リチウムイオン電池はリハビリで復活できるか(続報)
前回は劣化したボタン型リチウムイオン電池LIR2450(容量120mAh)に対し、200mAで充電、370mAで放電という試験を繰り返し行ったが、回復はできなかった。しかしながらこれでは電池スペックに対して条件が厳しすぎる(リハビリというよりは耐久試験?)という感もあるので、追加試験として、愛用しているデジカメEX-ZR300付属のバッテリーNP-130(1800mAh)に対して繰り返し充放電試験を行った。
この電池もしばらく充電状態で放置してしまったため、満充電後もすぐに電池マークが低下するようになってしまった。
今回の充放電の条件は、
・およそ360mAで開放電圧4.1Vまで充電、同じくおよそ360mAで開放電圧3Vまで放電
とした。1800mAhに対してかなりやさしい充放電条件だといえる。
この電池がどの程度劣化していたかというと、ほぼ新品の同型式の電池が充放電1サイクルにおよそ10時間20分かかるのに対し、今回試験に使用した電池は1サイクルおよそ8時間20分ほどだったので、20%ほど容量が減ったと考えてもいいかもしれない。
1サイクル10時間というのは、充放電ともに360mAで5時間ずつだと考えれば驚くほど計算通りだ。
今回は20%劣化した電池に対して上記の充放電試験を連続12サイクル(100時間)行い、1サイクルに要する時間が8時間→10時間まで回復するかどうか、またその見込みはあるかを検証した。
図1.サイクル試験結果
6サイクル目で復活に向かうかのように見えたが、その後低迷してしまった。
図1に試験結果を示す。
4~6サイクル目でサイクル時間が増加しており、復活するかように見えたが、7サイクル目で減退し、その後横ばいとなった。
明日から出張なので、一旦ここで終了した。
これを繰り返し行っても、サイクル時間が10時間にむけて回復するのは難しそうだ。
リチウムイオン電池復活!という記事のうちいくつかは、開放電圧が一定レベル以下に下がった電池(充電器の安全回路によって充電が開始されない)に対して、試験的に別手段で充電して開放電圧を上げたら、ふたたび充電器で充電できるようになった、というもので、性能劣化に対して回復的な効果があったとは書かれていない。
というわけで、さんねんながら劣化したリチウムイオン電池のリハビリ回復は期待できない。
(コロナのおかげで引きこもっておこなった検証でした)
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コメント
リハビリでは回復できないのですね。
実験お疲れ様でした。
投稿: タロウ | 2020年5月15日 (金) 21時15分
タロウさん
自分でやってみてナゾが解けました。
投稿: DJ HIGO | 2020年5月17日 (日) 17時49分