SSDAC頒布についてのお知らせ

現在SSDAC関連基板を5種類頒布していますが、SSDACに使用しているFPGA、10M08SCE144C8Gが入手困難となっていて、在庫がなくなりました。
つきましては、各種SSDACでFPGAのみを搭載した基板については一旦頒布中止とします。
予約連絡いただければ、頒布再開後に優先して受け付けます。

完成基板につきましては、現在僅かながら在庫がある10M08SAE144C8Gにて対応し、動作確認の上出荷します。

ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。


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2022年6月28日 (火)

カオスの音

※データに一部まちがいがあったため、差し替えました。

先日出かけた先で、「役に立たない機械」がおもしろいという話題になった。早稲田大学で毎年コンテストを行うそうで、タモリ倶楽部で紹介されたというので、録画を見せてもらった。
なるほど、みなさん役に立たない機械を大まじめで作っている。
どれもとてもおもしろかったが、その中で特に印象的だったのが、二重振り子を応用したメトロノームだ。
刻むリズムが不規則でしっちゃかめっちゃかなので、なるほど非常に役に立たない!!

二重振り子というのは、棒にぶら下げた振り子の重りに、さらに棒を付けて重りをぶら下げるという、二階建ての振り子になっていて、不規則で予測不能な動きをする。カオス現象の一例として有名なのだそうだ。
運動方程式は立てられるので、その動作は計算できそうなものだが、計算通りの動きになるには非常に高い精度での計算が必要であり、現実には計算精度に加えて、摩擦や空気抵抗やガタなどのちょっとした誤差が、その後の動きに影響を与えるため、現実的にはその運動を予測することは困難だという。
ただ、精度的に難しいということであって方程式は立てられるので、ランダムというわけではない。

これと同じことを電子回路でできないかということを、ぼんやり考えて、いくつか試してみた。
カオスが電子回路で発生できれば、増幅して音を聴ける。カオスの音とはどういうものだろうか。
不規則でランダムに近い信号だとすればホワイトノイズ的なものになるのだろうか。

非安定マルチバイブレーターを2階建てにしたり、VCOを2つ用意してお互いのコントロール入力にお互いの出力をつないでみるなど、独立した2つの発振回路が、相互に発振周波数を変更するような動作をすれば実現しそうな感じではある。
ところが、実際にやってみるとどうも周期性が出てきてしまう。そもそも動作がカオスなのかそうでないのか、検証する方法もわからない。

しかたがないので自分で考えるのはあきらめて、ネットで検索してみると、「チュア回路」(Chua's circuit)を使ったカオス発振器というものを見つけた。
参考にしたのはこちらのサイト

あとで実際に回路を組んで検証したいので、楽にできるように回路を単電源に変更した。LTSpiceでシミュレーションした回路を図1に示す。

Simsch_20220627202101
図1.チュア回路のシミュレーション

参考のサイトではオペアンプにOP27を使っているが、実回路を組むことを考えてNJM3414にした。NJM3414のスパイスモデルはJRCのサイトより入手した。
カオス発振の観測点は図中のX,Yで、この2点をリサージュで観測する。
うまくカオス発振が起こらない場合は、C1とR8を微調整する。
シミュレーション結果を図2に示す。

Ltspice
図2.カオス発振のシミュレーション結果

参考のため、X,Y点をリサージュでない個別の信号としてシミュレーションしたものを図3に示す。

Simxysignal
図3.X,Y点それぞれのシミュレーション波形

さてシミュレーションがうまくいったので、いよいよ実際に回路を組んで動作を確認する。
実際に組んだ回路を図4に示す。

Realsch_20220628105201

図4.実際に組み立てた回路

シミュレーションで観測したリサージュ波形を音として表現するにはどうしたらいいか?
リサージュという方法の性質から考えれば、信号X,Yの位相差を増幅すれば理にかなうように思うが、位相差の演算はなかなかたいへんそうだ。なので今回は簡単にX,Y信号の和と差を観測することにした。

実際の回路では、オペアンプに4回路入りのNJM3403を使用した。これはシミュレーションに使ったNJM3414と中身が近いと思われる。
4回路のうちU1Aをチュア回路に、U1Bを基準電源用に、U1CをX,Y信号の加算に、U1DをX,Yの差の演算に使用した。
カオス発振を起こすためにC4を2200pに変更し、RV1を調整してカオス発振を起こす。

