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2016年4月

2016年4月24日 (日)

音圧特性の比較

きのう新しく無帰還電圧駆動アンプを作ったので、Auratoneでの音圧特性を測定しました。
無帰還電流アンプと旧金田式DCアンプとの比較を図1に示します。

 

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図1.音圧特性

 

旧金田式アンプはごくオーソドックスな帰還型DC電圧駆動アンプです。1978年に出版された「最新オーディオDCアンプ」を参考に1990年頃製作したアンプです。いままでメインのアンプの予備として使ってきましたが、当時アナログテスター1個しかない状態で部品もあり合わせで作ったにしては、動作も安定していて特性も良いです。
無帰還電圧アンプは前回の記事で紹介した、無帰還電流アンプから派生した電圧アンプです。
無帰還電流アンプは製作記事を書いていますが、これも完成して間もないアンプです。

 

測定条件は次の通りです。
使用機材:マイクUMIK-1,スピーカーAuratone 5C

 

測定用PC:EPCX101CH + WindowsXP sp3

 

使用ソフト:REW
測定位置:スピーカ軸上10㎝

金田式アンプはこの中では最も一般的な特性のアンプだと思います。負帰還アンプなので出力インピーダンスはおそらく0.1Ω以下です。一般的にカマボコ特性といわれる典型的な特性が出ています。両肩がナデ肩気味ですね。

一番下の電流駆動アンプは、スピーカーのインピーダンスにかかわらず入力信号に比例した電流を流すアンプですから、スピーカーのインピーダンス特性に似た音圧特性が出ます。両肩が怒り肩ですね。高域はそれほどでもありませんが200Hz付近にf0の大きなピークが出ています。出力インピーダンスは1kΩ(@1kHz)~185Ω(@10kHz)程度です。

中段は無帰還電圧駆動アンプです。これはおおむね上の金田式アンプに似ていますが、よーく見るとほんの若干ですが両肩が上がっていて、よりフラットになっているように見えます。このアンプの出力インピーダンスはおよそ0.3Ωなので、金田式アンプより若干電流駆動気味なのだと思います。

以上のように比較してみると、そのスピーカーに応じた最適なアンプの出力インピーダンスがあるのかもしれません。金田氏が一時期、電流と電圧をmixして帰還するというアンプを発表していましたが、今になってこのような意味なのかもしれないと思います。

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2016年4月23日 (土)

無帰還電圧アンプ

無帰還電流アンプがほぼ最終的な形になったので安心して音楽を聴いています。
だた、この回路形式は無帰還電圧アンプにも応用できるはずなので検討してみたところ良好な結果が得られましたので、今回はその報告です。

 

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図1.無帰還電圧アンプ回路図

 

カレントミラー回路を使って電流を増幅したあとバイアス回路のVR2でオフセット調整とI/V変換をおこなっています。VR2のオフセット調整がセンターから大きくかたよる場合はゲインが小さくなってしまうので、上下デバイスのペア取りをまじめにやることと、どうしても左右で大きなゲイン差が出る場合はR7の値を調整してゲインをそろえます。
入力回路は今回はダイヤモンド入力にしてみました。この回路形式はかっこいいですしわりとよく見かけますが、Q1Q2のベース電流の差分が入力負荷に流れるとオフセットになって出力に出ます。入力負荷が不変ならオフセット調整をしておけば問題ないのですが、実際にはたとえば入力のオープン/ショートや、あるいは入力ボリュームの位置によってオフセットが変動します。そこでVR1によってQ1Q2のベース電流が一致するように調整した上で、VR2で出力オフセット調整を行います。

 

L

図2.THD+N Lチャンネル

 

R
図3.THD+N Rチャンネル


図2、図3に雑音+ひずみ特性を示します。左右でおおむねそろっています。
位相補償は一切していませんが、ピークは全くなく、-3dBの周波数特性は380kHzです。
ゲインは約23dB、出力インピーダンスは100Hz,1kHz,10kHzで約0.3Ωです。

今回は24V/2.5Aの廉価なスイッチング電源CFM60S240(若松で1個980円!)を±で2個使って構成しましたが、アイドリングが各チャンネル1Aでトータル2Aですからギリギリです。オシロで観察しながらアイドリングを増やしていくとヒゲ状の高周波ノイズが増えるのがわかります。
もっと余裕のあるスイッチング電源を選ぶか、トランスを使ったリニア電源にすればもう少し改善されるのではないかと思います。
今回もフェライトコアを使ってノイズ対策をしています。フェライトコアの挿入のしかたは電流アンプと同じですが、今回は電源出口はFGのラインだけフェライトコアを通さないことにしました。またアンプ手前のフェライトコアはECDN906088(前回発振して不採用にしたもの)にしました。

