JFETを使った非安定マルチバイブレーター
トランジスタを2個使った非安定マルチバイブレータという回路がある。発振回路やフリップフロップ、ラッチなどの基本となる回路だ。
遠い昔、高校の文化祭での無線部の出し物として、このマルチバイブレータ回路を使ったLEDの点滅バッジを売ったところ飛ぶように売れた。たしか原価が300円ほど(このうち電池が半分ほど)で、これを500円で売っていたが、販売制限をかけないと初日で売り切れてしまうほどで、当然のごとく完売御礼、利益が出たので文化祭終了後に養老の瀧に打ち上げに行ったほどだ。
当時採用した回路は図1に示すようなものだった。
図1.マルチバイブレータによるLED点滅回路
文化祭で売ったものは、R=100KΩ、C=47μF程度だったと思う。
この回路を安全ピンで留められる切手ほどの大きさの基板に詰め込んで、電気ウキ用の3Vのリチウム電池を使って動作させていた。
小型化のためにコンデンサを小さくしたいので、時定数CRが同じになるようにコンデンサCを1/10にしてRを10倍にすることは考えたが、ベース電流が無視できなくなるため理屈通りとは行かず、けっきょく47μのタンタルコンと100kΩにしたのだった。
それでもその当時、コンデンサを小さくして抵抗を大きくするやりかたで理屈通りに動作する方法はないかあれこれ考えて試行錯誤し、JFETを使ってCRの部分をゲートで受ければ電流が流れないので、ほぼ理屈通り動作することがわかった。図2のような回路だった。
ただ、FETは高価だったことと、LEDが明るくなる分電池持ちがわるくなったため結局採用されなかった。
図2.JFETを使った回路
ゲートは電流が流れないので、ほぼ理論通りの時定数で動作する
あの当時だとトランジスタは2SC1815、FETは2SK30か2SK19あたりだったのではないかと思う。
この回路を今になって思い出したので、シミュレーションと実験をしてみた。
図3がノーマルタイプ、図4がFETタイプのシミュレーション結果だ。ピンクで示すLEDの電流に注目してほしい。
図3.ノーマルタイプのシミュレーション
緑がLEDカソード側電位、ピンクがLED電流。ピンクのLED電流が、針のような一瞬しか流れていない
図4.FETを使ったタイプのシミュレーション
ピンクのLED電流はON時間を通して強力にLEDを駆動している
当時はほとんど時定数の理論通り動作することがわかったので、満足してそのまま忘れていた。ところが今になってなぜか急に思い出したので、LTSPICEでシミュレーションしてみたわけだ。
トランジスタを使わずにJFET2個だけでやる方法がないかも考えたが、なかなか難しそうだ。
動画1.ノーマル回路(R=10MΩ、C=0.47uF)
動画2.FETをつかった回路(R=10MΩ、C=0.47uF)
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