X-Yリサージュの様子を図5に示す。デジタルオシロの画像保存ではきれいに録れなかったので、写真を撮った。

Oscillopic
図5.実際の回路でのカオス発振の様子


参考のため、X,Yそれぞれの波形を図6に示す。

Tek0004
図6.X(下)とY(上)の波形


次にX+Yの演算出力を図7に、X-Yの演算出力を図8にそれぞれ示す。

Sumxy001
図7.X+Y演算出力(差し替えました)


Difxy001
図8.X-Y演算出力(差し替えました)


和信号と差信号は、波形だけ見てもあまりピンとこないので、wavespectraを使ってFFTしてみた。
X+YのFFTを図9に、X-YのFFTを図10にそれぞれ示す。

Sum001
図9.X+YのFFT(差し替えました)


Diff001
図10.X-YのFFT(差し替えました)


X+Y、X-YをFFTしてもまだあまりピンとこないので、音を聴いてみる。

①X+Yの音(差し替えました)
ダウンロード - sum001.wav

②X-Yの音(差し替えました)
ダウンロード - diff001.wav


音はどちらもホワイトノイズピンクノイズに高域の信号を重畳したような感じに聞こえる。
強いていえばセミのベース音つまり変調なしの搬送波のような印象だ。種類でいうとニイニイゼミあたりだろうか。

というわけで、なんともよくわからない混沌とした結果になった。

役に立たない記事になったことを自負している。

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2022年6月24日 (金)

無帰還アンプ

このブログでは無帰還A級アンプ無帰還電流アンプ無帰還電流ヘッドホンアンプなど、無帰還アンプばかりを発表しているが、無帰還アンプを使い始めたのは実は最近のことだ。

2015年に金田明彦氏のフォノイコライザアンプの試作をした。
「電流伝送方式オーディオDCアンプ」金田明彦著
に掲載されていた「電流出力プリアンプ&パワーアンプ」のうちのフォノイコライザ部分のみを試作検証した。
このフォノイコは、DL-103のヘッドシェル内にJFETのVICを組み込んで電流伝送し、これをイコライザーIVCと呼ばれる電流入力の帰還型イコライザアンプで受けてRIAA処理する。オフセット対策としてSAOCと呼ばれる回路を搭載して、回路全体を通してDCを実現している。SAOCというのはDCサーボの一種だ。0.3mVという非常に微小なMCカートリッジの出力信号を、長旅させることなくヘッドシェル内で直接バッファアンプで受け取り、アンプまで送るというのは、理想的な考え方ではあるがなかなか実現は難しい。金田氏はこれを見事に実現した。
実際に作ってみると狙い通りSNRが非常に優れており、音質もよく、文句の付けどころは全くなかった。

このとき、ついでに以前から気になっていたCR型フォノイコライザを検証しておこう、と思ったことが、その後のアンプ設計に大きな影響を与えた。

高校生のときに2SK30を使ったシングルMCヘッドアンプを自作したが、それ以外はパワーアンプもフォノイコもすべて帰還アンプで、オーディオアンプというのはそういうものだと思い込んでいた。
ところが何かの記事で、「ツウは帰還型のイコライザを使わない。CR型を好む。」ということが書かれていたのが引っかかっていた。

CR型フォノイコライザを試作するにあたって参考にしたのは、安井章氏の製作記事だった。とはいってもそれほど正確に再現したわけではなく、CR回路の前後のバッファは部品箱にあったMUSES8920を使ってそれぞれ40dBとし、CR回路の定数だけ安井氏の設計にした。

音を聴いてみて驚いた。

SNRは金田式よりも劣っていたし、しかもカップリングコンデンサをつかってDCカットしているのに、音が鮮やかでリアルだった。
針を落としたときの音の印象も帰還型とはまったく違ってドライな印象がする(もっともこれはDCではないからかもしれないが)。
帰還型とCR型、DCと非DCなので、音の印象が違うのは当然といえば当然で、本当にCR型の方が音が心地良いのか?「ツウはCR型を好む」という言説に惑わされていないか?ということを念頭に、一か月ほど何度も取り替えて聴き比べをした。
その結果、特性はともかくとして自分はCR型の音の方が好きだという結論に達した。