早速音楽を聴きながらこの記事を書いていますが、おもしろいことにいままで聴いていた電流アンプと比べあまり違和感が出ません。低域や高域のハイハットなどは電流よりも若干締まった印象になりますが、なにか同じ傾向の音に仕上がっているように感じられます。兄弟のようなものでしょうか。
もちろんとてもいい音です。もうしばらく聴き込んでみたいと思います。

 

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写真1.電圧アンプ(旧電流アンプのシャーシに組み込みました)

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2016年4月17日 (日)

電流・電圧駆動の音圧特性比較

miniDSPのマイクが届いたので、電流アンプと電圧アンプのスピーカー音圧特性を測ってみました。
電圧アンプは25年前に作った初期金田式アンプもどき、電流アンプは最近紹介している無帰還アンプです。スピーカーはAuratone 5c(昨日三土会で鳴らしたもの)、測定位置はスピーカ軸上10㎝です。

 

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図1.音圧特性比較(上:電圧駆動 下:電流駆動)

 

上の電圧駆動では素直なオーラトーンの特徴ですが、下の電流駆動した特性をどう見るかですね。高域は不自然さはなく、改善されているという見方ができると思います。問題は200Hz付近の持ち上がりをどう見るかです。これは人によって、ジャンルによって、目的によってちがうかもしれませんね。

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2016年4月12日 (火)

保護回路の改良

前回までに発表したアンプの保護回路を改良しました。
これまで回路を簡略化して部品点数を減らすために左右チャンネル共通としていましたが、左右同時に逆方向のオフセットが出た場合に検出されないというご指摘があり、修正案までいただきました。たしかに同時逆方向はキャンセルされてしまいます。見落としていました。

 

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図1.修正した保護回路

 

これまで左右の入力を抵抗で合成してOR動作をさせていたのですが、今回は左右独立の検出とし、そのあとのスピーカーショート回路と電源シャットダウン回路に対して検出部をダイオードで区切って共有させています。非常に効率の良い回路となりました。変更箇所はLR入力の分離、47uF BP、D1~D3の追加およびそれに伴う配線です。

 


表1.プロテクト動作電圧
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表1にプロテクト動作電圧の実測値を示します。8Ωのダミーロードを接続した状態で出力電圧を実測しました。
思いのほか低くしかもプラスマイナスの差が小さいのは、マイナス検出側のエミッタ負荷が入力の24kΩではなくて47uFのケミコンだからです。等価的にほとんど0Ωです。


表2.超低域信号による動作
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表2に超低域信号出力時のプロテクト動作条件を示します。表がデカすぎる(^-^;
5Hzで20Vpp出るような音は再生しないと思いますので、問題のないレベルだと思います。

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2016年4月10日 (日)

ノイズ対策について

前回は全体にわたる製作記事をお送りしましたが、今回はフェライトコアによるスイッチング電源ノイズ対策の追加報告です。

 

まずは最終的に選定したフェライトコアと入れ方についてです。

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図1.保護回路

 

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図1-2.フェライトコア挿入の様子

 

回路そのものは前回と同じですが、フェライトコアを選定しました。
まずスイッチング電源出口のFerrite Core1はE04SR200932に2T(1回巻き)とします。
アンプ基板電源入力部のFerrite Core2、Ferrite Core3はLF-35Bに1T(通すだけ)です。
前回のスピーカー出力のノイズを図2に、今回の変更による結果を図3,図4に示します。


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図2.前回ノイズ測定結果


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図3.今回の測定結果(上:L 下:R)


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図4.今回の測定結果(20mV/divに拡大)


上図のとおり、かなり改善されました。
上は最終結果ですが、欲を出すといいことがありません。というのは検討過程において、できるだけインピーダンスの高いフェライトコアに巻けるだけ巻けばそれだけノイズは除去されるだろうと考えていたのですが、欲張ると発振します。特にアンプ基板電源入力部のFerrite Core2、Ferrite Core3は要注意で、ここはフェライトコアなしか、かなり控えめに入れないとてきめんに発振します。今回気がついたのですが、前回発表したECDN906088でも出力オープン時に発振していたことがわかり、いくつかの候補を検討した結果LF-35Bとなりました。参考のためFerrite Core2、Ferrite Core3にE04SR200932を入れた場合のスピーカー出力端解放時の発振波形を図5に示します。

