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2022年6月28日 (火)

カオスの音

※データに一部まちがいがあったため、差し替えました。

先日出かけた先で、「役に立たない機械」がおもしろいという話題になった。早稲田大学で毎年コンテストを行うそうで、タモリ倶楽部で紹介されたというので、録画を見せてもらった。
なるほど、みなさん役に立たない機械を大まじめで作っている。
どれもとてもおもしろかったが、その中で特に印象的だったのが、二重振り子を応用したメトロノームだ。
刻むリズムが不規則でしっちゃかめっちゃかなので、なるほど非常に役に立たない!!

二重振り子というのは、棒にぶら下げた振り子の重りに、さらに棒を付けて重りをぶら下げるという、二階建ての振り子になっていて、不規則で予測不能な動きをする。カオス現象の一例として有名なのだそうだ。
運動方程式は立てられるので、その動作は計算できそうなものだが、計算通りの動きになるには非常に高い精度での計算が必要であり、現実には計算精度に加えて、摩擦や空気抵抗やガタなどのちょっとした誤差が、その後の動きに影響を与えるため、現実的にはその運動を予測することは困難だという。
ただ、精度的に難しいということであって方程式は立てられるので、ランダムというわけではない。

これと同じことを電子回路でできないかということを、ぼんやり考えて、いくつか試してみた。
カオスが電子回路で発生できれば、増幅して音を聴ける。カオスの音とはどういうものだろうか。
不規則でランダムに近い信号だとすればホワイトノイズ的なものになるのだろうか。

非安定マルチバイブレーターを2階建てにしたり、VCOを2つ用意してお互いのコントロール入力にお互いの出力をつないでみるなど、独立した2つの発振回路が、相互に発振周波数を変更するような動作をすれば実現しそうな感じではある。
ところが、実際にやってみるとどうも周期性が出てきてしまう。そもそも動作がカオスなのかそうでないのか、検証する方法もわからない。

しかたがないので自分で考えるのはあきらめて、ネットで検索してみると、「チュア回路」(Chua's circuit)を使ったカオス発振器というものを見つけた。
参考にしたのはこちらのサイト

あとで実際に回路を組んで検証したいので、楽にできるように回路を単電源に変更した。LTSpiceでシミュレーションした回路を図1に示す。

Simsch_20220627202101
図1.チュア回路のシミュレーション

参考のサイトではオペアンプにOP27を使っているが、実回路を組むことを考えてNJM3414にした。NJM3414のスパイスモデルはJRCのサイトより入手した。
カオス発振の観測点は図中のX,Yで、この2点をリサージュで観測する。
うまくカオス発振が起こらない場合は、C1とR8を微調整する。
シミュレーション結果を図2に示す。

Ltspice
図2.カオス発振のシミュレーション結果

参考のため、X,Y点をリサージュでない個別の信号としてシミュレーションしたものを図3に示す。

Simxysignal
図3.X,Y点それぞれのシミュレーション波形

さてシミュレーションがうまくいったので、いよいよ実際に回路を組んで動作を確認する。
実際に組んだ回路を図4に示す。

Chuascircuit
図4.実際に組み立てた回路(20220706  C8の値を0.1→22μFに訂正しました)

シミュレーションで観測したリサージュ波形を音として表現するにはどうしたらいいか?
リサージュという方法の性質から考えれば、信号X,Yの位相差を増幅すれば理にかなうように思うが、位相差の演算はなかなかたいへんそうだ。なので今回は簡単にX,Y信号の和と差を観測することにした。

実際の回路では、オペアンプに4回路入りのNJM3403を使用した。これはシミュレーションに使ったNJM3414と中身が近いと思われる。
4回路のうちU1Aをチュア回路に、U1Bを基準電源用に、U1CをX,Y信号の加算に、U1DをX,Yの差の演算に使用した。
カオス発振を起こすためにC4を2200pに変更し、RV1を調整してカオス発振を起こす。

X-Yリサージュの様子を図5に示す。デジタルオシロの画像保存ではきれいに録れなかったので、写真を撮った。

Oscillopic
図5.実際の回路でのカオス発振の様子


参考のため、X,Yそれぞれの波形を図6に示す。

Tek0004
図6.X(下)とY(上)の波形


次にX+Yの演算出力を図7に、X-Yの演算出力を図8にそれぞれ示す。

Sumxy001
図7.X+Y演算出力(差し替えました)


Difxy001
図8.X-Y演算出力(差し替えました)


和信号と差信号は、波形だけ見てもあまりピンとこないので、wavespectraを使ってFFTしてみた。
X+YのFFTを図9に、X-YのFFTを図10にそれぞれ示す。

Sum001
図9.X+YのFFT(差し替えました)


Diff001
図10.X-YのFFT(差し替えました)


X+Y、X-YをFFTしてもまだあまりピンとこないので、音を聴いてみる。

①X+Yの音(差し替えました)
ダウンロード - sum001.wav

②X-Yの音(差し替えました)
ダウンロード - diff001.wav


音はどちらもホワイトノイズピンクノイズに高域の信号を重畳したような感じに聞こえる。
強いていえばセミのベース音つまり変調なしの搬送波のような印象だ。種類でいうとニイニイゼミあたりだろうか。

というわけで、なんともよくわからない混沌とした結果になった。

役に立たない記事になったことを自負している。

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