帰還型のアンプというのは、つねに仕上がりの出力信号を入力信号と比較して、イコールになるように制御している。これを帰還制御といい、言葉通り動作していれば波形の再現性(=ひずみ)は理想的に仕上がるかもしれない。しかしながら実際に増幅回路を通過した信号は僅かながら遅れが生じる。常に遅れが生じた出力信号と入力信号を比較してこれらが等しくなるように増幅している、と考えれば帰還回路内の信号は非常に複雑な状態になっている。周波数が高くなるほど遅れの影響が大きくなり、ある周波数で位相遅れが安定度の限界を超えたときに発振が起こる。こうならないように、高域特性を制限したり、位相補償を行ったりして安定性を確保する。これが帰還型アンプの現実だ。
一方、無帰還アンプは、定数により決められた増幅度で増幅するだけであり、高域で位相が遅れたり信号振幅が減衰することがあっても、それが帰還されて動作に影響することはない。きわめてシンプルだ。ただし、帰還型アンプと違って、波形を比較修正していないので、信号がひずまないように設計するのは難しい。
帰還アンプではひずみ率が0.01%以下などというのはザラだが、無帰還アンプでは0.1%を切れれば好成績という感じで、ひずみ率には10倍以上の差が出てしまう。なのでカタログスペックを重視するメーカーは作りたがらないのだ。

その後、パワーアンプも無帰還で作ってみたいと思うようになり、それならAuratone用に電流駆動アンプを無帰還で作れないか?と考えて開発したのが、無帰還電流駆動アンプだった。開発方針としては
①DC(直結)構成とする
②DCサーボは使わない
の2つを目標とした。
最初の試作から少しずつ改良を加え、最終的な回路を決定するのに半年ほど要したが、いまでもAuratone用としてはベストのアンプだと思っている。
ただ、DC電流駆動アンプは原理的にネットワーク入りのマルチウェイスピーカーには使えないし、フルレンジだとしても、今風のハイコンプライアンスのスピーカーでは低域が増強されすぎて非常にブーミーな音になってしまうことが多い。
そこで、この無帰還電流アンプをベースに開発したのが無帰還A級25Wアンプだった。このアンプは通常と同じ電圧出力のアンプなのでAuratoneだけではなく、マルチウェイのスピーカーにも使える。基板頒布したところ、ありがたいことに好評を得ている。

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2022年6月19日 (日)

CDの音質評価

少し前の記事で、自分はCD(またはレコード)でしか音楽を買わない、と書いた。入手性がよいことと音質が安定していることがその理由だ。
しかしCDでも音の良いものと、いまひとつのものがある。
レコーディングに使用した機材やレコーディングエンジニアの技量、ミキサーのセンスなど要因は多くあると思うが、今回はCDの曲の聴感上の音質と周波数特性(f特)に相関があるかどうかを検証した。

「CDのf特は20kHzまでと決まってるんじゃないの?」

という意見があろうかと思うが、市販のCDを調べてみると、
①20kHz付近までで、それ以上をカットしているもの
②22.05kHzまで入っているもの
③ ①と②の中間のもの
の3種類が存在している(圧縮音源からCDをプレスしている悪質なケースもあるが今回は除外する)。

今回、たまたま手持ちのCDを大量廃棄するという人がいて、150枚ほどのCDをまとめていただいた。そのほとんどが、自分では持っておらず、当然ながらほぼ聴いたことのない曲ばかりだったので、今回のような試験を行うには好都合だ。なぜなら、知っていて好きな曲では客観的に音質のみを評価するのがなかなか難しいのではないかと思うからだ。

まず基礎知識として、CDの特性がどうなっているかということを簡単に説明したい。
音楽CD録音品質は、44.1kHzサンプリング16bit深度だ。
可聴帯域上限とされている20kHzの音を再生するには、サンプリング定理から、その2倍のサンプリング周波数が必要であることから、44.1kHzサンプリングであれば必要十分だということだ。
この場合、44.1kHzの半分である22.05kHzを境にエイリアシングが発生するので、22.05kHzより上の周波数は遮断したい。だとすれば、可聴周波数上限の20kHzは通して、22.05kHzより上は通さないというフィルタが必要になる。これはよく見る説明だ。