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図5.フェライトコアによる発振波形(238KHz)


フェライトコアはこれまでノイズに効くおまじないくらいにしか考えていなかったので、発振を起こすほどに効果が強いとは思いませんでした。高域における電源のインピーダンスが高くなったことによる発振です。今回はフェライトコアのインピーダンスが低いもの(効きが弱いもの)を選定して解決しましたが、他にもたとえば、
①アンプ基板に大容量のケミコンを載せて電源インピーダンスを下げる 
②アンプの帯域を制限する
などの対策も考えられます。

スイッチング電源出口のFerrite Core1はインピーダンスが高いE04SR200932に2Tと欲張りましたが、こちらはそのあとに5600uFの大容量ケミコンが控えているためか安定しています。
またおまじないのつもりでスピーカー出力にもフェライトコアを入れる実験をしましたが、これも発振しました。

今回の教訓は
漢方薬とフェライトコア、あなどりがたし

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2016年4月 7日 (木)

無帰還電流駆動アンプの製作

きょうは無帰還電流駆動パワーアンプ製作の詳細です。

 

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 図1.アンプ外観

 

アンプのシャーシは左右のヒートシンクに底板とL型アルミアングルを取り付ける構成になっています。信号の流れを考えて入力端子と入力ボリュームを中央に、スピーカー端子を左右に配置しています。

 

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図2.ヒートシンク

ヒートシンクはヤフオクで1個800円のものを左右チャンネル各1個で計2個使いました。サイズは55x60x230で、A級で20W強の出力を得るためのアイドリング電流を1A流すにはおそらくこれでギリギリです。


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図3.アンプ回路


図3はアンプ部の回路です。
左右チャンネルそれぞれをサンハヤトのユニバーサル基板AT-1上に配線していきます。
Q1,Q9およびQ2,Q10はヒートシンク上に組み付けるため基板上には配置しません。また、VR1は入力ボリュームで、好みに応じてシャーシに取り付けます。ぼくは2連のデテントボリュームを使っています。


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図4.アンプ基板


図4はアンプ基板の写真です。ほぼ回路図と同じ部品配置になっています。左側にJ1.J2、次の列にJ3、D1~D4、J4とVR2、その次の列はQ7,Q8、そのまた次がQ3,Q4とQ5,Q6そして右側にR9,R10とC3~C6です。
回路と配線の見通しをよくし、変更が簡単におこなえるように、部品実装、配線ともにパターン面としました。

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図5.カレントミラー結線図



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図6.カレントミラーの熱結合と空中配線


Q3とQ4、Q5とQ6はカレントミラーで、接着剤で接着して熱結合するとともに、図5の回路になるようにあらかじめ空中配線しておきます。


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   図7.Q1,Q9(Q2,Q10)の熱結合とヒートシンクへの取り付け


図7にQ1,Q9(Q2,Q10)の熱結合とヒートシンクへの取り付けを示します。熱結合に金具を使っていますが、接着してもOKです。接着する場合は2液混合タイプのエポキシ接着剤を使用しますが、速乾性のものよりも24時間硬化タイプなど乾くのに時間がかかるものの方が、耐久性、耐熱性などにすぐれているようです。
絶縁シートには伝熱性がすぐれた信越化学のTC-30BGを使用しています。(千石電商)


