LTSpiceでトライアックをシミュレーションする
中華製はんだごての件でトライアックにほとんど初めて触れたので、この機会にサイリスタについて考察しておこうと思い、まずはLTSPICEでのシミュレーションをしようとしたが、なんとLTSPICEにはトライアックもダイアックも記号があるだけで中身がない。たとえば図1のような回路を書いてシミュレーションしようとするとエラーが出る。
図1.トライアックに関するエラー
これは、「”トライアック”という部品の中身がわかりません」ということ。
トライアックやダイアックは、LTSPICEの部品としてLib\sym\Miscに格納されているが、これは部品記号だけで中身(部品としてのパラメータ)をもっていないので、このままでは使えないということのようだ。
こういう場合はどこかからシミュレーションモデルをもらってきて、回路記号に対して割り付けてやる手続きが必要だ。備忘録として書いておく。
今回はSTmicro社からトライアックとダイアックのシミュレーションモデルを入手した。
STmicroのホームページの検索で、”Triac SPICE”で検索するといくつか候補が出るので、今回はこの中から
en.standard_snubberless_triacs_pspice.zip
をダウンロードした。ダイアックも同様に”DIAC SPICE”で検索して、
en.diacs_pspice.zip
をダウンロード。
ダウンロードしたら解凍して、
C:\Users\higo\Documents\LTspiceXVII\lib
の下にホルダごとコピー。(どこでもよい)
次にLTSPICE上で.opを使って、”.lib”と入力し、回路図上の適当な場所に貼る。
その貼付けた”.lib”を右クリックし、BROWSEボタンを押して、先ほど解凍してコピーしたホルダの中の.libファイルを指定する。たとえば次のようになる。
.lib C:\Users\higo\Documents\LTspiceXVII\lib\standard_snubberless_triacs_Pspice\st_standard_snubberless_triacs.lib
そしてこんどはコピーしたホルダの中にあるst_standard_snubberless_triacs.libをメモ帳などで開くと、部品型番ごとに
.subckt BTA12-600B A K G
などの記述があるので、使いたい部品の型番部分をコピーしておく。この場合は”BTA12-600B”(A K Gはピン名なのでコピーしない)。
回路に戻って、回路図上のTRIACを右クリックするとComponet Attribute Editorという窓が出るので、
①prefixがXになっていることを確認(違っていたらXにする)
②valueに先ほどコピーした部品型番BTA12-600Bをペースト
ダイアックも同じように行う。
回路は図2のようになる。V1が入力する交流電源(100V 50Hz)、R1が負荷だ。
図2.シミュレーション回路
DIACにDB3をTRIACにBTA12-600Bをそれぞれ割り付けた
図2の回路で、位相制御のタイミングを決めるC1,R2のうちR2を10kΩから300kΩまで50kステップで変化させたときのtransientシミュレーションを図3に示す。
図3.シミュレーション結果
閾値を決めるR2をステップで変化させると、負荷にかかる電源波形が削られていくのがわかる。
おもしろいですねー\(^o^)/
ちなみにLTSPICEの参考書はオーム社の「LTSPICEで学ぶ電子回路」がおすすめです。
著者の渋谷さんとはCQ社のイベントで一度お目にかかりました。サインもらっておけばよかったなあ。
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