ところが実際に音楽CDに入っている音楽を解析してみると、上に述べたように、①約20kHzまででカットしているもの、②22.05kHzまで入っているもの、③ ①と②の中間のもの の3種類が存在していることがわかる。
(22.05kHzまで入っているCDについて、技術的になぜそういうことが可能なのかはここでは議論しない。)

つまり今回検証するのは、20kHz~22.05kHzまでの範囲の信号があるかどうかでCDの音質が聴感上変わるかどうか、ということだ。

まず、ヒトの耳の周波数特性は一般的に20Hz~20kHzくらいだといわれている。
自分についてはどうかというと、高校生の頃は単音で19kHz近くまで聞こえた。50歳を過ぎた今では、だいたい16kHzくらいまでしか聞こえなくなっている。それならば、そもそも20kHz~22.05kHzの議論など無駄だと思われるだろう。はたしてどうか。

評価は次の方法で行った。あらかじめリッピングしてPCに取り込んだデータ(44.1kHz16bit wavフォーマット)を再生する。
①ランダムに曲を選び、聴く
②音質評価点を1(最低)~3(最高)の3段階でつける
③その曲のFFTをwavespectraで観察し、20kHzでカットしているものを1、22.05kHzまで出ているものを3、中間のものを2として評価点を付ける

【結果】
先に結果を報告する。
20kHzでカットしているものと、22.05kHzまで入っているものでは、聴感上あきらかに差があった
聴いた曲の聴感評価と、FFTによるf特評価結果を表1に、それをグラフ化したものを図1に示す。

表1.聴感とFFTによる評価結果
(曲名の冒頭には、追跡可能なようにアルバムでの曲順を入れた。)
Photo_20220619142501

Photo_20220619142502
図1.聴感とFFTによる評価結果
聴感とFFTによる周波数特性には相関が表れている。

この評価の結果から、22.05kHzまで入っているものは聴感上音質に優れているといえる。
CDをリリースすることになって、サンプル版をもらったら、まずはこの解析をして、もし22.05kHzまで入っていなかったら改善を申し入れたほうが良いだろう。音質が冴えなければ売り上げにも響くかもしれないし、ヒットするかどうかにも影響が出るかもしれない。

この中で注目してほしいのは、11番と12番の「君がいるだけで」だ。
これは米米クラブの有名なヒット曲で、11番はアルバム”DECADE”に収録されたもの、12番はアルバム”HARVEST SINGLES 1992-1997”に収録されたものだ。憶測だがマスターは同じものではないかと思う。マスターが同じなのに音質がちがうなどということがあるのだろうか。
いままでサルサDJをやってきた経験上、ある有名な曲をかけるときに、オムニバス盤に収録されたものよりオリジナルのアルバムに収録されているものの方が音が良いような気がする、ということが度々あったが、今回、実際にそういうことがあるのだということが証明された。


【評価の詳細】
評価した13曲のFFTを図2~図14に示す。

082
図2.とうちゃん f特評価2
※21kHz付近から急峻に下がっている→評価2

09september3
図3.湘南SEPTEMBER f特評価3
※22kHzまで出ている→評価3

063
図4.あなたに逢いたくて f特評価3


1043
図5.君が僕を知っている f特評価3


01come-on-everybody1
図6.COME ON EVERYBODY f特評価1
※20kHz過ぎに段差がある→評価1

123
図7.いつか見上げた空に f特評価3


011
図8.君の歌、僕の歌 f特評価1


10luv-vibration3
図9.Luv Vibration f特評価3


04destino1
図10.DESTINO f特評価1


103
図11.浪漫飛行 f特評価3


023
図12.02君がいるだけで f特評価3


012
図13.01君がいるだけで f特評価2


02141
図14.青年14歳 f特評価1

以上

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2022年6月15日 (水)