次に電源の配線および保護回路です。

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図8.保護回路および電源配線


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図8-2.保護回路基板写真


図8に保護回路と電源の配線を示します。
保護回路はLRチャンネル共通としました。現時点ではクロストークは測定してみていないのでなんともいえないのですが、8Ωの負荷に対して保護回路の入力が24kと47uFですから無視できるレベルではないかと考えています。
保護回路作動時は、上段の回路の24Vリレーによりスピーカー端をショートするとともに中段の回路によりAC100Vを遮断します。
スピーカーショートのリレーは、非通電時にスピーカー端が短絡するように接続します。スピーカー端は片側がアンプ出力、もう一方がGNDで、GNDは保護回路も共通ですから、スピーカーのアンプ出力側だけ引き込んできてGNDは保護回路上にあるものをそのまま使います。
AC100Vの遮断はSSR(ソリッドステートリレー)によっておこないます。これはSSRキット40Aタイプという秋月で購入したものをそのまま使用しています。
このような回路では電源のON/OFF時にちょっとした工夫が必要です。
電源ON時は、SW1によって一瞬AC100Vを通電することでSSRに電源を供給し、フォトトライアック内部のLEDに種火を入れることでおこないます。
逆に電源OFF時はSW2によって、フォトトライアックのLEDを駆動しているQ7のベースを一瞬GNDに落とし、種火を吹き消すことでおこないます。
SW1/SW2はNKKのトグルスイッチM-2028を使用しました。これは(ON)-OFF-(ON)つまりバネ付きの中立タイプで、レバーを上下のどちらに倒しても一瞬ONする接点が2回路入っています。これによりSW1/SW2を1個のトグルスイッチでまかなっています。ぼくは上に倒すとON、下に倒すとOFFになるように構成しました。
保護回路基板の写真を図8-2に示します。5600uFのケミコンは基板の裏側に配置しています。またSSRキットの小基板はシャーシ後ろ側のヒューズホルダの近くに配置しています。

次に電源ですが、小型軽量なA級アンプを構成するためにスイッチング電源を使っています。もちろん通常のトランス電源でもかまいません。アイドリング電流はピーク電流の半分とすると、アイドリングを1Aとするにはピークで2A、ステレオで4Aの電源が必要ですがこれはフルパワーで鳴らす場合ですから、とりあえずは3A程度確保できればいいのではないでしょうか。
今回の製作ではイータ電機のBNC24SA-U1(24V/3.5A)を2台使用しました。
AC入力のヒューズをどれくらいにすればいいのかは悩ましいところです。BNC24SA-U1は内蔵ヒューズが5Aなのですが、それならAC100Vの入力のヒューズは2台分だから10Aでいいかというとそれだと大きすぎる感があります。ラッシュカレントをどう考えるかなのですが、根拠なく√2倍の7Aにしました。今のところ6Aでも飛んでいないので6Aか7Aといったところではないでしょうか。

回路図中Ferrite Coreの記述が3カ所ありますが、これはスイッチング電源の高周波ノイズを除去する目的です。

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図9.フェライトコア挿入の様子


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図10.秋月で販売しているフェライトコア


図9にフェライトコア挿入の様子を示します。
フェライトコアは秋月で販売しているもののうち図10の灰色のECDN906088を使用しました。黒いECDN906087よりほんの若干ですがすぐれているようです。

 

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図11.フェライトコアなし


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図12.スイッチング電源出力部のみフェライトコア挿入


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図13.スイッチング電源出力部およびアンプ電源入力部にフェライトコア挿入


図11~図13にフェライトコアの有無とアンプ出力のノイズを示します。
測定条件は、アンプ入力をGND短絡、出力は8Ωダミーロードとし、ダミーロード端を観測しました。
このようにフェライトコアの効果は絶大です。
電源の種類によってスイッチング電源出力部の最適なフェライトコアの入れ方がちがうようです。ぼくは3種類の電源で試してみたところ次の結果になりました。

・BNC24SA-U1(3.5A) (※今回使っている電源です。)
±24V、GND、FGの計4本をフェライトコアに通します。

・ESS75-24(3.2A) (シールドケースに納められた高級品)
±24V、GNDの計3本をフェライトコアに通します。FGは接続しない方が良い結果となりました。

・CFM60S240(2.5A) (若松で1個1580円で購入)
±24V、GNDの計3本をフェライトコアに通します。FGは接続しますが、フェライトコアには通しません。

このようにベストなフェライトコアの使い方が電源によってちがいますので、試行錯誤が必要です。
シャーシアースは、図8のChassis GNDのポイントから接続します。

すべての配線、組み立てが終わったら間違いがないかよく確認して、VR2をセンターに、入力をGNDにショート、スピーカー出力に8Ωのダミーロードを接続し、アンプ基板のR9またはR10の両端に電圧計をつなぎ電源を入れます。この電圧が0.7V前後になっていればまずは安心です。この電圧は温度上昇とともに下がっきて、およそ0.5~0.55Vに落ち着けばOKです。ぼくが製作したアンプの実測値は0.55Vで、このときのアイドリング電流は0.55/0.47=1.17A、このときのA級最大出力は2x1.17^2x8=22Wです。25WをA級で得るならアイドリングは1.25A、アイドリングが0.79AならA級出力は10Wです。
もしアイドリング電流が狙った値にならない場合はアンプ回路のR7,R8を変えてみてください。これらの抵抗値を小さくするほどアイドリング電流は増加します。30~47Ωくらいのあいだで最適値が見つかると思います。

