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2020年4月13日 (月)

中華製温調はんだごて(2)

Compare2

2/13に中華製温調はんだごての記事を書いた。その中で、このコテは温度調整をフィードバック制御していないと判断したと書いたが、昨日読者の方よりフィードバック制御はしているようだ、というコメントをいただいたので再検証した。コメントありがとうございました(^-^)

このコテは180℃~500℃の温調機能がついているが、実際に使おうとすると180℃設定でも実測380℃ほどで、まるで温調が機能しておらず使い物にならなかった。

結論を先に言うと、抵抗一本の追加でなんと温調機能が有効になり、温調コテとして問題なく使えるようになった。

Kote_schematic

図1.回路図
R3(56k)とマイコンの間に分圧抵抗100kΩを追加

 

Imgp3461

写真1.分圧抵抗100kΩ追加の様子
写真では56kΩがR2になっているが、検出用の1Ω(1R00)がR2とあるので、回路図上はR3とした。R2(1R00)のGND側に100kΩをはんだ付けし、R3(56kΩ)のマイコン側にジャンパ線で接続。

 

変更内容は図1、写真1のとおりで、検出抵抗R2(1R00)からR3(56kΩ)を介してマイコンに戻る検出信号を100kΩで分圧する。
変更後の温度の実測値を図2に示す。

104

図2.100kΩ追加後の設定温度vsこて先実測温度

 

これなら十分実用的だ。すばらしい\(^o^)/

 

ところで、上は検出値を分圧する方法だが、検出抵抗1Ωを少し小さくする方法も検証した。回路図のR2(1R00)に並列に2.2Ωを追加する。

Imgp3458

写真2.2.2Ωを追加する
2.2Ωは1W品を使用。

 

このときの実測温度は図3のとおり。

2r2

図3.2.2Ω追加時の設定温度vsこて先実測温度
先の100kΩ改造よりも温度は高めになるが、このやり方でも可能。最適値は2Ωか1.8Ωあたりか?

ちょうどよさそうな抵抗の手持ちがなかったので、2.2Ωをつけて検証したが、もう少し下げれば設定値に近くなるのではないか。

 

【言い訳】

さて前回の記事で、フィードバック制御はしていないように思うと書いたが、なぜそういう判断をしたか、うかつな自分への戒めを込めて言い訳しておく。

①回路を写し取ってながめていたところ、検出抵抗1Ωから56kΩを介してマイコンに入っている。これは交流をそのままマイコンに入力しているため、違和感を感じた。なぜなら、まずマイコンにマイナス電位が入力されることになるので、自分ならこういう設計はしない。やるならマイナスに振れないようにダイオードを入れるだろう。またA/Dで温度を測るなら、自分ならコンデンサで積分して平均化すると思う。この場合はダイオードで整流してからコンデンサで平滑化する。ただこうするとサイリスタのタイミングが取れなくなるので、タイミング用の信号は別ポートで確保しておく。

②実際にはフィードバック制御も疑っていて、56kΩを10kΩや100kΩに付け替えてみたが変化がなかった。経験的にマイコンの入力ピンのインピーダンスは数十kΩから100kΩ前後くらいだろうと思っていたので、56kΩを変えれば分圧比が変わるのでA/Dへのフィードバック値も変わり、温度が変わるのではないかと考えたため。(使用されているマイコンMS51FB9AEの仕様書には入力インピーダンスの記載はない)

 

ヒーターとの直列抵抗からヒーター温度を検出する方法は一般的におこなわれているやりかたで、ヒーターの抵抗値が温度によって変化して電流値が変わるため、直列に入れた抵抗(一定)の両端電圧が変化し、ここから温度検出ができる。

それにしても、原理的にも問題なくソフトも動作するものを作っておきながら、まったく使い物にならない状態で販売しているのはなぜだろう。大きな謎である。開発段階では問題なかったものが製造段階でなにか行き違いが起こったのか、それともマイコンの入力インピーダンスのばらつきなどの不確定要素を見落としていたのか…………

今回はもともと100V用のものを購入した後、もう一本追加で注文したところ、先方のミスで220V品が送られてきたが、おもしろいことに100V品も220V品もプラグが違うだけでハードもソフトもまったく同じものらしい。非常に効率の良い設計をしている。なのに結果として不良品として売られていることは残念に思う。

 

おまけ。きょう羽化した越冬アゲハ\(^o^)/

Cimg5923

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コメント

自分できちんとした回路を設計し、それを組み立てているページに久々に出会いました。
(私は「真空管」や「ゲルマニウムトランジスタ」の頃に電気に興味を持ち始めました。その頃は、感電死しそうになたt事も何回か・・・。)

この記事で「もしや?」と思ったことがあるのでコメントさせて頂きます。それは:

・このメーカは、中国向けと日本向けで「ヒータユニット」だけを変えて製造・出荷している。・・・と言うこと、
 (電源プラグの経常に関してはここでは無視。)

以下、簡素化のため中国=200VAC、日本=100VACとして話しを進めます。(本当は中国=220VAC)