Auratone 5Cと電流駆動アンプ

2000年頃、今日の必ずトクする一言というサイトで、スピーカーを電流駆動して使うという記事があるのをみつけた。帰還型のパワーアンプとスピーカーなら、スピーカーとGNDの間に電流検出抵抗を入れて、アンプはスピーカー出力から帰還をかける代わりに電流検出抵抗から帰還をかければ電流駆動になる。
さっそく当時使っていた金田式B級アンプに手を入れて電流駆動化し、ひとり暮らし開始時に買ったSX-100を鳴らしてみると、なるほど高域と低域が持ち上がって、少しにぎやかな感じの鳴り方になった。電流駆動では、スピーカーのインピーダンスにかかわらず入力信号に比例した電流でスピーカーを駆動するので、インピーダンスのピークがあるf0付近と、インピーダンスが緩やかに上昇する高域で音圧が持ち上がる。これは小音量時にラウドネスをかけるのと似た感覚で、とくに部屋で小音量で音楽を聴く場合などに適している。

また、同じサイトでAuratone 5Cというスピーカーが紹介されていた。これはかつてアメリカのスタジオにほぼ常備されていたニアフィールドモニタスピーカーで、ニュートラルな音と堅牢性に定評があって、愛好家がいるという。ただ残念なことにこれは70年代から80年代にかけて製造されたスピーカーで、もはや新品では入手不可能であった。
サイトでは、Auratone 5Cは電流駆動するのが良い、と書いてあって、これはいつか試してみたいと思っていた。

それからしばらく経った2010年頃、ふと思い出して、ヤフオクでAuratone 5Cを検索すると、なんといくつか出品されていたので購入して、音を聴いてみた。
聴いた最初の印象は「なんだか地味でとくに……」という感じだった。ボーカルだけは素直できれいに聴こえるが、楽器の鳴りが物足りない。低域も高域も足りない感じがした。
そこで、上記の電流駆動に切り替えて鳴らしてみたところ、低域と高域が持ち上がって、楽器の鳴りにもかなり厚みが出た。上のサイトで言っていた、Auratoneは電流で鳴らすとよい、というのはこういうことだったか!と感銘を受けた。

もともと使っていたSX-100はどうかというと、音を聴いて買ったスピーカーなので気に入って使っていたが、Auratoneと比べると、楽器はいいのだがボーカルが弱く感じる。
そこで、これはかなり変則的だが、SX-100とAuratone 5Cを直列にして鳴らしてみるとなかなかよろしい。Auratoneが弱い楽器をSX-100が補い、SX-100が弱いボーカルをAuratoneが補う。2022年現在もこのセッティングで聴いている。
アンプはすでにこのブログで紹介した無帰還電流アンプと無帰還アンプを気分によって使い分けているが、どちらできいてもよい感じで鳴っている。

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2022年6月12日 (日)

音声圧縮と音楽業界の衰退

いつのことだったか正確にはおぼえていないが、1995年前後だったと思う。
当時勤めていた会社のレコーディング機材の事業部で、MDを使ったMTRの検討のため試聴会をやるので、希望者は参加してほしいとのことだった。おもしろそうなので参加した。
ジャズやクラシックの音源と、それをMDに録音したものの聴き比べだったのだが、MDに録音した方は聞き分けられるレベルで音質が劣化していた。
音楽用途で、しかもMTRということはピンポン録音の可能性まであるとすれば、これは使い物にならないだろうから企画倒れじゃないかと思っていたが、予想に反してMDを使ったMTRは開発され販売されたようだ。

その後、たしか2000年頃だったと思うが、mp3に音声圧縮ができる「午後のコーダ」というフリーソフトが話題になり、おもしろそうなのでダウンロードして、音楽をmp3に圧縮して聴いてみたが、とてもじゃないが音楽に使うようなものではなかった。

デジタルによる録音は、データが変化しないが故に高品質が保たれるのが最大のメリットなのに、非可逆圧縮してデータの再現性が損なわれてしまったら意味がない。

たしかに実用上不便が生じない範囲でデータ量を減らすことが有効なこともあるだろうが、それは語学教材とか、通話とか、とにかく伝わりさえすれば音質にはさほどこだわらない、という用途に限られるだろう。音楽に使うというのはありえないと思った。


