、再度修理に出した。2回目の修理では、「モーター交換」と書かれていて、さらに「ねじ2箇所欠損」と書いてあった。これで直っただろうと思い使っていると、またまた同じ症状になってしまった。これはもう修理もあてにならないだろうと判断して、自分であれこれ調べてみたが、わるそうな箇所は見つからなかった。速度がふらふらして気持ちがわるいので、あまり使うこともなくなったが、一年ほどたったある日、最後だと思って動作を確認していると、どうやら原因と思われるものを発見した。この機種のモーターにはコアレスモーターが使われていたが、コアレスモータはコアありのモータと違って、磁石によってローターが引き込まれないため、ローターの軸方向の位置が勝手には決まらない。そこでシャフトの本体軸受けの近くに溝がついていてEリングを嵌めることで位置が変わらないように設計されているようなのだが、このEリングがなくなっていて、本体の裏表でシャフトが0.5mm程度ずれるのだった。その結果モーターの特性が裏表で変わってしまい、回転数が変わってしまっていた。ということは、修理で「モーター交換」と書かれていたのはウソで、グリスでも塗ってごまかしたのではないかと思われた。
原因がわかったものの、ぴったり合うEリングが見つからないので、秋葉原で買ってきた適当なモーターに電子ガバナ回路を付けて改造して使っていた。多少のノイズが入るようになったが、回転が安定しないよりははるかにマシだったため、これでしばらく使った。
それにしても、不良品を引いてしまったのは不運だったが、そのあとの修理対応もひどいものだったので、もうこのメーカーの製品は買う気がしなかった。
それからしばらくしてこのメーカーは消滅してしまった。修理をきちんとする会社だったら、あるいは生き残っていたかもしれない。

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