次に出力のダミーロード端が0VになるようにVR2を調整します。30分から1時間かけて追って調整をすればだいたい落ち着くと思います。このオフセット調整はダミーロードを1kΩ程度にすると、より精度の高い調整が可能です。

もうこのタイミングですでにいちどは保護回路が作動しているかもしれませんが、保護回路のチェックをおこないます。入力に1.5Vの電池を接続して徐々に入力VRをあげていくと保護回路が作動し、リレーがOFFになると同時に電源が落ちます。電池の極性を逆にした動作も確認してください。保護回路が正常であればスピーカー端がおおむね±2~±3Vで動作します。


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図14.THD+N特性(Lチャンネル)


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図15.THD+N特性(Rチャンネル)

 

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図16.周波数特性



表1.出力インピーダンス特性
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図14~図16および表1に測定結果を示します。
図14~図16はシャーシ搭載状態で8Ωダミーロード負荷による測定、出力インピーダンスは試験基板で負荷1kΩ(100Hz、1KHz)、200Ω(10KHz)のON/OFF法での測定です。
ひずみ特性は無帰還電流アンプでここまで追い込めるということがわかりました。デバイスの選択や回路の工夫でまだ改善の余地があるのかもしれませんが、まずは満足な結果になったと思っています。
周波数特性も今回のデバイス変更によって改善しました。0,-3dB特性は0~400KHzです。
出力インピーダンスも改善が見られました。100Hzと1KHzは近い値になり、10KHzも前回回路の60Ωより大幅に改善しました。

ここ数日このアンプで音楽を聴いていますが、以前に比べてよりなめらかになり心地よく鳴っています。音が澄んでボーカルが前に出てきた印象がします。
シンプルなフルレンジスピーカーで音楽を楽しみたい方に自信を持っておすすめします。

注)ネットワーク入りのマルチウェイスピーカーには使用できません。

 

 

 

 

 

 

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2016年4月 4日 (月)

無帰還電流アンプ改良

このところ取り組んでいる無帰還電流アンプですが、今回はデバイスの見直しによりひずみ特性が飛躍的に改善されました。
また、以前から課題だったスピーカーショートタイプのミューティング&保護回路もうまくいきましたので報告します。

 

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    図1.THD+N特性

 

図1が今回の全高調波ひずみ+雑音特性です。これはシャーシに組み込んだ状態で若干特性のわるい右チャンネルのものです。負荷は8Ωのダミーロードです。

 

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 図2.アンプ回路図



今回の主な変更点はQ3,Q4およびQ5.Q6のデバイスです。
従来2SC2240/2SA970を使っていましたが、損失がぎりぎりで破綻寸前でした。これは設計ミスです。(汗)
これを2SA1020Y/2SC2655Yに変更したところ、ひずみ特性が図1のとおり改善しました。位相補償用のC1,C2は±に分散して220PFとしたところ、ピークがない状態でf特(-3dB)が従来の260KHzから400KHzに改善しました。このほかに、バイアス用のダイオードを2本から4本に増やしました。前回の報告でショットキー2本にしたのですがこれだとQ1,Q9およびQ2,Q10の熱結合によるアイドリング電流の温度補償が過補償となるため、ダイオードを4本に増やし熱結合による補償の効きを弱くしました。またこれに伴いR7,R8,R4も変更しました。この定数でアイドリング電流は1.17Aです。

ミューティング&保護回路は、スピーカー端をショートするタイプです。この方法により信号経路に接点が入ることを避けられます。このやり方は電流駆動アンプだからこそ可能です。
保護回路作動時はスピーカー端を短絡すると同時に、トライアックによるSSR(ソリッドステートリレー)によってAC100Vを落とします。

 

電源ONはSW1によって一瞬火を入れることでおこないます。電源OFFはSW2によって一瞬種火(フォトトライアックU1の内部LED)を落とすことでおこないます。

 

リレーは非通電時にスピーカー端がショートされるように接続します。回路を図3に示します。


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    図3.保護回路および電源配線




音はよりクリアとなり、ボーカルが近寄ったように感じられます。
今回は概要のみ説明しましたが、詳細記事を近日アップします。おたのしみに!

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