ところが、2010年くらいからクラブシーンなどであきらかに圧縮音源とわかる悪質な音源を使う人が出始めると、あっと言う間に普及し、そういう店には行く気がしなかった。
クラブシーンだけではなく、一般の音楽再生にも普及し、気軽に安くダウンロードできる圧縮音源ファイルで音楽を聴くということが完全にあたりまえになってしまった。
これはぼくの考えだが、圧縮音源の普及は、作り手とリスナーの両方の感受性を蝕み、創作される音楽の質は低下し、リスナーは音楽から離れていく。ぼく自身、ある曲が圧縮音源でしか手に入らないなら、その曲は聴かない。
現在のぼくの立ち位置は、音楽の購入はCD(またはレコード)のみである。
もちろんCDが完璧というわけではないが、世界中のあらゆる音楽ジャンルにわたって供給と音質が最も安定しているからだ。

DJが圧縮音源を使ってクラブシーンを破壊してしまうのには、店側にも原因がある場合がほとんどで、多くの店はDJにお金を払いたくないので、ちょっと音楽に詳しい客に目を付けて、おだてて、DJという称号(?)を与え、タダ同然で使う。タダ同然なのでCDを買うようなお金はなく、ダウンロード音源を使う。ひどい場合はyoutubeから録音してるなんてことすらある。
また”プロ”と称しているDJでも信じられないことに圧縮音源を使う人がいる。信じられないとしかいいようがない。
あるいはまた、せっかくCDで購入しているのに、リッピングで圧縮してしまってる人がいる。もうどうしようもない。

それでは生演奏が至上なのか。
PAを介さずに完全に生音だけで耳に届く演奏であれば、生演奏に優るものはないと思う。
ところが現代の音楽は、生演奏といえどもほとんどの場合PAが介在する。
PAが入るコンサートやライブで、とくにポップスやロックの場合は、ほぼ例外なく音量がデカすぎる。ボーカルが歌っている内容が聴き取れるだろうか?おそらく全体の音量が大きすぎて聴き取れない場合がほとんどだと思う。
その点、CDであれば最適な録音ですべての楽器や歌がきれいに聴き取れるようになっている。
なのでぼくは必ずしも生演奏が至上とは思っていない。

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2022年6月10日 (金)

SSDAC対応DDコンバーター(USB to I2S)について【20220610追記】

About SSDAC compatible DD converter (USB to I2S)

【20220610追記】
ユーザーの方から、「amaneroCombo384のコンパチ品を使うとノイズが乗る」とのご指摘があり調査したところ、windowsの設定条件によって、amaneroCombo384のコンパチ品でノイズが出るもの(出ないものもある)、およびXMOSのDDコンバータでもノイズが出ることを確認しました。
よって、
①基本的にamaneroCombo384純正品を使用してください。
②amaneroコンパチ品では設定条件(windowsのデジタル出力のプロパティ→既定の形式の設定)によってはノイズが出るものがあるため、基本的におすすめしません。自己責任でお願いします。
③XMOSのU208DDコンバータは、48kz、96kHzの設定でノイズが出ます。おすすめしません。
④CM6631およびPCM2706は問題ありませんでした。

[20220610 postscript]
A user pointed out that "using amaneroCombo384 compatible products causes noise", and after investigating, some of the amaneroCombo384 compatible products generate noise (some do not), depending on the settings of windows. And I confirmed that noise appears even in the DD converter of XMOS U208.
Therefore,
① Basically, use genuine amanero Combo384 product.
② It is basically not recommended for amanero compatible products because noise may occur depending on the setting conditions (windows digital output properties → default format settings). Please take responsibility for your actions.
③ The XMOS U208DD converter produces noise at 48kz and 96kHz settings. Not recommended.
④ There was no problem with CM6631 and PCM2706.



頒布中のSSDAC基板に対応するDDコンバータ(USB to I2S)について、動作確認できているものは次のとおり。
The following DD converters (USB to I2S) that are compatible with the SSDAC board being distributed have been confirmed to work.

Dd_boards
写真1.SSDACで動作確認済みのDDコンバーター
photo1. DD converter that has been confirmed to work with SSDAC

 

①Amanero COMBO384(写真左端)
・SSDACで標準としているDDコンバータ。
・The standard DD converter for SSDAC.

