8倍スーパーサンプリング+AK4490 評価
写真1.SSDAC基板(右)と、AK4490およびPCM5120の外部I2S_DAC基板(左)
データ間をスプライン関数で補間するSSDAC(スーパーサンプリングD/Aコンバータ)について、今回は8倍スーパーサンプリングデータを8倍アップサンプリングデータとしてAK4490に入力する検証を行った。
結論を先に言うと、今回のAK4490も、前回評価したPCM5102と同じく、8倍の352.8kにアップサンプリングした信号を入力するとNOSDACとして振る舞うようで、相乗的な効果は見られなかった。つまりマルチプライングDAC(DAC8820)の出力とほぼ同じ結果となった。
元データを44.1kHz16bitデータとし、これに8倍スーパーサンプリング処理をして352.8kHz24bitとしてAK4490のI2Sに入力した。
図1.1kHz矩形波8Xアップサンプリング→AK4490
AK4490のフィルタ設定に依存せず、すべて同じ結果となった。
図2.2kHzのこぎり波8Xアップサンプリング→AK4490
AK4490のフィルタ設定に依存せず、すべて同じ結果となった。
図3.8kHzサイン波8Xアップサンプリング→AK4490
AK4490のフィルタ設定に依存せず、すべて同じ結果となった。
図4.16kHzサイン波8Xアップサンプリング→AK4490
AK4490のフィルタ設定に依存せず、すべて同じ結果となった。
図5.20kHzサイン波8Xアップサンプリング→AK4490
AK4490のフィルタ設定に依存せず、すべて同じ結果となった。
というわけで、スーパーサンプリング処理を行なったあとに、市販のDACを介して出力するという方法では、特筆すべき効果は得られなかった。まとめると次のようになる。
・オーディオ用I2S DACデバイスに対してアップサンプリングして入力する方法では、8倍スーパーサンプリング(384kHz)が限度
・出力波形はマルチプライングDACを使った場合と同等
・マルチプライングDACによる出力では現在128倍まで可能なので、音質的には8倍よりも128倍のほうが有利
・オーディオ用DACに入力する方法では、ΔΣのデバイスを使うとマルチプライングDACよりもノイズ面で有利
・マルチプライングDAC(DAC8820)よりも市販オーディオ用DACを使う方がコストが安い
つまり、
●スーパーサンプリング8倍でΔΣ方式の市販オーディオDACデバイスで妥協すると、ノイズ面とコスト面で有利
●スーパーサンプリング128倍でマルチプライングDACを使用し音質を優先すると、コスト高で、ノイズでやや不利になる
●ただし、DAC8820はビット分解能が16Bitであり、市販I2S DACでは24Bitであることを加味すると、数字的には市販I2Sか。
ということだ。
ぼくならマルチプライングで128倍を選ぶが、これは人によって判断がちがうと思う。
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