ひずみの考察
ショットキーを使った回路について先ほど書いたばかりですが、ひずみについての考察をここにわけて書きたいと思います。
一連のアンプ実験で、2次、3次ひずみの含有率が調整できることがわかりましたが、ではどういう配分にするのがいいのかということを考えてみたいと思います。
一般的に2次高調波ひずみはそれほど害はないが、奇数次高調波ひずみは不快であるからぜひとも減らすべしということが言われます。これは、2次4次などはもとの音の1オクターブ、2オクターブ上の音だからこの成分が混ざっていても不快感はあまり感じられず、3次、5次などの奇数次高調波は音階にないところで不協和となるので不快感があるということです。
音響の世界では、ひずみに関してヒトの耳の検知限界が2次で0.7%、3次で0.2%との説があります。それならばさきほど発表したショットキー回路によるひずみ成分比は思いがけず理にかなってるのではないかとも思われます。
そもそも現代の音楽における音程のチューニングは平均律といって、1オクターブで周波数が2倍となることから1オクターブ12音の各音を等しく2の12乗根倍ずつ区切っていくというやり方です。2の12乗根は当然無理数ですから、基準のA=440Hzとその倍音以外の音の周波数はすべて無理数となります。
ところがよく考えてみると、古典音楽の調律で純正律というものがありこれを調べてみると、各音の周波数が表1のようになっています。
1の下に続く分数は、ドの音に対する周波数比率です。
すべての音が有理数周波数となり、しかも元の音の3倍や5倍となる周波数があります。それらを色分けしてみました。
3倍音が存在する場合はすべて5度の音、5倍音がある場合は長3度になっています。おもしろいのは264Hzのドの音の5倍音が440Hzのラの音の3倍音に一致してる点です。
通常、根音に対して5度の音というのはほとんどのコードに出てくる組み合わせで、いわゆるルート5度という音の組み合わせです。ルート5度が崩れるのは♭5や♯5になるパターンで、よくあるのはキーCのBm7-5とか、あとは7th系のスケールでしょうか。まあ、5度にならないパターンもあるにはあります。
話がそれましたが、そういうわけで、純正律であればぴったり奇数次の音が出てきます。ということは、純正律でチューニングされた音楽を聴く場合は奇数次高調波ひずみが出てもさほど気にならないのではないか?ということです。
結論として平均律で録音されたほとんどの音楽を聴く場合は3次ひずみを減らすことを重視し、純正律によって演奏された音楽を聴く場合にかぎっては3次比率が高くてもさほど気にしないでとにかくひずみを下げればよい、ということになるかもしれません。(ホントかいな?)
ところで、「2次ひずみが3次ひずみを打ち消す」という記事を見つけました。参考にしてください。
(追記)
| 固定リンク | 0
コメント