②Amanero COMBO384互換ボード(写真左から2番目)※おすすめしません。
compatible board (second from the left in the photo) ※Not recommended.
・amazonやAliexpressなどで廉価で入手できる。
・動作はAmanero COMBO384と同じだが、ファームウェアのアップデートはできない。
・Available at low prices on Amazon and Aliexpress.
・The operation is the same as Amanero COMBO384, but the firmware cannot be updated.

③XMOS U208(写真中央) (center of the photo ※Not recommended. ) ※おすすめしません
・Amanero COMBO384と同等。
・ Equivalent to Amanero COMBO 384.

④6631PRO(写真右から2番目) (second from the right in the photo)
・CM6631Aを使用したDDコンバータ。
・SSDAC基板上のサンプルレート、ビット深度を示すLEDは点灯しないが、動作は問題なし。
・USB接続有無を示す”PLUG”信号が必要な場合は、コネクタの1pinと10pinをジャンパで接続する。(SSDACでは不要)
・DD ​​converter using CM6631A.
・The LED indicating the sample rate and bit depth on the SSDAC board does not light, but there is no problem in operation.
・If a "PLUG" signal indicating the presence or absence of a USB connection is required, connect pins 1 and 10 of the connector     with a jumper. (Not required for SSDAC)

⑤PCM2706ボード(写真右端) (far right in the photo)
・PCM2706を使用したDDコンバータ。
・SSDAC基板上のサンプルレート、ビット深度を示すLEDは点灯しないが、動作は問題なし。
・USB接続有無を示す”PLUG”信号は無し(SSDACでは不要)。
・44.1kHz,48kHzの16bitのみ対応。
・SSDACへの接続コネクタに電源が供給されていないため、コネクタ 7pinにジャンパで電源を接続する必要がある。
・クロックがUSBと兼用で、I2Sに必要なクロックはPLLで生成されているため、積極的にはおすすめしない。
・DD ​​converter using PCM2706.
・The LED indicating the sample rate and bit depth on the SSDAC board does not light, but there is no problem in operation.
・There is no "PLUG" signal indicating the presence or absence of a USB connection (not required for SSDAC).
・ Only 16bit of 44.1kHz and 48kHz are supported.
・Connecting to SSDAC Since power is not supplied to the connector, it is necessary to connect the power to pin 7 of the         connector with a jumper.
・The clock is also used for USB, and the clock required for I2S is generated by PLL, so we do not actively recommend it.

以上参考にしてください。
Please refer to the above.

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2022年6月 8日 (水)

レコードからCDへ

高校に入ると、カートリッジによってレコードの音が変わるのがおもしろくて、カートリッジの収集を始めた。
初めてアンプを設計したのもこの頃で、一番最初は2SK30を使ったシングルMCヘッドアンプだった。
手作りしたアンプで音楽が聴けるのはとても楽しいことで、このあたりからアンプの道に入っていった。

この頃になるとCDプレーヤーが10万円を切るくらいの値段になってきていて、高校2年の時に友達がアルバイトをしてCDプレーヤーを買った。ただ、CDプレーヤーを買ったらすっからかんで、CDを買う金がないというオチがついていた。

大学に入ると、CDプレーヤーの値段もかなりこなれてきた。ぼくもアルバイトしたお金で初めてYAMAHAのCDプレーヤーを買った。大学の生協で3~4万円くらいだったと思う。

このころから金田式アンプの本などを参考にあれこれ試行錯誤し、最終的に金田式ベースのプリアンプとパワーアンプを作って、それから卒業後も含めて10年以上このセットを使って音楽を聴くことになった。


実家で父に借りて使っていたスピーカーは、テクニクスの12センチフルレンジ+ツイータ+パッシブラジエータの2WAYだったが、どうもツイータの鳴りが不自然な気がして、結局ネットワークを外してツイータは使わずにフルレンジ直結で使っていた。

大学を卒業して就職したときには、初めて実家を出て会社の寮でひとり暮らしを始めたが、実家ではスピーカーを父から借りて使っていたため、引っ越したときに新しいスピーカーを買いにいった。このとき買ったのが、今も使っているビクターのSX-100だった。12.5センチアルミコーンフルレンジ+バスレフだ。
このときは、実は見た目のかっこいいホワイトコーンのNS-10Mを買うつもりで秋葉原に行ったのだが、試聴させてもらったらまったくピンとこず、結局予算内で、聴いた中でいちばん印象がよかったSX-100にしたのだった。実家で聴いていたフルレンジに耳が慣れていたせいか、マルチウェイはどうもツイータが耳障りな感じがして違和感があったのだ。