・最初、この半田ごてを設計した際は「公称400Ω」のヒータを使っていた。(以下「公称」も省略)
 この状態では正しく温度調整出来ていた。

・日本向けの製品を売るため、別途「100Ω」のヒータを用意し、これを日本向けの半田ごてに組み込んだ。

・製造会社の担当者は、ヒータの変更だけで問題ないと考え、100VACでの動作チェック等は行わなかった。
 (中国では「クレームを付けられれば何か対応するが、クレームがなければそのまま売る続ける」という事が多い。)

・結果、発熱量・消費電力に関してはつじつまが合っているが、制御基板から見ると「正常時の電流が2倍」という状態となってしまった。

・つまり正しく動作させる為には「制御回路に加えるフィードバックの電圧を1/2にすれば良い」ということになる。

・このストーリーであれば、DJ HIGOさんの実験結果と合致しそうな気がします。


・・・当方の独り言でした。

--以上--

投稿: Kiyoshi | 2020年4月18日 (土) 10時32分

補足:ニクロム線は温度が上がると抵抗値が上昇します。
例:
1.「100Wの白熱電球は何Ω?」と聞くと、多くの人は「100Ω」と答える。
2.実物の100W白熱電球とテスター相手に渡し「本当?では計ってみてごらん」。
3.あれ??
--以上--

投稿: Kiyoshi | 2020年4月18日 (土) 11時38分

Kiyoshiさん
コメントありがとうございます。

このはんだごては電圧仕様が110Vと220Vの2種類が販売されていて、
2本購入したところ、販売側のミスにより110V品と220V品の両方を入手しました。
今回の一連の改修検討で、この110V品と220V品を比較しましたが、
回路とヒーターはまったく同じもののようです。
制御ソフトについては調べようがないので断定はできませんが、
結果として同じ改修内容で同じように動作していますので、
制御ソフトも同じもののように思います。
つまり、プラグのみを変えて110V品と220V品として販売しているようなのです。
そして、110V仕様であって、100V仕様ではないので、こちらに錯誤があるとすれば
その部分だけです。
110V、220Vについては動作を確認していないので断言はできませんが、
110~220Vまで動作するものが100Vでまったく動作しなくなるかどうか、
というと、どうもそれは考えにくいような気がするのです。

いずれにしても、この改修で使えるようになったこのコテは、
軽いし温調もできるし、HAKKOのこて先T18コンパチなのでなかなか使い勝手が良く、
値段も800円ほどなので、治して使う価値はあると思います。

投稿: DJ HIGO | 2020年4月18日 (土) 15時03分

早速の解説ありがとうございます。
800円か・・・私も一つ買ってみようかな。

投稿: Kiyoshi | 2020年4月18日 (土) 20時50分

私が買った時も220VEUプラグで届いて、セラーに言って110VUSプラグのものを再送してもらったのですが、
比べてみると抵抗1個の値が違うだけでした。

部品をよく確認しないで、220V用を付けちゃったのかなと思いますね(-_-;)

投稿: パース | 2020年6月28日 (日) 16時12分

パースさん、コメントありがとうございます。

110Vと220Vで抵抗が1個ちがうとのこと、ぼくのところでは両方が入手できたので比較しましたが、部品定数はまったく同じでした。もしかしたらR1(100Ω)ではないでしょうか。この抵抗は110V品と220V品で一方は3色表示、もう一方は4色表示(金皮?)だったので一見ちがう抵抗のように見えましたが、どちらも100Ωでした。

中国はかなりアバウトな業者も多いようで、そういうところは逆に楽しんでいます(^-^)

投稿: DJ HIGO | 2020年6月30日 (火) 18時29分

この記事に触発されて同じお店で購入して同じ改造をしました。
設定値とこて先温度の差が20℃~30℃に収まっています。
温度をY、設定値をXとすれば、ほぼ、Y=0.85X+50の線に乗っています。

これに満足できない場合は2つのボタンの同時押しで補正値を入力できるようです。
付属の説明書にある設定例2件の記述が矛盾していて、補正値をプラスで入力すれば
よいのかマイナスで入力なのか判然としませんが、うまくいけばシフトが可能なよう
です。 

実はこれをやってみまたのですが、同時押しによって2つの入力に流れる電流が
負荷になるのか設定値がゼロに戻ってしまって結局確認はできませんでした。

おもしろい記事、ありがとうございます。私も中国の製品を楽しむことにいたします。

投稿: アキーロ | 2020年9月 2日 (水) 21時49分

アキーロさん
メッセージありがとうございます(^-^)
ぼくは2本入手しましたが、どちらも取扱説明書が付いておらず、2ボタン同時押しで補正値入力は知りませんでした。試してみたところ、たしかに補正がかかるようです。補正表示が20℃であればこて先は20℃高くなり、補正値が-30℃であればこて先は30℃低くなるようです。こて先形状によって設定温度と実際の温度で違いが出るのでその補正用ということなのではないかと思います。
同時押しして設定モードに入り、補正値を設定したら、数秒間放置すると自動的に補正モードから抜けます。これで補正値が保持されるようです。

投稿: DJ HIGO | 2020年9月 3日 (木) 10時09分

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