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2020年12月15日 (火)

128倍スーパーサンプリングDAC試作(128x Super Sampling DAC)

128xssdac
写真1.今回試作した128倍スーパーサンプリングDAC
今回は以前製作会で頒布した基板を使用した。FPGAのMAX10が直接実装されている。外付けI2S用の端子を引き出している

前回から引き続き、SSDACの試作検討をしている。
SSDACはオーディオDACの新手法で、サンプル点間を3次自然スプライン関数で補間する技術だ。
トランジスタ技術2018年10月号で発表され、試作回路やソースコードは同11月号に収録されている。
このとき収録されキット販売されたものは64倍スーパーサンプリング、すなわちサンプル点間を63点のスプライン関数で補間し、マルチプライングDAC(16ビットパラレル)DAC8820で出力するものだった。

前回は4倍スーパーサンプリングしたものをアップサンプリングデータとして市販のI2S入力DAC、PCM5102で再生する実験を行った。

今回はスーパーサンプリングレートを128倍に引き上げて、上記と同じDAC8820で出力する実験を行った。

64倍スーパーサンプリングの場合、I2S信号のSCLKがサンプリングクロックとしてそのまま使える。つまり、LRCLKが44.1kHzのときSCLKが2.8224MHzなので、

2.8224MHz / 44.1kHz = 64

となり、1データあたりちょうど64倍になっているのでこれに同期してスーパーサンプリングデータを出力すればよい。

今回はさらに倍の128倍スーパーサンプリングの実験を行った。128倍の場合はSCLKの2倍の周波数なのでMCLK(11.2896MHz)を分周して128倍のクロック(44.1Hkzの場合は5.6448MHz)を生成し、これに同期させた。

波形観測の元データはすべて44.1kHz16bitのCDと同じフォーマットで行った。観測波形は次のとおり。

Nos_8khz
図1.8kHzサイン波NOS
8kHzでも、なにもしないとこんなにガタガタしている。

Ss128_8khz
図2.8kHzサイン波128倍スーパーサンプリング

Nos_16khz
図3.16kHzサイン波NOS
もはやサイン波の面影はない


Ss128_16khz
図4.16kHzサイン波128倍スーパーサンプリング
3点確保できる周波数(44.1/3=14.7kHz)を超えるので、振幅が波打ち始める

Nos_20khz
図5.20kHzサイン波NOS

Ss128_20khz
図6.20kHzサイン波128倍スーパーサンプリング
3点確保できる周波数(44.1/3=14.7kHz)を超えるので、振幅が波打つ


Nos_sq1khz
図7.1kHz矩形波NOS
何も処理しなければお豆腐のような矩形波が再現される

Ss128_sq1khz
図8.1kHz矩形波128倍スーパーサンプリング
スーパーサンプリングの特徴ともいえる、1山ずつのオーバー、アンダーシュートが出る


Nos_saw2khz
図9.2kHzのこぎり波NOS


Ss128_saw2khz
図10.2kHzのこぎり波128倍スーパーサンプリング


というわけで、実装はおおむねうまくいっていると思う。

リスニングは、まず高域の出方がNOS(何も処理しないDAC)にくらべると良くなっているように感じる。
また、過去の試聴会では、32倍と64倍では違いがあり、64倍のほうがより良いとの評価が出ている。
今回の128倍はいまのところ64倍と比較して耳でわかるほどの違いはないように思えるが、しばらく音楽を聴いてみたい。

次回は、前回行った4倍アップサンプリング→市販DACへの応用を拡張して、8倍アップサンプリングの応用実験をする予定です。

 

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