就職して最初に配属されたのはMO(光磁気ディスク)ドライブの開発部隊だった。本当はオーディオ部門に入りたかったのだが叶わなかったのだ。MOドライブというのは非常に多くの種類の技術を必要とする分野で、入社当時は大学の専門に合わせて機構設計のチームに配属されたが、どうもあまりおもしろくなかったので、無理を言って回路設計に配置換えをしてもらった。
このとき、アクチュエータドライブICの回路を見る機会があったのだが、この回路はBTL電流駆動という、オーディオでは見ることのないおもしろい駆動方式だった。BTL電流駆動のICは日立のHA13490というデバイスだった。
「スピーカーを電流駆動するとどんな音がするんだろう?」
ふとそんなことを思ったが、当時仕事は充実していて、ジャズピアノを習いに行ったり、ジャズダンスを習いに行ったり忙しく、寮の部屋も狭かったため、部屋ではんだごてに火を入れて実験するようなことはなかった。

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2022年6月 7日 (火)

SSDAC AK4490REQチップ対応のお知らせ

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128倍スーパーサンプリングDAC基板
16倍24bitスーパーサンプリングSDプレーヤー

上記の2機種について、工場火災の影響で入手困難となっていたAK4490EQに対し、新たに後継デバイスAK4490REQに対応しました。
上記2機種とも基板改版により以降頒布品につきAK4490EQおよびAK4490REQの両方に対応します。
完成基板については在庫分に限りAK4490EQでの対応となります。在庫終了次第AK4490REQに切り替えます。 
 

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2022年6月 5日 (日)

ヘッドホンステレオ

中学生になると、世間ではウォークマンというヘッドホンステレオが流行り始めた。ポータブルオーディオの先駆けだ。
たしか中学2年生のクリスマスに、AIWAのカセットボーイというヘッドホンステレオを買ってもらい、持ち歩いて音楽を聴いていたが、なんとこれが運のわるいことに欠陥個体だった。
本体を表向きにした場合と裏向きにした場合とで、再生スピードが変わってしまう。保証期間が1年あったので、すぐに修理に出した。修理から戻ってきたものを確認すると、フタを止めていた小ねじ2本がついていなかったが面倒なのでそのままにして、しばらくは問題ないかのようだったが、また少しすると同じ症状になってしまうため、再度修理に出した。2回目の修理では、「モーター交換」と書かれていて、さらに「ねじ2箇所欠損」と書いてあった。これで直っただろうと思い使っていると、またまた同じ症状になってしまった。これはもう修理もあてにならないだろうと判断して、自分であれこれ調べてみたが、わるそうな箇所は見つからなかった。速度がふらふらして気持ちがわるいので、あまり使うこともなくなったが、一年ほどたったある日、最後だと思って動作を確認していると、どうやら原因と思われるものを発見した。この機種のモーターにはコアレスモーターが使われていたが、コアレスモータはコアありのモータと違って、磁石によってローターが引き込まれないため、ローターの軸方向の位置が勝手には決まらない。そこでシャフトの本体軸受けの近くに溝がついていてEリングを嵌めることで位置が変わらないように設計されているようなのだが、このEリングがなくなっていて、本体の裏表でシャフトが0.5mm程度ずれるのだった。その結果モーターの特性が裏表で変わってしまい、回転数が変わってしまっていた。ということは、修理で「モーター交換」と書かれていたのはウソで、グリスでも塗ってごまかしたのではないかと思われた。
原因がわかったものの、ぴったり合うEリングが見つからないので、秋葉原で買ってきた適当なモーターに電子ガバナ回路を付けて改造して使っていた。多少のノイズが入るようになったが、回転が安定しないよりははるかにマシだったため、これでしばらく使った。
それにしても、不良品を引いてしまったのは不運だったが、そのあとの修理対応もひどいものだったので、もうこのメーカーの製品は買う気がしなかった。
それからしばらくしてこのメーカーは消滅してしまった。修理をきちんとする会社だったら、あるいは生き残っていたかもしれない。

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