ブックレビュー 「傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 」 夏井睦
夏井先生は湿潤療法の第一人者であり、前回紹介した糖質制限食の江部先生と意気投合して共著書も出ています。
医療の巨大転換(パラダイム・シフト)を加速する―糖質制限食と湿潤療法のインパクト
湿潤療法とは、傷や火傷の新しい治療法で、そのやり方は、
①傷口は消毒しないで水でよく洗い流す
②水分を拭き取ってから患部にワセリンを塗り、絆創膏かラップで巻く
③日に1~2回患部を水で洗い流し、上の処置をする
従来、傷の治し方は、傷口を消毒して乾燥させるというものでしたが、これが大間違いだというのです。
まず消毒してはいけない理由は、
・消毒薬によって表面の雑菌は洗い流せるものの殺菌はできない(菌は休眠状態になるだけ)
・消毒薬によって傷口のタンパク質が変性するため、痛む上に傷の治りが遅くなる
殺菌ができない以上、ただの水で雑菌を洗い流すことで同じ効果が得られるうえ、水ならば痛くないし、タンパク質変性も起こらないため無害です。
(タンパク質の変性とは、肉を焼いたり、卵を茹でたりしたときに変質するアレです)
そして乾燥させてはいけない理由は、
・傷口からにじみ出る体液(滲出液)は治療液であり、滲出液によって細胞が再生される
つまり、水で洗って、乾燥しないようにワセリンを塗ってラップで巻いてジュクジュクさせておけば、早くきれいに治るというわけなのです。
ただし、日に1~2度は洗って交換しないと化膿したりしますので、これは注意が必要です。
この本で紹介されていますが、たとえば大腸の外科手術をしたときに、大腸の傷口は消毒しないし、縫合した傷口の上をウンコが通過するのになぜ感染や化膿が起こらないのか?
ということをこれまで疑問に思っていなかったのはおかしなことだったとしています。
体はモノの流れが正常ならば免疫力が働いて感染や化膿はしないようにできているそうです。
問題なのは流れがよどんでいる場合。たとえばウンコが通過せずに傷口にとどまればたちまち感染が起こります。
なので、この湿潤療法においても、日に1~2回患部を水洗いして処置をし直すことが重要なのです。
なので、この湿潤療法においても、日に1~2回患部を水洗いして処置をし直すことが重要なのです。
流れがよどんでいるとよくない、というのは風水にも通じて興味深いですね。
火傷についても湿潤療法は非常に有用で、同じように患部を洗ってワセリンを塗ってラップで巻いておけば痛みもなく早くきれいに治るそうです。
重度の火傷では、病院では皮膚移植を行うことがありますが、適切に湿潤療法を行えば皮膚移植も不要で、はるかに負担も少なく早く簡単に治療できるようです。
皮膚移植手術は保険点数が高いうえに手術は比較的かんたんに行えるので、効果よりも金儲け主義の治療法だと批判しています。
ただし、傷が深かったり異物が入りこんだりしている場合は医者に行かないといけません。
この時期は手指にささくれやあかぎれ、さかむけができやすいですよね。
ちょっと多めにワセリン(または馬油)を塗って絆創膏を貼っておくと、2~3日できれいに治りますよ。
湿潤療法の効果が簡単に実感できますのでやってみてはいかがでしょうか。
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
湿潤療法を応用したバンドエイドも発売されています。
バンドエイド キズパワーパッド
さて、今週末の3/21(金)春分の日はカレーサルサパーティー@中野SUBHAです。
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ご協力ありがとうございました。
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